「KAITA EPITAPH 残照館」(旧信濃デッサン館)
館長の窪島誠一郎さんが、357点を長野県信濃美術館(長野市)に寄贈された。
信濃デッサン館は、その後二年間空っぽで、心血注いだ美術館の近くにもよりたくなかったと。
ふと、誰もいない美術館で桜が狂い咲きしているのを見て、今度は「KAITA EPITAPH(エピタフ=墓碑銘) 残照館」と名前を変えて別人として蘇生させ、手元にある美術品を展示し始めた、とのこと。
残り物、と、謙虚におっしゃるが、村山槐多や舟越保武や浜田知明やエゴン・シーレやウィリアム・ブレイクはじめ、質の高いデッサンが大切に展示されている風景に、心が熱くなった。
こういう質の高い美術館が上田にあることを、誇りに思う。
「KAITA EPITAPH 残照館」(旧信濃デッサン館)が素晴らしいと思うのは複数ある。
美術館と一体化するように「獨鈷山 前山寺」という真言宗のお寺があり、美術館とお寺が独立して一体化しているということ。
そして、素敵なカフェが、料理も含めて手を抜かずに極めて質が高いということ。
美術館やカフェという場所から見える風景が、心を自由にさせるということ。
そうしたことは館長の窪島誠一郎さんが持つ多層で分厚い人格によるものなのかもしれない。
実際、館長の窪島誠一郎さんは多くの若者の相談を受けていて、実質的にはカウンセラーのような立ち回りも果たしている。まるで病院のようなもので。
美術館、お寺、病院というカテゴリーではない「場」や「磁場」を作り出している、という事実が、すごい。
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「KAITA EPITAPH 残照館」(旧信濃デッサン館)
〒386-1436 長野県上田市前山300
■開館日
土、日、月の午前11時〜午後4時
■料金
無料
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夜の残照館で響く、佐藤通弘さんの津軽三味線も、血肉や天地を揺り動かすような演奏だったなぁ。
人に対して演奏をしているというよりも、森羅万象や歴史を相手に弾いているような演奏。
帰りの車でずっと佐藤通弘さんの三味線を聞きながら、軽井沢まで帰った。そのおかげで不思議な夢も見た。
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