

M for M Medicine(医療)とMusic(音楽)
5月21日のNHK「あさイチ」では、白血病により21歳で亡くなったチェリスト・山本栞路(やまもと かんち)さんの特集が組まれていた。 最新技術を使って彼の生前のチェロの演奏が再現されるまでのあらゆる人の愛が関わった軌跡は素晴らしいものだった。 5月17日、東大五月祭での講演のとき、鉄門ピアノの会の医学部の学生さんと対話をした。その中で「人間には誰でも一人になる時間が必要だ、そのことと音楽や芸術は関係があるのではないか」という話が出た。 私はそのときに、ふと山本栞路(かんち)さんとご両親の活動のことが頭に浮かんだ。 チェリストでもあった若き栞路さんは、病院での入院中に音楽を奏でることができなかった。音楽と生きることとが一つであった音楽家にとって、それは命の一翼をもぎとられるようなつらい日々だったことだろう。 「病室でも音を奏で、音楽を楽しめる場所が欲しい」という願いから「M for M」が設立された。「M for M」では山本栞路さんの遺志を継ぎ、長期入院患者のために病院へ防音室を寄付する活動を行っている。2つのMは、Medicine(医療)とMu


W. ユージン・スミスとニューヨーク ロフトの時代@東京都写真美術館
東京都写真美術館2F「W. ユージン・スミスとニューヨーク ロフトの時代」 ユージン・スミス(W. Eugene Smith, 1918–1978)は、アメリカのフォトジャーナリストで、日本の公害病である水俣病の実態を世界に知らしめた人物としても知られている。 水俣病は1956年の公式確認(その前の1953年頃から人体への健康被害が見られていた)と1968年の政府による公害病認定という二段階がある。 ユージン・スミスが水俣に滞在したのは、1968年の政府による公害病認定の後になる1971年から1974年にかけて。アイリーン・美緒子・スミスさんと共に熊本県水俣市に移り住み、患者やその家族の生活を記録した。教科書で見る水俣病の写真は、ユージン・スミスの撮影によるものも多い(「入浴する智子と母」など)。 1975年に出版された写真集『MINAMATA』も、いま見ても驚くような写真が多く、写真は当時の息吹をそのまま閉じ込めているなぁ、と驚くことがある。 ユージン・スミスも、取材中に会社の暴行で重傷を負い、その後の視力低下など後遺症に苦しんでいた。...


リスニングルーム by OJAS@パティーナ大阪
音による新しい空間の勉強のためリスニングルーム by OJAS@パティーナ大阪を見学。 パティーナ大阪は大阪城と難波宮跡という2つの歴史遺産の間に位置していて、緑に包まれた静寂の中、大阪城が時を超えて現出していた。 ニューヨークを拠点に活躍するアーティスト デヴォン・ターンブル(別名 OJAS)が、アナログ・オーディオの没入型スペースとしてのリスニングルームを創っている。 音を中心にして作られた空間設計。没入する瞑想的な空間。温泉の温浴空間ような音浴空間。 音浴空間に温泉を融合させれば「温音浴」空間になるのかもしれないと妄想は広がる。 西洋音楽の方向性と違って、東洋の音楽の歴史は、精神的な静寂や意識の探求などを含めた、ノイズを含んだ音そのものの探求の歴史が含まれている。尺八、琴、笛、笙、シタール、チベタン・シンギングボウル・・・・など。祭りなども含めた伝統音楽の中にも。 東洋の音楽と西洋の音楽の決定的な違いは、音をどう捉えるかという哲学の違いとも言える。それは東洋医学と西洋医学の違いで重要なのは生命哲学にあることととも似ている。...


ペニーレイン(PENNY LANE)@那須高原
昼食は那須高原にある「ペニーレイン(PENNY LANE)」へ。ビートルズの世界観に包まれた大人気のベーカリー&レストラン。 那須本店のほか、つくば、宇都宮などにも店舗があるようでしたが、とにかくパンが美味しかった(ご飯派なんですが)。 そして、料理もすべて美味しく、量も半端なく(お洒落サイズじゃないのでご注意ください)。 「大鷹の湯」の温泉ミネラル効果で代謝酵素がMaxに亢進した後だったので、内臓に染みる美味しさでした。 オーナーさんがビートルズマニア&コレクターさんなんでしょうか。店内には所狭しとレアグッズが置いてあり、なめるように一つ一つ堪能。ビートルズファンにはたまりません。 「大鷹の湯」は温泉の愛が溢れ、「ペニーレイン(PENNY LANE)」ではビートルズの愛が源泉かけ流し状態でしたので、今後は「愛の源泉かけ流し」の場がどんどん注目されていくでしょう。私もそんな人間になりたいです。 ペニーレイン(PENNY LANE) 栃木県那須郡那須町湯本656-2 https://pennylane.company/


『great journey 9th』近藤良平(コンドルズ)× 永積 崇(ハナレグミ)@赤レンガ倉庫
great journey 9th。 近藤良平(コンドルズ)さんと永積 崇(ハナレグミ)さんの不思議な舞台。 わたしは2年前の7thで共演させていただきました。 great jouneyは、いつでも横浜赤レンガ倉庫で行われる雲を掴むようなひととき。 基本的には、遊ぶ、ということ。プロが行う本気の遊び。 色々な発想の種を膨らましたり潰したり、思いつきと即興と愉快な空想にまきこまれる。ジャンルや分類を拒み続ける不可解な時間をともに過ごす。 わかったような気がすると、わからないところに連れて行かれ、迷子になると、ダンスと音楽で助けてくれる、というような。コンドルズの舞台と同じで類似物がない世界。 3/21と3/22のまだ2公演ありますので、ご興味あれば2人の芸達者ぶりを堪能下さい。 軽井沢から遥々この舞台見るために赤レンガまで行って大満足でした。 とにかく異次元が楽しい! ................... ダンス集団・コンドルズを主宰しダンスを柱に演劇、映画、テレビなど多角的に 活躍する近藤良平と、ハナレグミ名義で2002年からソロ活動をスタート


la RINASCENTE 再生・復活・蘇り
---------------------- 「ぼくは誰とも争わないし 誰を憎む根拠もない ただ落ち着きを取り戻すため ちらつくテレビを消そう」 (KAN「世界でいちばん好きな人」) ---------------------- KANさんは「愛は勝つ」が有名だけど、他にも色々な名曲を残している。 KANさんは2023年に61歳で亡くなられた。「メッケル憩室がん」という希少がん。 KANさんの中で「世界でいちばん好きな人」は特に好きな曲。 不穏な世界情勢の中で、KANさんの詩が心に響く。 KANさんのアルバム「la RINASCENTE」(2017年)は弦楽四重奏によるセルフカバー・アルバム。 「la RINASCENTE」はイタリア語で「再生」や「復活」。日本語だと「蘇り」。過去の楽曲を新しいアレンジで「再生」させるというコンセプトが込められている。 「世界でいちばん好きな人」は、この-la RINASCENTE Version-が一番好き。 このアルバムは、ドナルド・フェイゲンのアルバム『The Nightfly』(1982年)という名盤(レ


内観光:内なる光を観る 「水」=夢+数
飛行機から地球の巨大な水がめとしての海を眺める。 武満徹さんの音楽では、人の無意識に沈む夢、記憶を喚起する普遍的な象徴として水をテーマに音楽を多数制作されていた。 水は、意識の深い層にある「無意識」や「夢」にアクセスするためのメタファー(隠喩)。 武満さんの音楽は、数理的な構造(数)と、無意識的な感覚(夢)とが、「水」という要素の中で統合されたもの。 水は留まることなく形を変えるため、個人の過去や失われたものを呼び起こす無意識の象徴。 普段から瞑想や呼吸法を通じて、無意識へのアクセスを日常的にしている人間にとっては、海を見ているだけで、深い無意識のイメージが万華鏡のように展開してくる。 これからの観光は、内観光(内なる光を観る)の方にシフトしていくのではないだろうか。 普段から瞑想や呼吸法を通じて、無意識へのアクセスを日常的にしている人間にとっては、海を見ているだけで、深い無意識のイメージが多層に連なって万華鏡のように浮かんでくる。 ―――――――――― 武満徹「二つのもの‐作家の生活」 夢・数・水 現在(いま)私が書いている音楽について考えてみ


J-WAVE『GROWING REED』+Hallelujah
radikoのタイムフリーで2026年01月13日 12:40まで聞けるようですので、「GROWING REED」(ナビゲーター:岡田准一さん)1月11日(日) 24:00-25:00の会の放送、お時間あればどうぞ! https://radiko.jp/#!/ts/FMJ/20260112000000 岡田さんに「誠実に進まれている」「色々なことを優しく柔らかく日本的に教えてくれている」と評していただき、光栄でした。(^^ 長野で聞くとRadiko GUNMAに接続されてJ-waveも聞けるなんて知らなかったー。 ●【Radio】2026/1/11(Sun)(24:00-25:00):J-WAVE(81.3MHz TOKYO)『GROWING REED』(ナビゲーター:岡田准一)→J-wave Web( GROWING REED ) 「GROWING REED」が20周年!で本の発売と、番組初のイベントも 開催されるようです。しかも両国国技館! ------------------------- J-WAVE GROWING REED 20t


K-BALLET Opto『踊る。遠野物語』@東京建物 Brillia HALL
年末の池袋(東京建物 Brillia HALL)に、「踊る。遠野物語」を見に行く。 舞踏とバレエと古代の音とが融合した、かなり挑戦的な舞台だった。 「踊る。遠野物語」では、1945年の戦争時の特攻隊員が神隠しにあった超自然的な少年に導かれながら彷徨う舞台。 生きているのか死んでいるのか。ここは、この世なのか、あの世なのか。この世とあの世のあわい・結節点である「遠野」をさまよいながら、オシラサマ、雪女、山姥などに出会い、許嫁の面影を重ね合わせながら、自分自身に問いかける魂の舞台。 「舞踏 (BUTOH)」(1950年代に土方巽らが創始した、日本独自の前衛舞踊(暗黒舞踏))を見たことがない人には衝撃だったのじゃないかと思う。「踊る。遠野物語」の主催は熊川哲也さんのK-BALLET(バレエカンパニー)で、多くのバレエファンが見に来ていた様子だったから。バレエは天に飛翔していくダンスだが、対照的に舞踏は地へと融合していくような舞踊。対照的だからこそ、対局主義は舞台という器の中で異次元の化学反応が起きていた。 私は大学生の時、大駱駝艦の舞踏(吉祥寺にある壺


『「たま」という船に乗っていた』(さよなら人類編+らんちう編)双葉社 (2022) 石川浩司+原田高夕己
本屋で見つけたら買おう、と思っていたら、直後に訪れた松本の『本・中川』で発見した(さすがの選書!)。 『「たま」という船に乗っていた さよなら人類編 + らんちう編 』!双葉社 (2022) こちら、たまの石川浩司さんの本の原田高夕己さんによる漫画化なのですが、とっても味わい深く、とっても面白いのです。 私はこの漫画を読みながら、私が一番大切にしている哲学『自由』というものを再確認しました。 私は、道に迷ったとき、損得や利益ではなく、『自由』を基準に道を選びます。 『自由』なんて、そのあたりに転がっている、と感じるかもしれませんが、ところがどっこい、そうではありません。 ヒタヒタと無自覚なまま『自由』が奪われようとしている時代の流れを感じています。 『自由』とは、意識的に獲得し続ける決意がないと、一見平和に見える社会でも容易に奪われてしまうものなのです。 もちろん、法律や制度のような外的なものに影響される自由もありますが、それ以上に、わたしたちは精神の自由を保つことが、本当に難しいと思います。内的な自由。それは子供の心と呼んでもいいでしょう。.