

橋杭岩 空海と天邪鬼 未完成の美
本州の最南端は、和歌山県串本町にある「潮岬(しおのみさき)」。 東京の八丈島と緯度が近い。 東京(竹芝)から八丈島へのフェリーは、南下して片道11時間くらいかかる。その同じ緯度に陸路で行けると考えると不思議。 本州最南端の碑から、「橋杭岩」までは車で約10分ほど。 和歌山県串本町にある国の天然記念物「橋杭岩」には、弘法大師(空海)と天の邪鬼が「一夜で海に橋を架けられるか」を賭けたという伝説が残っている。 熊野を旅していた弘法大師空海は、紀伊大島へ渡る手段がなく困っている住民のため、海に橋を架けようと思い立った。 「天の邪鬼」と賭けをすることになり、協力して巨岩を海に並べ始めた。 手際の良い空海が橋の杭(岩)を並べ終えそうになり、負けを恐れた天の邪鬼は「コケコッコー」と鶏の鳴き真似をして朝が来たと見せかけた。 すると、空海は本当に朝が来たと思い込んで作業を諦め、その場を去ってしまったため、現在のように橋の「杭」に似た岩柱だけが海に一列に残された。 という、すごく面白い話。 河合隼雄先生だったら、ユング心理学や深層心理学の視点から読み解いてくれそうだ


アンドリュー・ワイエス展@東京都美術館
アンドリュー・ワイエス展@東京都美術館を見に行く。 アンドリュー・ワイエスは、20世紀アメリカの画家。 抽象画が流行った時代に、独自の「具象(写実)絵画」を貫いた人。 ワイエスは、アメリカ北東部のニューイングランド(メイン州など)を舞台に選んだ。 ニューイングランド地方は、南部と北部でガラリと雰囲気が変わる。 ボストンを中心とする南部は、ハーバード大学などの有名な大学が集まる学問の街で、ITやバイオテクノロジーなどの最先端の仕事が多く、富裕層が集まっています。 北部(メイン州、バーモント州など)は、一気に人口が少なく田舎になる。昔ながらの自然が豊かな一方で、大きな産業が育たず、最先端の経済から切り離されたような印象を与える場所とのことだ。 北部ニューイングランド(メイン州)にある古い家屋や乾いた草原は、近代化の時代に取り残されたものに見えるが、彼は風化していく古い建物に潜む生命力を細部まで緻密に描き出した。そこには、時を経たものへの深い愛が込められている。 微細な変化と光をもとめて彼はテンペラや水彩を使い、草の一本、窓枠の傷まで細かく表現している


NHK日曜美術館50年展@東京藝術大学大学美術館
NHK日曜美術館50年展@東京藝術大学大学美術館。 最近はTVを見る時間もめっきり減ったけど、学生のころからずっと見ている日曜美術館。自分にとって鎮静や瞑想の薬のような番組。社会情勢がどうあろうとも、静かに語りかけてくる美術品や工芸品を見ているだけで心が落ち着く。 もちろん、西洋美術のピカソやベーコンのように、落ち着くよりも心がざわめくものもある。それは東洋と西洋の薬の在り方の違いなのかもしれない。鎮静薬なのか劇薬なのか。 けれど、そのざわめきも、非言語で伝わってくるものだからこそ、結局は自分の中でざわめきや感情を言葉にしたり、形を与えたりしないといけない。あくまでも自分の問いとして突き付けてくるもの。 ピカソも、ゲルニカ映像の展示の中で、 「絵は見る人によって初めて生命を与えられる。 牛は牛 馬は馬だ。 鑑賞者は結局 見たいように見ればいいのだ」 と語る。 見る側の心の状況、心の深度によって見えてくるものが変わる。 ピカソのふかさまで自分が達していれば自分も同じ風景が見えるし、自分の心の場所に応じて、何を感じ、何を受け取るかが決まるのだろう。.


ひたすらに泡の不思議と遊ぶ 「おくすりてちょうを作ろう」WS
MMoP Garden Green Days 2026での「おくすりてちょうを作ろう」WS(講師:KONST 稲葉俊郎、須長檀)。 まだまだ軽井沢・御代田は朝や夕は冷える日々ですが、この日は晴天。野外で過ごしやすい一日でした。 家族連れもおおく訪れ、ほぼ子どもたちの保育所と化して大盛況でした。 都内から遊びに来ている人も多く、お洒落な外出着。水彩やアクリル絵の具がはじけて飛んで、洋服に色がつくのもよき思い出となるでしょうか。私も色がついた洋服ありますが、それぞれ思い出が刻まれてます。 シャボン玉に色をつけて偶然のパターンをつくる技法?遊び?。 どんどん加速していくと、どんな風に泡を重ねていけるのか、という別の遊びに発展させていく子供たちが多数。子どもはあそびの天才。大人が管理したり、邪魔したり、誘導したりしない限り、子どもたちはどんどん遊びを発明して、今この瞬間に生きている。汚れて気にするのは大人だけ。手の触感が気持ちいい。楽しい。気持ちよさと楽しさをご機嫌に追求しつづける。大人側も学ぶことはたくさんある。童心にもどれば、たいていのことはOKと思


M for M Medicine(医療)とMusic(音楽)
5月21日のNHK「あさイチ」では、白血病により21歳で亡くなったチェリスト・山本栞路(やまもと かんち)さんの特集が組まれていた。 最新技術を使って彼の生前のチェロの演奏が再現されるまでのあらゆる人の愛が関わった軌跡は素晴らしいものだった。 5月17日、東大五月祭での講演のとき、鉄門ピアノの会の医学部の学生さんと対話をした。その中で「人間には誰でも一人になる時間が必要だ、そのことと音楽や芸術は関係があるのではないか」という話が出た。 私はそのときに、ふと山本栞路(かんち)さんとご両親の活動のことが頭に浮かんだ。 チェリストでもあった若き栞路さんは、病院での入院中に音楽を奏でることができなかった。音楽と生きることとが一つであった音楽家にとって、それは命の一翼をもぎとられるようなつらい日々だったことだろう。 「病室でも音を奏で、音楽を楽しめる場所が欲しい」という願いから「M for M」が設立された。「M for M」では山本栞路さんの遺志を継ぎ、長期入院患者のために病院へ防音室を寄付する活動を行っている。2つのMは、Medicine(医療)とMu


99回目を迎えた東大五月祭
東大五月祭。今年は99回! 現役の医学部生からご依頼いただいた講演があり、ひさしぶりに東大本郷キャンパスへ、東大医学部を訪れた。 初日は混乱があったからか、2日目の盛り上がりはすごく、正門に入るまでに、本郷3丁目交差点付近のスタバまで大行列になっていた(入場者の荷物検査をしていたため)。 なんとか中に入ると、万博依頼の人の渦と熱気。 学生たちが色々な出店をだしていて楽しそう。 医学部に入ると、医学部美術部である踏朱会の学生さんもわざわざ会いに来てくれて嬉しかった。 というのも、廃部になっていた医学部美術部を、自分が大学4年生の時に再興したからだ。もう20年近く前のこと。 今でも美術部が続いていて、素晴らしい油絵や水彩画の作品を出展していて感動だった。自分は学生時代、登山ばかりしていて医学部に貢献できていなかったけれど、美術部がこうして残り続けていることを考えると、人間のちょっとした善意や情熱や愛は、こうして時空を超えて当時見知らなかった人たちをつなげる。やはり、諦めずに未来への種をまいていくことは大事なことだと思った。種は20年くらいかけてゆっく


小諸ツリーハウスプロジェクト「自然で楽しむアートフェス」@安藤百福記念アウトドアアクティビティセンター
小諸市にある安藤百福センターの森の中で、小諸ツリーハウスプロジェクト「自然で楽しむアートフェス」という素晴らしいイベントがあった。 ここは【あぐりの湯】という温泉からすぐ近くにあるアウトドアセンター。 安藤百福(あんどう ももふく)さんは、世界初のインスタントラーメン「チキンラーメン」や世界初のカップ麺「カップヌードル」を開発した日清食品の創業者。 安藤百福さんは「食とスポーツは健康を支える両輪である」と考えられていて、生誕100周年を記念して浅間連峰を見渡せる小諸にこの施設ができた。隈研吾さんの設計だったり、小諸ツリーハウスプロジェクトとして、優れたけんちくかの方々がツリーハウスを設計してくれている! スタンプを押して回るようになっていて、色々なアウトドアアクティビティがあり、子どもも大喜びだった。 近くには【あぐりの湯】という温泉があるのも最高の立地。浅間山の景色も素晴らしい。 小諸ツリーハウスプロジェクトでのツリーハウスは、それぞれに夢があって素敵だった。 北軽井沢スウィートグラスにあるツリーハウスも素晴らしいが、小諸市にある安藤百福センタ


【100.80.60.展】@ Ginza Sony Park
Ginza Sony Parkでの【100.80.60.展】。銀座100年、ソニー80年、ソニービル60年。の展示。 銀座一等地での贅沢な空間つかの展示。 2019年5月(令和に切り替わったとき)に、このGinza Sony Parkで高木正勝さん、大友良英さん、野村友里さんとイベント(eatrip voice & live)をやったのもよき思ひ出。 ■2019/5/1(Wed):eatrip voice & live「高木正勝 × 稲葉俊郎」:高木正勝(音楽家)/ 稲葉俊郎(医師・医学博士)/ 野村友里(聞き手)@PARK B2/地下2階(Ginza Sony Park) ■2019/5/8(Wed):eatrip voice「稲葉俊郎 × 大友良英」:稲葉俊郎(医師・医学博士)× 大友良英(音楽家)@PARK B2/地下2階(Ginza Sony Park)(→チラシPDF) 【100.80.60.展】、詩もよかったんですが、いちばんの感動は、往来のSONY商品の実物。 カセットデッキとかウォークマンとか、デザインもサイズ感も姿・形がすべて素


おくすりてちょうを作ろう@MMoP(Garden Green Days 2026)
御代田のMMoPにて、Garden Green Days 2026 があります。 5/23-24土日開催で色々なイベントがあるのですが、「おくすりてちょうを作ろう」のイベントが5/24(日) 10:00-12:00、13:00-15:00で開催されます。 KONST:稲葉と須長檀さんが講師として入ります。 予約不要・当日参加OKの気軽なイベントです。「おくすりてちょうを作ろう」は5/24だけですのでご注意を。 新緑が萌える軽井沢・御代田エリアにぜひ遊びに来てください~。 以下、Webより https://mmop.jp/news/1807/ =============== 【H】おくすりてちょうを作ろう 5/24(日) 10:00-12:00、 13:00-15:00 ひとつとして同じもののない軽井沢病院の「おくすりてちょう」 「おくすりてちょう」は、稲葉俊郎先生の発案により始まった「karuizawa hospital without a roof(屋根のない病院)」プロジェクトのプロダクトのひとつです。 軽井沢町地域活動支援センターの


安曇野ちひろ美術館 「子どものしあわせと平和」
「戦後、私が平和をねがうのは、 もう二度とあんな赤いシクラメンの花のような火を、 子どもたちの上にふらせたくないからです」 いわさきちひろ 遺作 『戦火のなかの子どもたち』(1973年)より いわさきちひろさん(1918年-1974年)は、生涯を通じて「子どものしあわせと平和」をテーマに描き続けた絵本画家。 彼女は現代に生きていれば何の苦労もなく、アーティスト、絵本作家、書家・・・だったかもしれないが、家族も本人も戦争に翻弄された人生だったから。 20歳で最初の結婚をして満州へ渡ったが、夫の自死により帰国。その後、書道教師として再び満州へ渡るも、戦局の悪化で帰国。 1945年の空襲で東京の自宅を焼失し、長野県松本市へ疎開して終戦を迎えた。 ちひろさんの両親は、戦時中に国策に協力する立場にあったため、戦後GHQによる公職追放を受けた。ちひろさんは、両親が国策に貢献(父は軍事施設の建設を、母は満州へ渡る「大陸の花嫁」を送り出す国策業務を)していたことで戦時中も恵まれた生活ができていた事実を戦後に知り、深い葛藤を抱いた。 この経験が、「子どものしあわせ