

『シッダールタ』@世田谷パブリックシアター
『シッダールタ』@世田谷パブリックシアター を見た。 草彅剛さん主演。脚本は長田育恵さんで、演出が白井晃さんという豪華な舞台。ヘルマン・ヘッセの小説『シッダールタ』(+『デミアン』)をベースにしている。 主人公は仏教の開祖であるシッダールタと偶然にも同じ名前を持つ一人の男性。同時代に生きる仏教の開祖であるブッダの教えに感化はされるものの、同じ集団(サンガ)には入らず、自分自身の力で悟りを得ようとすべてを捨てて旅に出る。 探求の途上で、彼は愛欲におぼれることもあるし、商売で富を築き自分を見失うこともある。 ただ、彼はあるとき、川のほとりで水の流れを見ながら、自然の営みから大きな気づきを得る。 「川は流れていると同時に、常にそこにある」 このことは仏教での無常を、概念的な知識ではなく、体験として理解した瞬間の言葉でもあった。 ヘッセの作品の中でも、悟りそのものより、探求こそが重要であると語られる。 知識は伝えることができるが、知恵は伝えることができない。知恵は、体験され、身をもって生きることでしか得られない、と。 仏陀の集団(サンガ)に属したものは、


「オスジェメオス + バリー・マッギー One More 展」@ワタリウム美術館
ワタリウム美術館に「オスジェメオス + バリー・マッギー One More 展」を見に行った。 すごく刺激的で自由で面白い展示だった。 偶然、館長の和多利恵津子さんがおられたので、たくさん話をさせていただいた。 神宮前や原宿にも、商業ビルが増え、大手デベロッパーの大規模開発が増え、唐突に場の雰囲気が変わってしまう。そのことで、文化的な場、創造の場、自由な表現の場が減っていること自体を嘆かれていた。 ワタリウム美術館としてはどんなに規模が小さくとも、ここには自由な場があるよ、ということを伝えていきたい、と。小さい力は誰の中にもある。 目的は儲けではないためいつも経営はカツカツだけれど、あえて収入と支出もトントンになるようにしている。もし展覧会の売り上げが多い場合でも、その余剰分はアーティストの制作費にあてて、ちょうどいいバランスになるようにしている、と。 余剰な富を蓄積させず、自分が儲けをとるのではなく、天から分け与えられた余剰物は創造行為に投資してお返しする、という考えが本当に素晴らしいと思いました。まさに芸術の神髄だとも。 私自身も、「誰かが考


「岡本太郎 生きることは遊ぶこと」@川崎市岡本太郎美術館
川崎市岡本太郎美術館の常設展「岡本太郎 生きることは遊ぶこと」(2025年10月28日 (火)-2026年03月29日 (日))。 生きることは遊ぶこと、という展示の名前が素晴らしい。 遊ぶ。 目的もなく打算もなく計画もない。 動きたいから動き、叫びたいから叫ぶ。 ただ動き、走り、飛び跳ねて、遊ぶ。 そうした純粋な行為を膨らませていくこと自体が、幸福への道だとさえ思う。 太郎さんの絵を見ていると、何かがハッとする。本物の絵が放つ霊力はすさまじい。美術館は霊感を受け取るパワースポット。 川崎市岡本太郎美術館は、来年春から3年!も長期休館にはいってしまうので、ぜひ2026年3月までに一度遊びに行ってほしいですー。 (*2026年3月30日~2029年3月31日の期間、改修工事に伴い展示室での展覧会を休止します。とのこと。) ----------------------- 「つねに死の予感に戦慄する。 だが死に対面した時にこそ。 生の歓喜が ぞくぞくっとわきあがるのだ。 血を流しながら、 にっこり笑おう。」 ----------------------


「タローマン大万博 川崎パビリオン」@川崎市岡本太郎美術館
川崎市岡本太郎美術館では、「タローマン大万博 川崎パビリオン」。もやっていた。 EXPO2025は終わった、と思いきや、ここでは川崎パビリオンとしてタローマン大万博が行われている、と。 しかも、タローマン自体はパロディでありながら、虚実が入り混じって、虚数と実数が融合した複素数平面にようになっていて、オイラーの定理のように、数学における指数関数(e)と虚数(i)と円周率(π)を混ぜ合わせて、実数に戻る(e^iπ=-1)、のような不思議な世界。 芸術をエンタメとパロディとフィクションで包み込みながら、それ自体が現代美術の様相を呈しつつ。能と狂言の関係性のようにシリアスなものをユーモアで相対化するような不思議な位相は、まさに陰と陽の太極図。 映画まで見に行ったファンとしては、太郎(&藤井亮さん)の「真剣に命がけで遊べ」というのがリアルに感じ取れる。 面白かったし、実物見れて感動。 しかも、この展示だけなら無料で見れる!という太っ腹。素晴らしい! 12/14まで。 ----------------------- 常設展「生きることは遊ぶこと」関連展示イ


平和大ばくはつ ドッカーン@第14回キッズTARO【未来を見た】
第14回キッズTARO【未来を見た】に、子供の作品が入選したので実物を見に川崎に。 川崎市岡本太郎美術館は生田緑地の中にある。 公園に遊びに来る楽しい朗らかな気分のまま美術館の空間に入れる組み合わせは本当に素晴らしく、太郎さんもきっと喜んでいるだろうと。 子どもは、大人が思っている以上にことの本質をつかんでいるもの。 3歳ころの我が子が、岡本太郎の「傷ましき腕」から感じ取っていたことや、本物の太郎の作品の対峙した時のことなど、新刊の「肯定からあなたの物語は始まる」【第4章】たましいの力 の中に書いてたりします。 cf .●【Book】2025/11/17:稲葉俊郎『肯定からあなたの物語は始まる』(講談社)( Amazon )( 講談社Web ) いづれにしても、子供の芸術の眼を見抜く力はすごいものです。そして、その子どもの繊細に感じている力自体を感じとるのは大人の側であったりもするので、結局は子どもよりも大人のほうが試されているのかなぁ、とも。 子どもの感じる力を、大人が感じ取る力。 ほかの子どもたちの作品にも、形にならない思いが無音で爆発してい


俳優座「存在証明」@シアタートラム
俳優座の「存在証明」@シアタートラム、を観た。素晴らしい舞台! 絶対的な真理を追求する実在する数学者たちがモデル。 戦争という異常が日常に置き換わった時に、現実世界とどう折り合いをつけていくか。 数学的な真理を追求することを、わたしたちが真善美、理想、あるべきもの、に置き換えて考えてみると、誰にでも心当たりがある事柄だと思えた。 「ことば」というものも考えさせられた。 特殊なことばを扱う人は、状況次第ではあたまがおかしい、とされ、排除や隔離の対象になる。ただ、そのことばは、日常とは違う層では深い真実の響きを含んだもので、そのことばの深層の意味を発見できる人がいるかどうかで、ことばは違う意味を帯びる。 ことばは時に数学であり詩であり芸術であり、呪術でもあり。 ことば自体も出会うべき人を待っているのかもしれない、とも思った。 「存在証明」というタイトルが暗示するように、わたしはここにいる、という存在の地平は、より深い次元にある「いのち」のことばとの出会いを求めているようだ。それはルーツ、根、と言ってもよいかもしれない。 素晴らしい演劇体験。まさに魂の


塩川高敏@佐久市立近代美術館
佐久市立近代美術館に、塩川高敏展を見に行く。 すべてが素晴らしい絵ばかりで、こんなにすごい画家がいるのかと、目を見張った。 塩川高敏さんは、1948年生まれで2017年に69歳で亡くなられている。 佐久で生まれ、上田高校から東京藝術大学の油画へ。そこで脇田和さんに師事(軽井沢には素敵な脇田美術館がある)。その後、2000年頃から尾道市立大学の設立に携わり、同大教授、副学長もされ、美術教育にも大きくかかわれている。 教育者でもあり同時に作家としての油画の活動の中で、ライフワーク「浮游」シリーズは、約40年にわたって描き続きている。 「浮游」は水の中で浮く人間、そして水そのもの、そして流動の相にあるこの世界そのもの。 「浮游」シリーズが時代の中でいろいろなイメージが混在しながら変遷していく様も、人生のプロセスを見ているようで感動的なものだった。 こうしたとんでもなく素晴らしい作品を描き続けた画家も、それほど一般的には有名ではなく。有名になる人ならない人、売れる人売れない人、その違いは何なのだろう、とも。もちろん、そうした名声と個人の幸福とは必ずしも一


横尾忠則展@南天子画廊、犬山&横尾ワールド プロジェクト、EXPO70「せんい館」
招待状もいただいたので、南天子画廊(nantenshi gallery)の横尾忠則展へ。 横尾さんが画家宣言として、グラフィックデザインからファインアートへ移行した(と言っても、グラフィック自体がアートを飲み込んでいたものだったけれど)最初の個展が南天子画廊。それは1982...


EXPO 2025 クラゲ館 関西パビリオン いのち動的平衡館
EXPO 2025(大阪・関西万博)の感想を少しずつ。 とにかく人が多くて!暑い!というのが身体感覚として強く残る旅ではあったが、だからこそ、その感覚を乗り越えてでも、行きたい、と思える強い吸引力。 根っこにある哲学は「いのち」。...


「めくれる!しかけ図鑑絵本 にんげんのからだ」アノニマ・スタジオ(2025/9/8)解説動画
フランス人アーティストのJoëlle Jolivetさんの「めくれる!しかけ図鑑絵本 にんげんのからだ」アノニマ・スタジオ。 アノニマ・スタジオのYouTubeチャンネルに絵本の解説?がアップされています。ぜひどうぞ。 https://www.youtube.com/wat...