

「オスジェメオス + バリー・マッギー One More 展」@ワタリウム美術館
ワタリウム美術館に「オスジェメオス + バリー・マッギー One More 展」を見に行った。 すごく刺激的で自由で面白い展示だった。 偶然、館長の和多利恵津子さんがおられたので、たくさん話をさせていただいた。 神宮前や原宿にも、商業ビルが増え、大手デベロッパーの大規模開発が増え、唐突に場の雰囲気が変わってしまう。そのことで、文化的な場、創造の場、自由な表現の場が減っていること自体を嘆かれていた。 ワタリウム美術館としてはどんなに規模が小さくとも、ここには自由な場があるよ、ということを伝えていきたい、と。小さい力は誰の中にもある。 目的は儲けではないためいつも経営はカツカツだけれど、あえて収入と支出もトントンになるようにしている。もし展覧会の売り上げが多い場合でも、その余剰分はアーティストの制作費にあてて、ちょうどいいバランスになるようにしている、と。 余剰な富を蓄積させず、自分が儲けをとるのではなく、天から分け与えられた余剰物は創造行為に投資してお返しする、という考えが本当に素晴らしいと思いました。まさに芸術の神髄だとも。 私自身も、「誰かが考


『肯定からあなたの物語は始まる』(講談社)
11/17に新刊が出ました。 書店さんでもフェアがあったり、色々な場面でおみかけするかもしれませんので、 ぜひお読みいただければ! ご友人などのプレゼントなどでも最適かと! WebのOnlineでも色々とアナウンスされますので適時お読みください。 ●【Book】2025/11/17:稲葉俊郎『肯定からあなたの物語は始まる』(講談社)( Amazon )( 講談社Web ) 〇平和大ばくはつ ドッカーン@第14回キッズTARO【未来を見た】 の時にも書きましたが、芸術と魂の関係に関しては、「たましいの力」として書きました。 こちらは書店さんに書いたPOP(Point of Purchase (購買時点) の略)です。


「岡本太郎 生きることは遊ぶこと」@川崎市岡本太郎美術館
川崎市岡本太郎美術館の常設展「岡本太郎 生きることは遊ぶこと」(2025年10月28日 (火)-2026年03月29日 (日))。 生きることは遊ぶこと、という展示の名前が素晴らしい。 遊ぶ。 目的もなく打算もなく計画もない。 動きたいから動き、叫びたいから叫ぶ。 ただ動き、走り、飛び跳ねて、遊ぶ。 そうした純粋な行為を膨らませていくこと自体が、幸福への道だとさえ思う。 太郎さんの絵を見ていると、何かがハッとする。本物の絵が放つ霊力はすさまじい。美術館は霊感を受け取るパワースポット。 川崎市岡本太郎美術館は、来年春から3年!も長期休館にはいってしまうので、ぜひ2026年3月までに一度遊びに行ってほしいですー。 (*2026年3月30日~2029年3月31日の期間、改修工事に伴い展示室での展覧会を休止します。とのこと。) ----------------------- 「つねに死の予感に戦慄する。 だが死に対面した時にこそ。 生の歓喜が ぞくぞくっとわきあがるのだ。 血を流しながら、 にっこり笑おう。」 ----------------------


「タローマン大万博 川崎パビリオン」@川崎市岡本太郎美術館
川崎市岡本太郎美術館では、「タローマン大万博 川崎パビリオン」。もやっていた。 EXPO2025は終わった、と思いきや、ここでは川崎パビリオンとしてタローマン大万博が行われている、と。 しかも、タローマン自体はパロディでありながら、虚実が入り混じって、虚数と実数が融合した複素数平面にようになっていて、オイラーの定理のように、数学における指数関数(e)と虚数(i)と円周率(π)を混ぜ合わせて、実数に戻る(e^iπ=-1)、のような不思議な世界。 芸術をエンタメとパロディとフィクションで包み込みながら、それ自体が現代美術の様相を呈しつつ。能と狂言の関係性のようにシリアスなものをユーモアで相対化するような不思議な位相は、まさに陰と陽の太極図。 映画まで見に行ったファンとしては、太郎(&藤井亮さん)の「真剣に命がけで遊べ」というのがリアルに感じ取れる。 面白かったし、実物見れて感動。 しかも、この展示だけなら無料で見れる!という太っ腹。素晴らしい! 12/14まで。 ----------------------- 常設展「生きることは遊ぶこと」関連展示イ


平和大ばくはつ ドッカーン@第14回キッズTARO【未来を見た】
第14回キッズTARO【未来を見た】に、子供の作品が入選したので実物を見に川崎に。 川崎市岡本太郎美術館は生田緑地の中にある。 公園に遊びに来る楽しい朗らかな気分のまま美術館の空間に入れる組み合わせは本当に素晴らしく、太郎さんもきっと喜んでいるだろうと。 子どもは、大人が思っている以上にことの本質をつかんでいるもの。 3歳ころの我が子が、岡本太郎の「傷ましき腕」から感じ取っていたことや、本物の太郎の作品の対峙した時のことなど、新刊の「肯定からあなたの物語は始まる」【第4章】たましいの力 の中に書いてたりします。 cf .●【Book】2025/11/17:稲葉俊郎『肯定からあなたの物語は始まる』(講談社)( Amazon )( 講談社Web ) いづれにしても、子供の芸術の眼を見抜く力はすごいものです。そして、その子どもの繊細に感じている力自体を感じとるのは大人の側であったりもするので、結局は子どもよりも大人のほうが試されているのかなぁ、とも。 子どもの感じる力を、大人が感じ取る力。 ほかの子どもたちの作品にも、形にならない思いが無音で爆発してい


青熊書店@大岡山
大岡山の青熊書店に。 熊本高校の先輩が古書店をされていると高校の会報で知り、日吉から立ち寄りました。 夫の青森と、妻の熊本をがっちゃんこさせて、青熊書店のネーミング。 ギュッと詰まった本の空間は、松岡正剛さんの遺志も受け継ぎながら、本への愛が溢れた空間。 右から左へと本を流すのではなく、店主の愛ある編集が入る事で、本自体が別の意味と価値を帯びる。 わたしも本やレコードには恩恵を受けた。恩返しをしたい。 小さくともよいので、魂がほっこりする古書店を軽井沢でやってみたいな、という気持ちが岩清水のようにコンコンと湧いてきたー。いのちの居場所。古書は先人の魂の継承。 講談社から出る新刊本も置いて下さるみたいです。 2025/11/17:稲葉俊郎『肯定からあなたの物語は始まる』(講談社)( Amazon )( 講談社Web ) 温泉小説と、九州の千夜千冊、を購入。 熊本つながり、で、からしれんこんうまい棒、までいただいてしまいました。新幹線のおつまみに。 また大岡山、立ち寄ります! 青熊書店 住所 〒145-0062 東京都大田区北千束1-53-11...


俳優座「存在証明」@シアタートラム
俳優座の「存在証明」@シアタートラム、を観た。素晴らしい舞台! 絶対的な真理を追求する実在する数学者たちがモデル。 戦争という異常が日常に置き換わった時に、現実世界とどう折り合いをつけていくか。 数学的な真理を追求することを、わたしたちが真善美、理想、あるべきもの、に置き換えて考えてみると、誰にでも心当たりがある事柄だと思えた。 「ことば」というものも考えさせられた。 特殊なことばを扱う人は、状況次第ではあたまがおかしい、とされ、排除や隔離の対象になる。ただ、そのことばは、日常とは違う層では深い真実の響きを含んだもので、そのことばの深層の意味を発見できる人がいるかどうかで、ことばは違う意味を帯びる。 ことばは時に数学であり詩であり芸術であり、呪術でもあり。 ことば自体も出会うべき人を待っているのかもしれない、とも思った。 「存在証明」というタイトルが暗示するように、わたしはここにいる、という存在の地平は、より深い次元にある「いのち」のことばとの出会いを求めているようだ。それはルーツ、根、と言ってもよいかもしれない。 素晴らしい演劇体験。まさに魂の


「からだとこころの健康学」NHK出版(2019年)8刷
もう6年前、稲葉俊郎「からだとこころの健康学」NHK出版(2019年)の本が、増刷で8刷になったとの事でした。 打ち合わせは東大本郷キャンパスの喫茶ルオーでやってたなぁ、というのが懐かしい記憶です。思い出すとカレーとコーヒーの匂いが蘇ります。 わたしの本は爆発的に売れることはないんですが汗、地道に売れ続けているらしく嬉しいです。 この本は東京から新大阪に行く新幹線、3時間弱、で読破できる想定のリズム感で書かれています。 ですので、新聞を読むくらいなら、ぜひこの本を、ということで。 ちなみに。 Z会中1アドバンスト国語試験採用(2020年度)、新潟薬科大学 小論文採用(2021年度)、鷗友学園女子中学校 国語入試採用(2021年度)、文化学園大学杉並中学校 国語入試採用(2024年度)) ・・・など、大学や中学(小学生が解いているわけですね汗)など、いろいろな入試に使われているので、心が壊れそうになる前に、ぜひ受験生にも読んでいただきたいですー。 ●2019/9/25: 稲葉俊郎「からだとこころの健康学」 NHK出版 (→ NHK出版 、 Amaz


稲葉俊郎『肯定からあなたの物語は始まる』(講談社)(2025年11月17日)
やっと新刊の書影が出てお見せできます。(AmazonはKindle版をクリックすると見れます) 11/17月曜日に、稲葉俊郎『肯定からあなたの物語は始まる』(講談社)という新しい単著が出ます。 私がコロナ禍で必死に診療をしていたとき、否定の言葉の渦があらゆる領域に押し寄せていました。その渦に飲み込まれ心身の傷を負っている人を多数見ました。「ことばのくすり」という本を2023年に大和書房から出したものも、懸命に私なりの抵抗を見せた本でした。今回、コロナが明けた時代の中で、今回の本を書いています。 2024年は、あまりの診療の過酷さからバランスを崩して医療現場から一歩引いた時期でした。 ただ、ちょうどその時に象徴的な死から再生や「蘇り」とも言えることがたくさんありました。それは神仏の力であり、地球(自然や温泉)の力でした。 同じ2023年ころに、「山のメディスン―弱さをゆるし、生きる力をつむぐ―」(ライフサイエンス出版)を書きあげたとき、私は人間を師とするのではなく、自然そのものを師と仰ぎ、師である自然との関係性の中で登山や夏山の山岳医療にも明け暮れ


富士山(不死山)
太郎(or太陽の塔)からの禅の公案として、700万年後の未来の人類をイメージしていたとき、新幹線から富士山(不死山)が顔を見せた。不思議な雲と共に。 人間は、いづれ雲や山のような存在物に溶け込んでいく、有機物と無機物との区別は一時的なもの、この世がそもそも仮の宿(「常世(とこよ)」に対する「現世(うつしよ)」)、と考えていたのは、ほんの100年前くらいのコモンセンス(共通感覚)。 雲には水として、山には菌が分解した養分として、霊は山に帰り祖先として。死者は、土に還り、天に昇り、循環の環そのものとなる。 人間は山や水、自然へと変化することで、過去・現在・未来という「とき」を結び、生類や自然という「いのち」も結び、壮大な円環を結ぶ。しめ縄のように、しっかりと。 そんな時代の記憶は、今でも神話や物語が、コトバという乗り物で遠い太鼓のように語りかけていること。 悠久の過去への眼差しと、未来へのヴィジョンこそが、【現在】を変容させる。 「芸術は呪術だ」 太郎の祈りは、次世代に託された。