

大谷地鉱泉@御代田
軽井沢のお隣、長野県北佐久郡御代田町にある大谷地鉱泉(おおやちこうせん)。 江戸時代に開湯した200年以上の歴史を持つ日帰り入浴施設(公衆浴場)。 アトピーなどの皮膚病や胃腸病に効能がある名湯として、地元住民の人々に長く愛されている。 炭酸カルシウム泉(含メタケイ酸)。無色透明でさらりとした浴感だが、湯温が42度〜44度と熱めの温度設定なので、一気に汗が噴き出す。 4人ほどが入れるコンパクトな石造りの浴槽。 誰かの自宅のようなアットホームな空間。 アメニティもないので、さっとひとっぷろにちょうどいい。 銭湯(公衆浴場)扱いなので、金額も500円で安い。 ここは、川端康成とその妻・秀子夫人が、この鉱泉の優れた泉質を気に入って静養に訪れていたらしい。 茅葺屋根も、川端夫妻がぜひ残した方がいい、と助言したこともあり、なんとか残しているとのことだ。 御代田のTSURUYAのすぐ近くで、田園風景の中で突然現れる湯治場に、癒される。 大谷地鉱泉が「温泉」ではなく「鉱泉」を名乗るのは、地中から湧き出たときの温度が25℃未満(冷たい水)だから。...


湯河原 温泉 滝 則天去私
湯河原は、温泉の泉質もいいが、町の風情もいい。 町の風情や自然の景観は、人間がそう簡単に作れるものではなく。 湯治では温泉に何度も何度も入り、汗を出す。 特に、今の時期は冬の身体から夏の身体へと切り替わる時期で、発汗させて全身の毛穴を開き、身体自体を「閉じる」モードから「開く」モードに移行する必要があって、温泉は最適だ。 湯河原の主泉質である塩分と石膏成分は、肌の表面に微細な膜を作る。これが熱を逃がさず、体の「芯の芯」まで熱を届ける。表面だけが熱くなるお風呂と違い、骨から温まるため、全身の毛穴が根元からしっかりと開く。 弱アルカリ性のやさしいお湯が、冬〜春にかけて硬くなりがちだった皮膚の表面や毛穴の詰まりをマイルドに柔らかくしてくれる。汗腺の「蓋」が外れ、スムーズに発汗できる状態に導いてくれる。 「閉じる(交感神経・緊張)」から「開く(副交感神経・弛緩)」への切り替えには、長湯をしても体に負担の少ない、湯河原のような優しくまろやかな泉質がよい。 温泉で汗を書いたらしっかり水分を取り、万葉公園や不動の滝に散歩に行く。 露天風呂もそうだが、日本の空間


「生と死を往還 自由の旗を振った」(美輪明宏を悼む)横尾忠則評
7月1日の朝日新聞でも、横尾忠則さん評による「美輪明宏を悼む」テキストが。 簡潔にして本質を突いた美輪さん評。 美輪さんも横尾さんも、現実と非現実、合理と非合理、真実と虚偽、この世とあの世、美と醜・・・・あらゆる対立物を常に一つ上の次元から見つめている眼差しがある。 その天界まで通じる眼差しをもって、圧倒的な美意識と技術で「表現」として顕在化させることができる方。言語でも非言語でも同等のレベルで。 そうした生きざまには、常に畏怖や敬意を感じると共に、同時代に生きるものとして学ばさせてもらうことが多い。お二人とも心の師である。 ============== ・彼の純粋で素朴、無垢な生き方に僕は共鳴、共感、示唆され続けることになっていった。 ・次々と偶然を必然に変えていった。まるで生きながら死者の領域を自由自在に往還しているように見えた。 ・自らの霊的能力をメディアを通して社会化していった。 ・美輪さんはまるでこの世をあの世のシュミレーションのように考えているのか、それとも自分自身も死者であるかのように振るまい、一方現実では核を否定しながら美の伝導


「この世のすべての問題を解く鍵は 愛です」(美輪明宏)
敬愛する美輪明宏さんが逝去された。 美輪明宏公式サイトで公開された直筆メッセージ(遺言となる言葉)は、美輪さんらしい言葉だった。 ------------------- こんな世の中を 生き抜く武器は 愛の言葉しかありません この世のすべての問題を 解く鍵は 愛です 愛があれば 戦争なんか起こりません 美輪明宏 ------------------- 美輪さんは、「ヨイトマケの唄」を歌い、きれいごとだらけの現代社会を壊し、厳しい現実を見ながら誇りを持って生きる人間の真実を高らかに歌い上げた。 ●ヨイトマケの唄 「愛」を唄いあげながら、生々しいリアルな現実を生きる覚悟を語った人だった。 どんな環境でも美意識や品格を失うな、と。 現実から逃げず、生きていく覚悟としての深い愛を語り続けた方だった。 美輪さんの著作からは大きな影響を受けた。 横尾忠則さんと共に、生き方含めて尊敬する方だった。 ちなみに、横尾さんのアトリエには、若き日の美輪さんと横尾さんを篠山紀信さんが撮影した写真が今も飾ってある。(美輪明宏さんが横尾さんのメイク(紅筆で唇を塗る)を手ほど


石川竜一 個展「よ」@MIYASHITA PARK South 3F
渋谷の宮下パークの「SAI」(SOUTH:3F)にて、石川竜一写真展「よ」が開催されています。 石川竜一さんは、一本ネジが外れた?天才のような人で、この世界を見ているレンズが一般の人と少し違います。 ただ、だからこそ、対象そのものを見ている人とも言えるし、対象そのものを写真で映し出そうとしている写真家でもあり、私は「対象そのもの」を実際に映し出せている人でもあると思います。 石川竜一さんは沖縄の方ですが、ポートレートは沖縄の方々だけではなく、彼が出会ってピンと来た人たちが大勢撮られています。クオリア(質感)に焦点があてられた写真たち。 また、現地の展示会場が面白いんです。 まるでそれぞれの人の雑然とした自宅に迷い込んだような、それぞれのペルソナ(仮面)を外した実像を見よ、と言われているかのような不思議な展示空間に、彼の天性のセンスを感じました。奥では小さなピラミッドがあり、そこから石川さんが採取した自然音が醸し出されていますが、そのピラミッドは人間のすべての属性を外した魂のような存在なのでしょうか。 色々と思いを馳せながら、意外に広い展示空間を見


HIMARIさん+NHK交響楽団@NHKホール
HIMARIさん、というバイオリニストがいます。 2011年生まれ(14歳)。3歳からヴァイオリンを始め、4歳から出場した国内外42のコンクールですべて1位(グランプリ)を獲得。 自分は6年くらい前?にネットで演奏を見て、あまりの次元の違いに驚愕して、その後、ずっとHIMARIさんの成長を見守り続けています。 HIMARIさんが音楽の究極の次元に向かって、絶え間なく進歩前進している姿に、いつも感動をおすそ分けしてもらっています。 HIMARIさんは、2022年(11歳)で、アメリカ・フィラデルフィアにあるカーティス音楽院に史上最年少で入学して、今も研さんを続けています。2025年(13歳)にはベルリン・フィルとも共演。しかも、ヴィエニャフスキ:『ヴァイオリン協奏曲第1番 嬰ヘ短調 op.14』という難曲を。すさまじい演奏でした。 今年のGWには、NHK総合で『NHKスペシャル バイオリニストHIMARI 〜14歳、その響きの先に〜』も放映されて、大ファンの私たち家族はもちろん見たわけです。 TVでは、カーティス音楽院でのアイダ・カヴァフィアン(I


軽井沢書店さん ありがとう
軽井沢書店さん。本店は軽井沢駅の近くに元々あったところで(デリシアの横)、中軽井沢店はKaruizawa Commongrounds内の素敵な場所にある。軽井沢の文化度を支えるありがたい存在。 本店に立ち寄ったら、『肯定からあなたの物語は始まる』(講談社)も含めて、著作をたくさん置いてくれていてうれしかった。本屋さん用のPOP(ポップ)も大切に置いてくれていて光栄。 ネット販売だけでなく、ぜひ本屋さんでもお買い求めください~。


コンドルズ『ALL YOU NEED IS LOVE』@彩の国さいたま芸術劇場
コンドルズ『ALL YOU NEED IS LOVE』@彩の国さいたま芸術劇場を見た。 結成30周年!のコンドルズは、やっぱりすごかった。抱腹絶倒、七転八倒だった。ダンスという概念を超えて、異世界と異次元を体感する時空の旅にいつも驚かされる。 良平さんの創作は、日々の中で出会う「面白いもの」「ひっかかるもの」を、でたらめにシャッフルしながら、一つのプロットで鮮やかにつなぎ合わせている白魔術のような気がする。 スケールのサイズの違いはあれども、大小さまざまな気になることには心の琴線に触れる「何か」があって、その「何か」をおむすびのように球体にニギニギして数珠のようにつなぎあわせてナミアミダー、と言っているかのように。色んな次元が錯綜している。 コンドルズがいつも学ラン(学生服)であることも、学生時代にくだらないことに笑い転げていた時代、「箸が転んでもおかしい時代にタイムスリップさせてくれる装置のようだ。 コンドルズのメンバーは本当に多彩で才能ある個性ある人々の集団で、その個性ある人たちが「面白いこと」をする一点、熊楠の言う「萃点(すいてん)」(万物


「いのちのリズム、魂のリズム」『CONTE MAGAZINE VOL.3 SUMMER 2026 』
2021年以来、5年ぶり!の発売となる「CONTE MAGAZINE」の3号目は、320ページの読み応えあり!!の1冊。 特集は「息づくリズム。」。 色々なリズム(暮らし、自然、音楽、土地、街、言葉、身体、祭り・・・)を中心に、素敵な写真と文章でしっかりと読み心地十分です。こんなにずっしりくる雑誌は久方ぶり。 沖縄から発行される本なので、特に「沖縄」という土地にも焦点をあてています。 辺戸名直子さん×Coccoさん、大友良英さん、赤阪友昭さんなども寄稿されていますが、 ●稲葉俊郎「いのちのリズム、魂のリズム」 私も渾身のテキストを書きました。 特定の書店さんやOnline販売がメインですので、ぜひお手に取ってお読みいただきたいです! 作り手のみなさんの、手作り感と熱い思いを感じてください! ●【Magazine】2026/6/9:『CONTE MAGAZINE VOL.3 SUMMER 2026 』:稲葉俊郎「いのちのリズム、魂のリズム」 ◆CONTE MAGAZINE Web https://contemagazine.com/ ◆online


南方熊楠記念館 子産石・燕石考 可思議・不可思議
白浜の南方熊楠記念館にも立ち寄る。 岬がある番所山(ばんしょやま)公園の山の上に位置していて、植物力旺盛の森のような中にある記念館は、熊楠らしかった。 熊楠の緻密な文章とメモ書きは狂気を感じさせる力が溢れ、呪術とも言える不思議なパワーを放っていた。 「子産石(こうみいし)」や「燕石(えんせき)」の実物があったことにも感動。 熊楠は、石が子供を産む・石が成長するという世界各地の「生石伝説(いきいしでんせつ)」に強い関心を持っていた。 熊楠は科学雑誌『Nature』へ「真珠が子を産むこと」に関する論文を投稿するも掲載はならなかった(ただ、彼はNatureに51篇もの膨大な論文を掲載している)。 その後、熊楠は生涯をかけた大論文『燕石考(英文原題:The Origin of the Swallow-Stone Myth)』に取り組む。その中にも世界中の「石が石を産む」伝承や、石の内部に別の石が含まれている現象を博物学・民俗学の両面から網羅的に考察している。 (ちなみに、『燕石考』は和歌山・那智隠棲時代に完成させた大論文だが、当時は未刊に終わっている。)