

『The Complete Posters of Tadanori Yokoo from 1953 to Today』 横尾さんの愛と精神世界
『The Complete Posters of Tadanori Yokoo from 1953 to Today』は、横尾忠則さんのベルリンでのポスター展(2026年)の図録。 高校時代の処女作、1953年から現在までの約1000点を収録。2冊の函入りカタログは全1164ページに及ぶ大ボリューム。 横尾忠則さんは1000点のポスターだけでもあらゆるバリエーションがある(そもそも、ポスター作品だけではなく、本やレコードの装丁、絵画も含めてさらに莫大にある)。 ポスターのデザインの凄さもさることながら、見た目の奇抜さ、だけが大事なのではなくて、作品とつながりある自分自身の内界や精神世界との連動・連結・融合がしっかりとあることが、いつもすごい、と思う。 ・ジョン+ヨーコ・レノンのよびかける愛と平和のクリスマスパーティー (横尾忠則 ポスター/1969年,日比谷野外音楽堂) WAR IS OVER! 戦争は終りだ・・・それは君次第 1969年の時代。 ・『ブッダは捜して見い出されるものではない それ故、己が自身の心を熟視せよ。―ミラレパ』 1976年


中村環, パウロ・コエーリョ (原著)「アルケミスト 夢を旅した少年 (KADOKAWA MASTERPIECE COMICS)」 武論尊漫画塾の卒業生
ブラジルの作家パウロ・コエーリョによる小説『アルケミスト 夢を旅した少年』。翻訳は山川 紘矢, 山川 亜希子ご夫妻。1988年に発表され、世界的なベストセラーになった本。 武論尊漫画塾の卒業生である中村環(たまき)さんによるコミック版を見つけて読んだ。 山川夫妻の名訳で以前読んだことあったが、 「前兆に従うこと」、「心の声を聞くこと」、「何かを強く望めば、宇宙のすべてが協力して実現を助けてくれる」・・・など、重層的なシンプルなメッセージが、物語の形ですうっと染みるように入ってきた。 ●中村 環 (著), パウロ・コエーリョ (原著)「アルケミスト 夢を旅した少年 (KADOKAWA MASTERPIECE COMICS)」(2024、KADOKAWA) ●パウロ・コエーリョ (著), 山川 紘矢 (翻訳), 山川 亜希子 (翻訳)「アルケミスト 夢を旅した少年 (角川文庫)」(1997) 羊飼いの少年サンチャゴが、エジプトのピラミッドに隠された宝物を探す旅に出る物語。その過程で出会う錬金術師(アルケミスト)や不思議な老人たちとの交流を通じて、人生


竹内整一『「かなしみ」の哲学』 日本精神史の源流へ
北斗の拳で「かなしみ」を知ることこそが奥義であると改めて読んだ。小学生の時の、うっすらした記憶がある。 その後、自分は医学部に入ったものの、学ぶ内容に物足りなさを感じ、宗教学、倫理学、哲学の講義に勝手に潜り込んだ。その中で、東大倫理学の竹内整一教授の講義を一番熱心に聞いた。 というのも、竹内先生の講義は「かなしみ」と日本思想史がテーマだったから。 例えば、『「かなしみ」の哲学』(NHK出版)では、日本人がなぜ古来より「かなしみ」を大切にしてきたのかが書かれている。 「かなし」の語源は「……しかねる」の「カネ」と同根。「かなし」には、自分の力ではどうしようもない「無力さ」や「切なさ」が根底にある。 それは、大切なものを失う「対象喪失」の感情でもあり、「死にゆく自分」という自分自身の死も含まれる。 「かなし」は、同時に「愛(かな)し」でもあって、「悲しい」という否定的な意味だけでなく、「愛(かな)し)」という慈しみの意味も持っていた。どうしようもなく愛おしいという感情は、相手の「かけがえのなさ(有限性)」を実感することから生まれる。...


『北斗の拳』 「愛」と「かなしみ」の物語
イタリア・メローニ首相は『北斗の拳』ファン。 メローニ首相が来日したとき、『北斗の拳』の作者・原哲夫氏との面会を希望し、ケンシロウとラオウが描かれたサインをプレゼントされた。 『北斗の拳』は、週刊少年ジャンプ1983年から1988年まで連載されていたが、イタリアでも80年代から出版され、今でも高い人気を誇るようだ。 自分も小学生の時に熱心に読んだ。当時のPTAや教育委員会関係者は、「あんな暴力漫画を読んだ子供は暴力的になるので禁止だ!」と、騒いでいた。自分はぜんぜん暴力的にはならなかった。 そもそも、子どもは大人よりも本質をより深く理解している存在だ。大人の方こそが、表面にとらわれている、と、子どもながらに思っていた。 そもそも、北斗の拳のテーマは「愛」と「かなしみ」の物語。 核戦争後にすべてが荒廃した時代の中で、「愛」と「かなしみ」に目覚める物語として描いている。子どもの時にも「かなしみ」というテーマ性の深さを感じていた。 ケンシロウは相手を倒すたびに「かなしみ」を自らの血肉へと変えて強くなっていく。戦う相手も悲劇的な過去を抱えているからだ。.


一年(ichinen_karuizawa)@軽井沢レイクニュータウン
軽井沢で新規オープンしたばかり!の素敵なお店「一年」に。 場所はレイクニュータウン別荘地の中。 軽井沢レイクニュータウンは、1960年代にスイスのリゾートをモデルとして構想され、人造湖のレマン湖を中心に発展。 一時は廃れていた時期もありましたが、「レイクガーデン」やレマン湖周囲の「KOHAN」(小さな商店街エリア)に素敵なお店(Horse and the sunや、今回の一年など)がオープンしてきたことで、大人の隠れ家的な雰囲気に生まれ変わっている! そういえば。 レイクニュータウンには「Sajilo Cafe(サジロカフェ)」を手掛けるニールさんと加世子さんご夫妻が作られたヨーロッパの古城を思わせる「HOTEL CORINTHE(ホテル コリント)」もオープンしていたりする。(今度見学に行きたいー。) 「一年」は、フィンランドのシナモンロールとサーモンスープが楽しめる。 店主は料理家でお菓子作家の吉崎亜紗子さん。 そして、内沼晋太郎さんが選書し厳選された本もあり文化的な場所。 2階には工芸品や衣服などを販売するアート&クラフトギャラリー「fri


角川武蔵野ミュージアム
本好きとしては立ち寄りたい、と思っていた角川武蔵野ミュージアムへ。隈研吾さんがデザイン監修。外壁の「石」は花崗岩約2万枚!を使用し、約1,200トンにもなるらしい。 外観の重厚な「岩」のイメージと対照的に、内部は迷宮のような空間だった。 編集工学者・松岡正剛氏の監修による、約2.5万冊の本には大興奮。 2010年頃、丸善丸の内本店で松岡正剛さんによる「松丸本舗」という実験的書店空間があって、何度も訪れた。今回はその巨大版という感じ。 本の迷宮を歩いているだけで、書影を見ているだけで、読書した気持ちになる。 角川武蔵野ミュージアムの原点ともなる角川春樹さんは、出版・映画界での功績もさることながら、神がかり的なエピソードが多くて好きな方。獄中での神秘体験のエピソードは流石という感じだった。 角川春樹のような規格外、常人ではない方の会社だからこそ、こうしたミュージアムもできたのかな、とも。 角川武蔵野ミュージアムでは色々なレア本も読みふけることができて楽しい時間だった。 三島由紀夫を被写体とした細江英公氏の写真集『薔薇刑』。 初版は1963年に杉浦康平


岩手大学教育学部 2026年度の入試『山のメディスン』
岩手大学 教育学部 の2026年度の入試問題に、『山のメディスン―弱さをゆるし、生きる力をつむぐ―』(ライフサイエンス出版)(2023年)を採用いただきました。ありがとうございます。入試に使われるのはとっても嬉しいです。 ● 稲葉俊郎「山のメディスン―弱さをゆるし、生きる力をつむぐ―」(ライフサイエンス出版) (2023年11月30日) 設問から読み解くに、「いのち」をフィロソフィーとして考えていくこと、分断や差別ではなく「対話」を求め続けていくことを、岩手大学に来る方には求めている、ということがよく伝わります。素晴らしい大学! 設問1:「いのちのフィロソフィー」という考え方と組織の在り方について、本文の内容に即して400字以内で説明しなさい。 設問2:「対話」は、教育b現場においてどのような効果をもたらすか、本文全体をふまえてあなたの考えを800字以内で述べなさい。


『平和とは、ただ闘いのないことではなく、魂の力より生まれる美徳である。』スピノザ「国家論」(宮下真「なかよくなることば」)
毎晩、子供には絵本の読み聞かせをしている。 声の波動から受け取る力を育てるために。視覚は騙されやすいから。 ちょっと前は古事記がヒットしていた。 今は、この 「なかよくなることば」 (永岡書店、2017) という含蓄ある素敵な絵本がヒット。 読み聞かせている自分も、自分自身に読み聞かせるようにして。 --------------- 『平和とは、ただ闘いのないことではなく、魂の力より生まれる美徳である。』 スピノザ「国家論」 --------------- 『ずっと昔から人間のたましいが求めてきたもの、それが平和なんだ。』 宮下真「なかよくなることば」 --------------- --------------- 『戦いは知らざる人には甘美なれど、知る人はその近づくをあまりにも怖れる。』 ピンダロス --------------- 『戦いにあこがれるのは、本との戦いを知らない人だけだよ。』 宮下真「なかよくなることば」 --------------- --------------- 『戦争は戦争のために戦われるのでありまして、平和のための戦争など


『ウェルビーイング学入門』(武蔵野大学出版会)
「ウェルビーイング学入門」(武蔵野大学出版会)が出ます。4/10発売です。 武蔵野大学 ウェルビーイング学部 ウェルビーイング研究科の教員が勢ぞろいで書いています。 主に、大学選びで迷う高校生向けに書かれた本なので優しい言葉で書かれていますが、読みやすいだけにウェルビーイング学が扱う世界の全体像が俯瞰できるかと。 私はChapter2:社会の分野とウェルビーイングの中の「9.文学・芸術(お茶、舞踊、文学)とウェルビーイング」 を執筆しています。 ページ数が少ないことと高校生をイメージして平易に、ということもあり、そこまで深い論考は書けていないのですが(『ころころするからだ』春秋社(2018)ではじっくり書いています)、どの教員の先生の内容も面白いのでぜひお読みください~。 ●2026/4/10:『ウェルビーイング学入門』(武蔵野大学出版会):Chapter2:社会の分野とウェルビーイング「9.文学・芸術(お茶、舞踊、文学)とウェルビーイング」 (稲葉俊郎) https://www.amazon.co.jp/DP/4903281736


『婦人画報(2026年5月号)』:「追悼―ファトマ・ハッスーナ」 (稲葉俊郎)
4月1日発売の『婦人画報(2026年5月号)』に、「追悼―ファトマ・ハッスーナ」として、私も文章を寄せています。 ファトマ・ハッスーナは、パレスチナ・ガザ地区出身の写真家(フォトジャーナリスト)。 ガザ紛争下での日常を世界に発信し続け、彼女を追ったドキュメンタリー映画『手に魂を込め、歩いてみれば』(イラン出身のセピデ・ファルシ監督、2025年)がカンヌ映画祭の出品作品となり、その報告をした翌日に、彼女は現地の空爆で家族と共になくなってしまいました。 映画『手に魂を込め、歩いてみれば』も、そうした戦時下の1日1日が命がけの日常がとられていて、複雑な気持ちになる映画です。 映画が見れなかった方も、2026年4月18日~5月17日に開催される第14回「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」でもファトマ・ハッスーナの写真が展示されますので、ぜひご覧いただきたいです。 世界中で戦争が起きていますが、領土、資源、そして宗教戦争など・・・、色々な争いの種があります。 一度争いが起こり、怒りや恨みや復讐がはじまると、なかなか止めることができません。...