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手と足と口

子どもが手足口病になった。

(手足口病って、あらためてすごい名前だ。英語でもHand, foot and mouth disease(HFMD)と呼ぶ。なぜエンテロウイルスはこんな正確に手と足と口に症状を出すのだろう?不思議でならない)

子どもは39度後半の発熱で苦しみ、口内炎でまともにご飯も食べれなくなり、そばにいる自分は見守るしかなく、ハラハラした。

改めて、生きていることが、ほんとうに奇跡の連続だ。

そして、食べることは生きることだ。

ほんのひと口のヨーグルトが食べれるようになるだけで、感動する。

新しい免疫システムを作るのは本当に大変で、命がけなんだなぁ、と。

何らかの形でどんな人もこうした苦難を乗り越えて、子どもから大人になっていく。

改めて考えたこと。

子どもにとっては、家族との暮らしが世界のすべてだ。 もし親に愛されなければ、死んでしまう。 もし親に放置されたら、死んでしまう。 そういうことを子どもは無意識で知っている。

だからこそ、子どもは全身全霊で親に愛されようとする。 そのときの命がけの戦略が、大人になった時の性格形成の基礎になる。 医師として色々な人の行動パターンを見ていると、そういうことをよく感じる。

だからこそ、子どもは大人の顔色を伺わずに、自由はつらつに生命丸ごとで無条件に日々を生きていってほしい。 愛されることは無条件だ。愛することが無条件であるように。

こどもを信頼するしかない。 「信頼」は裏付けも担保もなく相手を信じること。 「信用」と「信頼」は違う。 裏切られる可能性があっても相手を信じることが信頼だ。

それは親子を超えて人間関係の基礎にある。

子どもが自身の力で体の危機を乗り越えようとしている姿を見守りながら、改めてそうしたことを思った週末だった。

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