

「さくらももこ展」@松本市立博物館
「さくらももこ展」@松本市立博物館に行った。 我が家族は、「ちびまるこ」「コジコジ」の大ファンである。 私も小学生のころから、さくらももこファンだ。 さくらももこ展を見ながら、あらためて不思議に思った。 なぜ、こんなにも長いあいだ、さくらももこの作品は古びないのだろう。 『ちびまる子ちゃん』に描かれているのは、決して特別な世界ではない。 世界を救う英雄もいなければ、大事件が起きるわけでもない。 学校へ行き、宿題を忘れ、家族に叱られ、友だちに嫉妬し、くだらないことで笑い、時にはひどく落ち込む。 そこにあるのは、誰の人生にもあるような「たいしたことのない出来事」ばかりだ。 けれども、さくらももこの目を通すと、その「たいしたことのなさ」が、突然、人生そのもののように見えてくる。 さくらももこは、人間を美化しなかった。 子どもは純真で、大人は分別がある、というような描き方をしない。 子どもはずるいし、怠けるし、見栄を張る。 大人もまた、嫉妬し、失敗し、妙なことにこだわる。 家族だからといっていつも愛し合っているわけではないし、友だちだからといっていつも仲


内藤愛「午時葵の子守唄 A Lullaby for Cistus」@ポーラギンザ
「束芋画 国宝」と同じポーラミュージアムアネックス1階では、美術作家・内藤愛さんによる作品展「午時葵の子守唄 A Lullaby for Cistus」が開催されています(6月2日〜8月3日)。 自然や生命でも、「静」の中には、ミクロ世界での「動」があり、静の中の動、動の中の静、静の中の動・・・ミクロにもマクロにも入れ子状になりながら生命は循環している。静と動は対立概念ではなくて相補概念。 生と死を含む自然界の循環や調和が、繭のような儚いSoft sculptureや、動く彫刻の中で、絶え間ない生命運動を感じさせる没入的な空間となっている。 銀座の喧騒の中、生命の息吹と、自己の身体感覚、自然とのつながりに静かに向き合える展示空間。 束芋さんの展示のあとに改めて見ると、ミクロの決死圏のように、生命体の中に入りこんだような気持になるから不思議だった。 内藤 愛 「午時葵の子守唄 A Lullaby for Cistus」 ポーラ ギンザ 2026年6月2日(火)~8月3日(月) https://www.pola.co.jp/about/news/2


「束芋画 国宝」@ポーラ ミュージアム アネックス
束芋さんの展覧会「束芋画 国宝」@ポーラ ミュージアム アネックス(東京・中央区銀座)。 束芋さんの緻密な絵。そして人間からあえて魂を抜いたような浄土のような世界観にしびれた。 話題になっている「国宝」は小説も映画もまだ見てないけれど、束芋さんの「国宝」は人形浄瑠璃のよう。 人間の魂とはなんぞや?と考えさせられる素晴らしい展示。 今は前期(7/17-8/9)で挿絵500点の半分。8/11-8/30から後期で残りが展示される。 展示形式も素敵だったし、何より束芋さんの肉筆のデッサンが和紙?巻物?の上に生々しく刻印されて、目と心を奪われた。 束芋さんは、「風呂」に関しても映像インスタレーション作品『にっぽんの湯屋(男湯)』もあり、コンテンポラリーダンス作品『FURO』(イスラエルのバットシェヴァ舞踊団)もあり、いつか風呂つながりで何か生まれるといいな。 「束芋画 国宝」 2026年7月17日(金)〜2026年8月30日(日) 入場料 無料 会場 ポーラ ミュージアム アネックス http://www.po-holdings.co.jp/m-annex


「ビート&アートたけし展」「蔦重FIRST SELECTION」@銀座 蔦屋書店
銀座 蔦屋書店にて、北野武(ビートたけし)さんの絵画展示「ビート&アートたけし展」が2026年7月20日(月)〜7月21日(火)の2日間だけ開催された。ちょうどその時に銀座にいたこともあり、事前応募した上で見てきた。 たけしさんの質感をともなった絵画は恐ろしく素敵なものばかりで驚いた。テーマも多彩で、漫才の風景、心象風景、龍、シュールなど、たけしさんの脳内を覗くような展示だった。 さらに驚いたのは、ほぼ原画そのもの?!と思えるような国宝や重要文化財のデジタル保存に使われる超高精細技術(最大180億画素)を現代アートに応用した展示だったこと。株式会社サビアの技術は驚くべきもの。原画は大切に保存し、展示や巡回展はサビアの画像技術を作った展示用作品をつくることで、世界中で同時に展覧会もできるようになるだろう。 これはまさに浮世絵の考え方と同じ。浮世絵の原画は厳重補完し、摺師の技術で正式な複製品が世にでていく。そのために、CCCさんは『株式会社蔦屋重三郎商店』という会社まで作っているし、この技術は世界を驚かせるだろう。油絵のタッチまでも再現されていて驚愕


ワンヘルス(One Health)+DAO(分散型自律組織) =anima DAO
北海道の旅は温泉旅行ではなく、【ワンヘルスサミット】が主な目的! ワンヘルス(One Health)とは、「人の健康」「動物の健康」「環境の健全性」を1つの健康として一体的に守っていくという世界的な考え方。 人間の眼だけではなく、動物の眼、地球の眼、3つの眼から見て「三方良し」にしていく、という考え方は極めて重要だと思う。 「ワンヘルス(One Health)」のように複雑な要素が同時に関わっているものを、具体的にどう実現するのか? 今回のシンポジウムは【DAO(分散型自律組織)】を一つの突破口にしようというアイディアがあり、そこに強く共鳴した。私も、温泉の未来を「コモンズ(共有財産)」考える上で【DAO(分散型自律組織)】が突破口だと思っているから。 DAO(分散型自律組織)とは、中央管理者が存在せず、参加者同士がブロックチェーン上で自律的に運営する場のこと。 株式会社のようなトップダウン型ではなく、フラットな関係を大切にする。 温泉で言えば、温泉資源を守る(源泉の適正管理、配管の修繕、景観保全・・・)には多額の資金や人手が必要だけど、人口減


就実の丘 五大に皆響きあり
就実の丘(しゅうじつのおか)。 旭川市西神楽地区にある360度の大パノラマと美しい一本道が魅力の場所。 旭川から美瑛町に向かう途中に立ち寄る。 雨ですべては見えなかったが、大雪山の主峰・旭岳や十勝岳連峰のすべてを同時に見渡せる、数少ない貴重な展望スポットらしい。 北海道は、でっかいどう!を全身で体感できる場所にかんどう! (北海道の面積は日本の国土の約22%(約5分の1)) 旭川ではエバレット・ケネディ・ブラウン (Everett Kennedy Brown)さんとも旅をご一緒させていただいた。 エバレット・ブラウンさんは世界的な写真家でありながら、同時に山伏修行の実践をされていて、頭や理屈ではなく、全身で真理を体得されている真の実践者だ。まず佇まいが美しい。 すべて身体知として本質的な深い理解をされているため、その眼差しと洞察はとても深い。 ほら貝を旭川の山間で何度も聞かせていただいた。 眼をつぶって、音の反響を聞く。 山の中に複雑に響くほら貝の音を聞いているだけで、山の地形が脳の中にありありと浮かび上がってくる。物理的な地形というよりも、聴覚


ハルニレぽっぽ@旭川
One Health Summitで呼んでいただいた「緑の森動物病院」のみなさんがとにかく素晴らしい方々ばかり。 旭川にある「緑の森どうぶつ病院 旭神センター病院」の隣にできた「ハルニレぽっぽ」は、ペットと一緒に過ごせるおしゃれなカフェ。 2024年9月にオープンし、「人・どうぶつ・自然のすべてが健康であること(ワンヘルス)」をコンセプトにしている。 土を敷いて、その上にウッドチップが敷かれた温かみのある店内。ペットがそこでおしっこをしても、次亜塩素酸ですぐに消毒することができるし、飼い主も気兼ねなくゆっくりできる。 そもそも、動物が落ち着く空間は、動物の一種である人間も落ち着くはずで、どうぶつを中心に作られた空間と商品構成には、日本や世界での最先端を行っていると感じる。 特に素敵だったのが、「アニマルウェルフェア牛乳」の飲み比べ。 アニマルウェルフェア(Animal Welfare)とは、動物の「心身の健康」や「幸福」を確保しようという考え方です。 動物を感情や痛みを感じる生きた存在として尊重し、できる限りストレスや苦痛の少ない快適な環境で飼育


大谷地鉱泉@御代田
軽井沢のお隣、長野県北佐久郡御代田町にある大谷地鉱泉(おおやちこうせん)。 江戸時代に開湯した200年以上の歴史を持つ日帰り入浴施設(公衆浴場)。 アトピーなどの皮膚病や胃腸病に効能がある名湯として、地元住民の人々に長く愛されている。 炭酸カルシウム泉(含メタケイ酸)。無色透明でさらりとした浴感だが、湯温が42度〜44度と熱めの温度設定なので、一気に汗が噴き出す。 4人ほどが入れるコンパクトな石造りの浴槽。 誰かの自宅のようなアットホームな空間。 アメニティもないので、さっとひとっぷろにちょうどいい。 銭湯(公衆浴場)扱いなので、金額も500円で安い。 ここは、川端康成とその妻・秀子夫人が、この鉱泉の優れた泉質を気に入って静養に訪れていたらしい。 茅葺屋根も、川端夫妻がぜひ残した方がいい、と助言したこともあり、なんとか残しているとのことだ。 御代田のTSURUYAのすぐ近くで、田園風景の中で突然現れる湯治場に、癒される。 大谷地鉱泉が「温泉」ではなく「鉱泉」を名乗るのは、地中から湧き出たときの温度が25℃未満(冷たい水)だから。...


湯河原 温泉 滝 則天去私
湯河原は、温泉の泉質もいいが、町の風情もいい。 町の風情や自然の景観は、人間がそう簡単に作れるものではなく。 湯治では温泉に何度も何度も入り、汗を出す。 特に、今の時期は冬の身体から夏の身体へと切り替わる時期で、発汗させて全身の毛穴を開き、身体自体を「閉じる」モードから「開く」モードに移行する必要があって、温泉は最適だ。 湯河原の主泉質である塩分と石膏成分は、肌の表面に微細な膜を作る。これが熱を逃がさず、体の「芯の芯」まで熱を届ける。表面だけが熱くなるお風呂と違い、骨から温まるため、全身の毛穴が根元からしっかりと開く。 弱アルカリ性のやさしいお湯が、冬〜春にかけて硬くなりがちだった皮膚の表面や毛穴の詰まりをマイルドに柔らかくしてくれる。汗腺の「蓋」が外れ、スムーズに発汗できる状態に導いてくれる。 「閉じる(交感神経・緊張)」から「開く(副交感神経・弛緩)」への切り替えには、長湯をしても体に負担の少ない、湯河原のような優しくまろやかな泉質がよい。 温泉で汗を書いたらしっかり水分を取り、万葉公園や不動の滝に散歩に行く。 露天風呂もそうだが、日本の空間


「生と死を往還 自由の旗を振った」(美輪明宏を悼む)横尾忠則評
7月1日の朝日新聞でも、横尾忠則さん評による「美輪明宏を悼む」テキストが。 簡潔にして本質を突いた美輪さん評。 美輪さんも横尾さんも、現実と非現実、合理と非合理、真実と虚偽、この世とあの世、美と醜・・・・あらゆる対立物を常に一つ上の次元から見つめている眼差しがある。 その天界まで通じる眼差しをもって、圧倒的な美意識と技術で「表現」として顕在化させることができる方。言語でも非言語でも同等のレベルで。 そうした生きざまには、常に畏怖や敬意を感じると共に、同時代に生きるものとして学ばさせてもらうことが多い。お二人とも心の師である。 ============== ・彼の純粋で素朴、無垢な生き方に僕は共鳴、共感、示唆され続けることになっていった。 ・次々と偶然を必然に変えていった。まるで生きながら死者の領域を自由自在に往還しているように見えた。 ・自らの霊的能力をメディアを通して社会化していった。 ・美輪さんはまるでこの世をあの世のシュミレーションのように考えているのか、それとも自分自身も死者であるかのように振るまい、一方現実では核を否定しながら美の伝導