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『シッダールタ』@世田谷パブリックシアター

  • 執筆者の写真: inaba
    inaba
  • 23 時間前
  • 読了時間: 4分

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草彅剛さん主演。脚本は長田育恵さんで、演出が白井晃さんという豪華な舞台。ヘルマン・ヘッセの小説『シッダールタ』(+『デミアン』)をベースにしている。


主人公は仏教の開祖であるシッダールタと偶然にも同じ名前を持つ一人の男性。同時代に生きる仏教の開祖であるブッダの教えに感化はされるものの、同じ集団(サンガ)には入らず、自分自身の力で悟りを得ようとすべてを捨てて旅に出る。


探求の途上で、彼は愛欲におぼれることもあるし、商売で富を築き自分を見失うこともある。

ただ、彼はあるとき、川のほとりで水の流れを見ながら、自然の営みから大きな気づきを得る。


「川は流れていると同時に、常にそこにある」


このことは仏教での無常を、概念的な知識ではなく、体験として理解した瞬間の言葉でもあった。


ヘッセの作品の中でも、悟りそのものより、探求こそが重要であると語られる。

知識は伝えることができるが、知恵は伝えることができない。知恵は、体験され、身をもって生きることでしか得られない、と。


仏陀の集団(サンガ)に属したものは、仏陀の言葉を守ろうとするが、その言葉や概念に縛られるあまりに、自分の頭では考えることができなくなっている人たちとしても描かれる。


誰かの考えに縛られず、自分の頭で悩み考え行動する。自身の体験を通して自分自身の力で真理を獲得しなければいけない。



ヘッセの小説『シッダールタ』は大学生時代に読んだので、もう25年近く前のぼんやりとした記憶しかなかったが(+『デミアン』に関しても)、『シッダールタ』では、気付きを得る「水」や「川」のシーンがあったことだけは覚えていて、いま自分が「水」と「いのち」をテーマに探求していることも同じようなものだと思いつつ、若いときに感じていたことは、芸術体験よって唐突に解凍されることがあるのだな、とも。


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草彅さんの現在地。色々な苦難を乗り越えてきた彼だからこそ舞台最後に見せた表情や仕草が深く染みいった。


舞台美術も托鉢の鉢ような空間で造形的にも美しく。多様な身体の動きを見せる舞台としても効果的だった。

三宅純さんの音楽も古代インドにマッチしていて、さすが世田谷パブリックシアターの舞台はいつも裏切らない!

見るものに、余韻を残しながら。


どのように真理を探求して生きていくのか、と観客に問いかけるような素晴らしき舞台だった。

また、ヘッセを再読してみよう。今の自分はどこに何を感じるのだろうか。25年前の自分との再会だ。


私も新著『肯定からあなたの物語は始まる』(講談社)では舞台芸術のことを書いた章があるが、舞台を見ることは、自分自身の心の劇場を、時には魂の劇場を鏡として覗き見ながら体験することでもあると、思う。


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『シッダールタ』

「人にとって最大の謎は自分が自分自身であるということ」

ノーベル文学賞受賞作家であるヘルマン・ヘッセの最高傑作「シッダールタ」。自我が向かう先、そして人間の存在とは何かという人類の命題に、劇作・長田育恵×演出・白井晃×音楽・三宅純のタッグが挑む!

公演日程:2025/11/15(土) - 2025/12/27(土)

会場:世田谷パブリックシアター

【原作】ヘルマン・ヘッセ「シッダールタ」「デーミアン」(光文社古典新訳文庫 酒寄進一訳)

【作】長田育恵 

【演出】白井 晃

【音楽】三宅 純

【出演】

草彅 剛 杉野遥亮 瀧内公美

鈴木 仁 中沢元紀 池岡亮介 山本直寛 斉藤 悠 ワタナベケイスケ 中山義紘

柴 一平 東海林靖志 鈴木明倫 渡辺はるか 仁田晶凱 林田海里 タマラ 河村アズリ

松澤一之 有川マコト ノゾエ征爾

【美術】山本貴愛

【照明】齋藤茂男

【音響】井上正弘

【映像】栗山聡之

【ヘアメイク】川端富生

【衣裳】前田文子

【ステージング】平原慎太郎

【演出助手】加藤由紀子

【舞台監督】田中直明

【宣伝美術】永瀬祐一

【宣伝写真】設楽光徳

【宣伝衣裳】堀井香苗

【宣伝ヘアメイク】川端富生 荒井英亮(草彅 剛)

【世田谷パブリックシアター芸術監督】白井 晃


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