

葉先から届く秋 軽井沢
軽井沢では、木々の梢に少しずつ紅葉が見え始めた。緑のあいだに、赤や黄色がひと葉ずつ灯っている。 まだ秋の盛りには遠い。 けれども、朝の空気には澄んだ冷たさがあり、木漏れ日の色もどこかやわらかい。 季節は音を立てず、葉の先から静かに移っていく。 ひと足早い秋が、軽井沢に来ている。


『ブゴニア』(2026年、ヨルゴス・ランティモス監督)「誰の物語の中で、世界を見ているのか?」
ヨルゴス・ランティモス監督の『ブゴニア』(2026年)を観た。 (角田光代さんの『方舟を燃やす』(新潮社、2024)と通じるものがある映画だよと友人から言われたこと(陰謀論を入口としている点?かな。かなり遠い作品でしたが)+AmazonPrimeで観れたもので。ちなみに、この映画は暴力や残虐な描写があります。物語の展開にも触れます。) 観ている間、何度も足元が入れ替わるようだった。 誰の話を信じればよいのか。被害者と加害者は誰なのか。小さな物語だと思っていたものが、突然もっと大きな物語の一部になる。その転換が面白く、同時に恐ろしい。 「ブゴニア」とは、死んだ牛の身体から蜂が生まれるとされた、古代地中海世界の伝承に由来する言葉だ。 ローマの詩人ウェルギリウスは、これをギリシャ神話の人物アリスタイオスの物語に結びつけた。 蜂を失ったアリスタイオスは、その理由を探し求める。 やがて彼は、自分が追ったエウリュディケが逃げる途中で蛇に噛まれて死んだことを知らされる。 彼にとって最初は「蜂を失った自分の物語」だったものが、「自分には見えていなかった、他者の死