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「ここにいていい」を、つくり続ける。社会福祉法人チハヤ会

10月20日
読了時間: 4分

群馬県みどり市の社会福祉法人チハヤ会60周年記念のイベントに登壇しました。



●【Symposium】2026/10/16(Fri):13:00~17:00(開場 12:00)社会福祉法人チハヤ会設立60周年記念イベント:Day1「にじみあってつながる地域のかたちとは」14:45~15:50:講演:稲葉俊郎「「治る」からはじめるこれからの場づくり」@ぐんま未来大学ホールPAL(笠懸野文化ホール)(群馬県みどり市笠懸町阿左美1579-1)(申し込みPeatix)(開催10/16:1200-1600+10/17:1100-1800)






60年の歩みの始まりは、前へと遡ります。

1951年、長円寺の住職・石戸千隼(ちはや)さんが、戦争孤児10人を引き取り、お寺で育てたことが原点でした。


「どうしたら、この子たちが生きていけるのか」


目の前の子どもへの問いが、人を迎え入れる場所になった。その後、障害のある子どもの学びや、大人になってからの暮らし、働くことへと、活動は広がっていきます。




チハヤ会の活動見て心に残ったのは、時代ごとに問い続けてきた、その姿勢でした。


いま、目の前にいる人のために何ができるのか。小さな問いに応えようとするうちに、地域とのつながりが育ち、次の仕事や居場所が生まれてきたのでしょう。


現在の取り組みの一つに、子ども第三の居場所「おむすび堂」があります。


月・水・金の週三日、子どもたちを迎え、学びや体験、食事の時間をともにしています。現地では、こうした居場所を週三日、継続して開いている例は県内でもまだ少ないと伺いました。

困ったときに頼れることと同じくらい、いつもの曜日に、いつもの場所が開いていることは大切です。


学校や家庭でうまく言葉にならなかった気持ちを抱えたままでも、誰かのそばで過ごせる。

食卓につき、少し話し、あるいは黙っていてもいい。「また来よう」と思える場所が、暮らしの中にある。

その安心が、子どもの明日を支えていくのだと思います。





チハヤ会では、アートにも出会いました。

ガチャガチャで手に入るキーホルダーも、とてもよかった。(ガチャガチャだけの移動カーもかわいい!)




誰かの描いた線や色が、小さな作品になり、別の誰かの持ち物に添えられて街へ出ていく。

「これ、いいな」と心が動いたところから、まだ会ったことのない人との関係が始まる。


暮らす場所、相談する場所、働く場所、放課後を過ごす場所。多様な活動をたどるほど、その根にあるものは一つなのだと感じます。

誰もが安心して入れて、自分のままでいられる居場所をつくること。




法人の基本理念には、「共に歩み、共に生きる町の創造」とあります。

また、利用する方々を「メンバーさん」と呼ぶのは、入所するメンバーの会で決めたことだそうです。

一緒に場をつくっていく人として、互いの声を聴く。その姿勢が、呼び名にも息づいていました。



先に紹介した、温泉と薪の取り組みも、その延長にあります。

「MAKIT〈マキット〉」でつくられた薪が、「湯〜トピアみどモスパ」のお湯を温める。地域の木材が仕事になり、その仕事が、人々の身体を包むぬくもりになる。


森と福祉と温泉がつながり、誰かの働きが、誰かの休息を支えている。地域の中で一人ひとりの存在が、目に見える仕事や、肌に触れる温度として届いていきます。




これは、私が考え続けている「治る場」とも深く共鳴します。


安心して身を置けること。自分の声や表現が受け止められること。人との関わりの中で、少しずつ自分の力を取り戻せること。そうした条件を、日々の暮らしの中に育てていく営みです。

いまこそ、こうした場所に光が当たってほしいと思います。


扉を開け、食事を用意し、話を聴き、明日もまた迎える。その地道な仕事を続ける人たちに、社会の関心も、支える力も、もっと届いてほしい。


60周年の資料には、

「迷いながら、にじみあって、今日がある。」

と記されていました。


人を迎え入れる場所は、きっと、その場所自身も人に支えられながら育っていくのでしょう。


お寺に迎えられた10人の子どもたちから、今日の食卓へ、作品へ、森へ、湯船へ

あの日に開かれた扉の向こうで、いまも新しい居場所が生まれ続けています。


混沌とした時代の中で、本質的で先駆的で一本筋の通った取り組みを理解するために、時代がそろそろ追い付いてくるのではないか、と思います。






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