朝7時Eテレにサンダーキャットがいる
10月19日月曜日の朝7時。
偶然見ていた『The Wakey Show』に、Thundercatが登場して思わず画面を二度見!した。

あの音楽をつくっている人が、日本の子どもたちが登校する前の番組にごく自然にいる。その光景がうれしくて仕方なかった。
10月19日の放送は「アニメの名曲」がテーマ。日本のアニメを愛する彼が公園ライブに出演した。月曜から金曜、朝7:00〜7:20の番組でこんな出会いが待っているとは。
サンダーキャットは、現代の音楽を語るうえで欠かせないベーシストであり、シンガー、ソングライターだ。
フライング・ロータスとの協働を重ね、ケンドリック・ラマーの『To Pimp a Butterfly』にも参加。その収録曲「These Walls」で2016年のグラミー賞を受賞し、2021年には自身の『It Is What It Is』が最優秀プログレッシヴR&Bアルバム賞に輝いた。

●Kendrick Lamar - "These Walls" w/ the National Symphony Orchestra | The Kennedy Center
けれど、彼のすごさは、受賞歴だけでは伝わらない。
ジャズの複雑な和声がファンクの身体性と溶け合う。ソウルの甘い歌声に包まれていたら、いつの間にか電子音の不思議な空間を漂っている。ヒップホップとも自在につながり、ジャンルを分けていた境界そのものが聴いているうちに意味を失っていく。
ベースは低音で曲を支えるだけでなく、自由に歌い、ときには思考よりも速く駆け抜ける。その上を、あの柔らかなファルセットが浮かぶ。
音楽が流体になって、耳から身体へ入り込んでくるようだ。輪郭のはっきりしていた自分の感覚まで、少しずつほどけていく。私には、意識のあり方をそっと変えるような音体験に感じられる。
2017年の『Drunk』は、私の愛聴盤だ。何度も何度も、音の運びを覚えるほど聴いた。全23曲の中には、ケンドリック・ラマーやファレルのほか、マイケル・マクドナルド、ケニー・ロギンスも参加している。世代の異なる音楽が、一人の感性の中でこんなにも自然に共存できることに驚く。

●Thundercat: NPR Music Tiny Desk Concert
●Thundercat - 'Rabbot Ho'
繰り返し聴いているのに、ふいに知らない表情が現れる。心地よさに身を任せていると、どこか奇妙で少し切ない場
所へ連れていかれる。親しみやすいのに底が見えない。
その人が、朝の子ども番組にいる。
しかも、日本のアニメが好きだから、という入口から。
彼のアニメ愛は深く、『ドラゴンボール』への愛情は「Dragonball Durag」という曲にも表れている。インタビューでは、ゲーム音楽から受けた影響についても語っている。自分が面白いと思ったものに、まっすぐ心を開く。その柔軟さが、音楽の自由さにも通じているのだろう。


そして、彼をこの時間、この場所に迎えるNHKと制作陣の柔軟さセンスのよさにも感動した。
世界の音楽の先端で活動する人と、子どもたちの日常が、朝のテレビでつながっている。子ども向けの番組をここまで豊かな出会いの場としてつくる。その手を抜かない姿勢がうれしい。
子どもは、グラミー賞の意味を知らなくても音の面白さを感じられる。名前を覚えなくても、ベースの響きや声の感触が身体のどこかに残るかもしれない。
ずっと後になって彼の音楽に出会い、「この感じ、知っている」と思う日が来ることもあるだろう。
文化が人に届く入口は、こんなふうに、生活の中にさりげなく開いていてほしい。
いつもの朝に、知らなかった世界が入り込む。
その驚きを、大人も子どもと一緒に受け取れる。
思いがけず、耳も心も目が覚めた朝だった。
今日はまた、『Drunk』を聴こう。
普段、TVってあまり見ないのですが、やはり見るものですね。ふとつけたのも朝の目覚めのInspiration?


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