

同時代の物語
医療において、重要なのは「読む」力だと思う。 表層に惑わされずに、その深層で起きているプロットから真の全体像を読み取る力。 自分は「読む」力は、文学や物語や芸術から学んだ。 なぜなら、奇蹟はしばしばマイナスの形で生じるが、読む力のある者にとってそれはプラスに転じるからだ。...


コトバとカラダ
病気と闘う、という表現をした時、必ずその人の表情が変わる。 特に、眉間に皺が寄り、闘争的な顔貌になる。 心のスクリーンを体が担当しているようだ。 きっと、頭の中のイメージでは、テレビや映像で見た「戦闘相手」が映写されているのだろう。その脳内イメージが透けて見える。...


死の体験
●平等院と『あの世』(April 7, 2017)を書いていてふと思ったこと。 人は、何らかの形で「死の体験」をするとき、外的には「完全なる終わり」という事態として体験する。もう終わったのだ、二度と帰って来ないのだ、と。そのとき、内的世界では苦しみや悲しみや喪失感も伴う。...


「物語」と「音楽」の力
どんな音楽であっても物語であっても、音楽を聴く人の心の中や、神話や現代の物語を読む人の心の中では、たえず再構築や再構成が行われているような気がする。どんなに深くて目に見えなくても、そうしたプロセスは自発的に進行する。 古代のように遠い過去の世界なればなるほど、その世界は現代...


時と時の交差点で
当直中は電話で起こされまくるので、深夜テレビを見るのに最適な時間だ。 普段見ないからこそ社会勉強になる。 夜中のテレビショッピングの映像を見ていると、番組の作り方の構造自体に関心が向かう。 人間の心の死角を補いながら欲望を刺激するフォーマットなのかと、別の観点から興味深く思...


原点
3/11放映のNHKの【SWITCHインタビュー 達人達】。 リアルタイムで見て頂いた方、有難うございました。 自分をNHKで見るのはなんともこそばゆい体験でした・・。NHKはCMがないので1時間の対談番組はかなり長いんですが、あっという間な気がしました。...


生きているからこそ
音楽家の大友良英さんとのNHKスイッチでの対談。 放映日が3.11であるのは、偶然ではない・・・。 一見平和で平穏な日々が流れている。だから音楽も聞けるし本も読める。演劇も舞台も行けるし、絵も見れる。 でも、こんなことをまったく感じることができないときもあった。感覚や感受性...


人生の始まりは誰もが弱く脆い
ひとつの社会では、ルールや規則が何かを基準として作られるため、その範疇から外れてしまったり、対応できなかったりする社会的な弱者が作られてしまう。すべてのものはある面から見ると強く、ある面から見ると弱い。ものごとは常に両面性をもっているが、硬い社会制度から見ると一面的な弱い存...


Generosity for uncertainty
海外でZen(禅)やMindfulnessをしている人たちが「無我」や「空」を説明する用語として、 「generosity for uncertainty」 という表現がある。 「不確実なことへの寛容さ」という意味だろう。...


自分自身への言葉
言葉の影響を考えた。 よく、相手を傷つけるような汚い言葉を使ってはいけない。と聞く。本当にその通りだとも思う。 自分という存在は、生まれてから死ぬまで関係性を続けていく存在だ。 場合によっては、自分という存在は形態を変え、永遠に関係性が続いていく存在だとも、思う。...