

下学上達
論語の「下学上達」(憲問篇)という言葉が好きだ。 身近なことから学びを始め、真理へと到達していくこと。 子供の時の問いを大人になっても問い続け、子どもの素朴な感性を保ち続けることと似ている。 リンゴが落ちていることから万有引力へと理解が至るのか、夏至のときだけ底が見える井...


「井戸」を抜けて
「みみずくは黄昏に飛びたつ」(村上春樹、川上未映子)を読んでいる。 --------- P108-109 (例えば、ヨーロッパにおける神話の形って、いわゆる聖書とギリシア神話みたいなものの二本立てで、自分自身と神話世界がはっきり分かれていますよね。でも日本人の感性としては、...


神話、音、衣
EGO-WRAPPIN'の中納良恵さんはいつもお洒落でセンスがいい。 衣服や衣に気を使うことは大事なことだと思う。 お洒落やファッションを恥ずかしがる必要はない。 むしろ、恥ずかしがっている自意識の方が、自分は恥ずかしいとさえ、思う。...


体育と教育と医療 ‐オリンピックの可能性
自分は身心変容技法研究会に参加しています。 研究代表者である鎌田東二先生の元、現在は上智大学内のグリーフケア研究所にて開催しています。 <科研基盤研究A>もとっている、学術的で硬派な研究会。 身心変容の問題や技術を、主に宗教学や文化人類学など、広い観点で捉え直す研究会です...


夢をみる島
自分は、人生の重要な転換点で見た「夢」を大切にしている。 それは奥底の自分のイメージ世界が提示した、自分への呼びかけとして。大いなるメタファーとして。 時にそれを絵として定着させている。 (これは、結婚した時に見た夢。 一つの水滴を二人が引き伸ばしてレンズのようにして支えて...


同時代の物語
医療において、重要なのは「読む」力だと思う。 表層に惑わされずに、その深層で起きているプロットから真の全体像を読み取る力。 自分は「読む」力は、文学や物語や芸術から学んだ。 なぜなら、奇蹟はしばしばマイナスの形で生じるが、読む力のある者にとってそれはプラスに転じるからだ。...


コトバとカラダ
病気と闘う、という表現をした時、必ずその人の表情が変わる。 特に、眉間に皺が寄り、闘争的な顔貌になる。 心のスクリーンを体が担当しているようだ。 きっと、頭の中のイメージでは、テレビや映像で見た「戦闘相手」が映写されているのだろう。その脳内イメージが透けて見える。...


死の体験
●平等院と『あの世』(April 7, 2017)を書いていてふと思ったこと。 人は、何らかの形で「死の体験」をするとき、外的には「完全なる終わり」という事態として体験する。もう終わったのだ、二度と帰って来ないのだ、と。そのとき、内的世界では苦しみや悲しみや喪失感も伴う。...


「物語」と「音楽」の力
どんな音楽であっても物語であっても、音楽を聴く人の心の中や、神話や現代の物語を読む人の心の中では、たえず再構築や再構成が行われているような気がする。どんなに深くて目に見えなくても、そうしたプロセスは自発的に進行する。 古代のように遠い過去の世界なればなるほど、その世界は現代...


時と時の交差点で
当直中は電話で起こされまくるので、深夜テレビを見るのに最適な時間だ。 普段見ないからこそ社会勉強になる。 夜中のテレビショッピングの映像を見ていると、番組の作り方の構造自体に関心が向かう。 人間の心の死角を補いながら欲望を刺激するフォーマットなのかと、別の観点から興味深く思...