

同時代の物語
医療において、重要なのは「読む」力だと思う。 表層に惑わされずに、その深層で起きているプロットから真の全体像を読み取る力。 自分は「読む」力は、文学や物語や芸術から学んだ。 なぜなら、奇蹟はしばしばマイナスの形で生じるが、読む力のある者にとってそれはプラスに転じるからだ。...


萬福寺 宝蔵院(京都 宇治)
先日、京都の宇治にある萬福寺宝蔵院に行った。 ここには「鉄眼版一切経版木」全6956巻があり、吉野桜に手彫りで彫った6万枚にも及ぶ膨大な版木がおさめられている。 400字詰め原稿用紙のフォーマットの最初ともされ、日本の印刷技術のパイオニアでもあり、日本で明朝体を始めたルー...


岡本太郎「迷宮の人生」
岡本太郎さんの「迷宮の人生」アートン (2004年)を再読。 Taroさんの文章は本当に素晴らしい。かっこいい。 「人生」というプロセスを、謎に満ちた答えもない永遠の迷宮としてとらえた文章だ。 岡本太郎は「表現」を狭く限定しなかった人だ。 ...


「夜明けまえ 知られざる日本写真開拓史」東京都写真美術館
東京・恵比寿の東京都写真美術館で開催中の「夜明けまえ 知られざる日本写真開拓史 総集編」は面白かった。お客さんが全然いなかったのが勿体ない!(別の日はもっと入っているのかなぁ?) 江戸末期から明治期の写真には、圧倒的な美しさと存在感がある。...


一条真也『儀式論』
一条真也さんの『儀式論』弘文堂 (2016/11/8)を読みました。 ----------------- <内容紹介> 「儀式とはなにか」を突き詰めた渾身の大著! 人間が人間であるために儀式はある! 結婚式、葬儀といった人生の二大儀礼から、成人式、入学式、卒業式、入社式と...


いのちの渇きを
3/12日曜は、自分が主催する日本最古の医学書『医心方』(984年、編集:丹波康頼、現代語訳:槇佐知子)の寺子屋勉強会の最終日だった。 1年間で年間計画を立てて、現代語訳をされた槇佐知子先生を講師にお招きし、全30巻(33冊)を1年間かけて読んだ。1冊につき500‐600...


論語 「楽(音楽)」と「礼」
自分は音楽が好きだ。 音楽を聴きながら生活していることが多い。 論語を読んでみると、音楽はひとをつなげる働きがあると書いてある。 確かに、どんな人とでも、音楽を聴くと新しい場がつくられ、その場にいる人は一体感を感じることができる。 ただ、それだけでは不十分だとも書いてある。...


浦沢直樹の漫勉
NHKで不定期に放映される『浦沢直樹の漫勉』は毎回欠かさず見ている。 自分にとって永遠のスーパースターである漫画家のみなさんの日常に迫る素晴らしい番組。 浦沢さんがナビゲートするからこそ、過酷なプロ漫画家を生き抜く同士としての光の当て方がすごい。...


永田カビ『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』(漫画)
永田カビさんの漫画『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』イースト・プレス (2016年)は、当事者の当事者による痛みを伴う成長の物語で、とても考えさせられる漫画だった。 タイトルは、ややインパクト重視な印象。 当事者が見ている風景は、やはり当事者でしか見えないものがあり、...


思わず小走りになる身体
午前と午後の合間の昼休みに、小走りで大学の生協に買いに行った。 小走りで本を買いに行くのは、小学生の時のジャンプやコロコロコミックと、村上春樹さんくらいです。 思わずニヤリニヤリ。ちょっと気持ち悪い人だったでしょう。 本は、このズッシリ感がいいんですよね。 ...