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舞台「ねじまき鳥クロニクル」

村上春樹さんの「ねじまき鳥クロニクル」(1994年)、みなさん、読んだことありますか?





春樹作品は全部読みこんでいる私、世界中にいる熱心な一読者に過ぎない私ですが、何故だがこの「ねじまき鳥クロニクル」が私は一番好きです。節目節目に読み返し、読み返し、20回くらい読んでるんでしょうか。もちろん数えたことはありません。ふと読んでいるのです。赤線と青線を色鉛筆で好きなフレーズを引きまくっているせいで、二色刷りのような本になってるくらいです。


春樹作品は、深く深く泥のように眠った時と同じような深い意識の層に潜れるので、睡眠、温泉、春樹本というくらいに、私の身心のバランスにはなくてはならないのです。



ところで。

そんな筋金入りの「ねじまき鳥クロニクル」ファン(春樹ファン)の私ですが、舞台化されるなんて、夢にも思いませんでした。あの物語世界を舞台にするなんて神業です。もちろん、あらすじを追うような作品はできるかもしれませんよ。でも、そんなことで春樹ファンたちの共感が得られるわけがありません。作品として成立するには、作り手にはそれ相応の技術と覚悟と創造力が求められるわけです。


しかし!

そんな夢のような奇跡のような舞台化が成立しました。

インバル・ピントの演出・振付・美術、アミール・クリガーの脚本・演出、藤田貴大さんの脚本・演出、大友良英さんの音楽による舞台。もちろん、俳優陣も成河さん/渡辺大知さん、門脇麦さんなど、超一流です。


いまから3年半前。

2020年2月11日から東京芸術劇場ではじまったこの奇跡のような舞台!それはそれは深い体験で、さすがインバル・ピントの演出だ!と、スタンディングオベーションし冷静な発狂状態に陥るほど感激の舞台でした。

ただ、2020年2月の時期を覚えているでしょうか。未知の感染症の大流行の時期でもあり、2月27日で閉幕となってしまいました。わたしは閉幕前日の2月26日に滑り込みで見たのです。(梅田芸術劇場、愛知県芸術劇場の公演もすべて中止。)


そこから3年半の月日が流れました。

ついに再度、舞台版「ねじまき鳥クロニクル」が幕を明けます!

この豪華な布陣はもう二度と実現しません。

映画や映像と違って、舞台は生もの!一回きり!その一回の体験こそが、人生に背景放射のような影響を与え続けるのですから、舞台は行って体験しないと始まりません。


ちなみに、演奏も、大友良英さん、イトケンさん、江川良子さんによる生演奏です!音楽家も舞台の一員として同じ時と場を共有しているんです。 生演奏のLive音楽を聴くだけでも至福の時なのに、さらにそこに春樹さんの「ねじまき鳥クロニクル」の物語が展開されて行くんです。しかも、物語、演技、音楽、舞台美術、すべてが厳密なハーモニーを奏でています。これは体験した人にしか分かりません!世界旅行に行く時間があったら、チケットを払い戻ししてでも、ぜひこの舞台の方を強くお薦めします!!



そんな舞台『ねじまき鳥クロニクル』は、11月7日(火)~11月26日(日)@東京芸術劇場プレイハウスを皮切りに開催されます。その後、大阪、愛知に巡回です。


ちなみに、わたしは光栄にも、この舞台パンフレットの中で文章を書かせてもらっています。春樹さんもきっと見に来るであろうこの舞台。きっと読むであろう舞台パンフレット。春樹さんへの恋文ではないですが、わたしの人生を豊かなものにしてくれたすべての春樹作品へ存分の愛を込めて、そしてこの舞台を実現させたすべての関係者への最大限の愛を込めて、テキストを綴りました。ぜひ舞台を見に行った方は、財布のひもをゆるめて、劇場パンフレットも追加で買って、テキストもお読みくださいませ。わたしの愛が届きますように。


ということで。

すこし個人的な思い入れも織り込んでしまいましたが、わたしも会期中に劇場に足を運び、愉悦の時間を過ごすことを楽しみにしています。

2020年2月の時も至福の時間でしたが、2023年11月にもまたさらに進化した作品を見れることを楽しみに。

わたしも感染症の地球規模の流行を生き延びた一人であるからこそ、こうして今生きています。舞台を見れるのは生きているからこそ。

生きている今を存分に楽しめるように、3時間にも及ぶ演劇を全身の細胞の窓という窓を開き、浴びるように体験したいと思います。ぜひ~!!



(2020年も2023年のフライヤーも、どちらも素敵です。)









こちらは2020年のフライヤー






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舞台『ねじまき鳥クロニクル』

2023年11月7日(火)~11月26日(日)

東京芸術劇場プレイハウス

原作:村上春樹

演出・振付・美術:インバル・ピント

脚本・演出:アミール・クリガー

脚本・作詞:藤田貴大

音楽:大友良英

出演:

<演じる・歌う・踊る>

岡田トオル:成河/渡辺大知

笠原メイ:門脇麦

綿谷ノボル:大貫勇輔/首藤康之(Wキャスト)

加納マルタ/クレタ:音くり寿

赤坂シナモン:松岡広大

岡田クミコ:成田亜佑美

牛河:さとうこうじ

間宮:吹越満

赤坂ナツメグ:銀粉蝶

<特に踊る>

加賀谷一肇

川合ロン

東海林靖志

鈴木美奈子

藤村港平

皆川まゆむ

渡辺はるか

(五十音順)

<演奏>

大友良英

イトケン

江川良子

※公式サイト


大阪公演

期間 2023年12月1日(金)~3日(日)

会場 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ


愛知公演

期間 2023年12月16日(土)・17日(日)

会場 刈谷市総合文化センター大ホール


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