

K-BALLET Opto『踊る。遠野物語』@東京建物 Brillia HALL
年末の池袋(東京建物 Brillia HALL)に、「踊る。遠野物語」を見に行く。 舞踏とバレエと古代の音とが融合した、かなり挑戦的な舞台だった。 「踊る。遠野物語」では、1945年の戦争時の特攻隊員が神隠しにあった超自然的な少年に導かれながら彷徨う舞台。 生きているのか死んでいるのか。ここは、この世なのか、あの世なのか。この世とあの世のあわい・結節点である「遠野」をさまよいながら、オシラサマ、雪女、山姥などに出会い、許嫁の面影を重ね合わせながら、自分自身に問いかける魂の舞台。 「舞踏 (BUTOH)」(1950年代に土方巽らが創始した、日本独自の前衛舞踊(暗黒舞踏))を見たことがない人には衝撃だったのじゃないかと思う。「踊る。遠野物語」の主催は熊川哲也さんのK-BALLET(バレエカンパニー)で、多くのバレエファンが見に来ていた様子だったから。バレエは天に飛翔していくダンスだが、対照的に舞踏は地へと融合していくような舞踊。対照的だからこそ、対局主義は舞台という器の中で異次元の化学反応が起きていた。 私は大学生の時、大駱駝艦の舞踏(吉祥寺にある壺


『シッダールタ』@世田谷パブリックシアター
『シッダールタ』@世田谷パブリックシアター を見た。 草彅剛さん主演。脚本は長田育恵さんで、演出が白井晃さんという豪華な舞台。ヘルマン・ヘッセの小説『シッダールタ』(+『デミアン』)をベースにしている。 主人公は仏教の開祖であるシッダールタと偶然にも同じ名前を持つ一人の男性。同時代に生きる仏教の開祖であるブッダの教えに感化はされるものの、同じ集団(サンガ)には入らず、自分自身の力で悟りを得ようとすべてを捨てて旅に出る。 探求の途上で、彼は愛欲におぼれることもあるし、商売で富を築き自分を見失うこともある。 ただ、彼はあるとき、川のほとりで水の流れを見ながら、自然の営みから大きな気づきを得る。 「川は流れていると同時に、常にそこにある」 このことは仏教での無常を、概念的な知識ではなく、体験として理解した瞬間の言葉でもあった。 ヘッセの作品の中でも、悟りそのものより、探求こそが重要であると語られる。 知識は伝えることができるが、知恵は伝えることができない。知恵は、体験され、身をもって生きることでしか得られない、と。 仏陀の集団(サンガ)に属したものは、


俳優座「存在証明」@シアタートラム
俳優座の「存在証明」@シアタートラム、を観た。素晴らしい舞台! 絶対的な真理を追求する実在する数学者たちがモデル。 戦争という異常が日常に置き換わった時に、現実世界とどう折り合いをつけていくか。 数学的な真理を追求することを、わたしたちが真善美、理想、あるべきもの、に置き換えて考えてみると、誰にでも心当たりがある事柄だと思えた。 「ことば」というものも考えさせられた。 特殊なことばを扱う人は、状況次第ではあたまがおかしい、とされ、排除や隔離の対象になる。ただ、そのことばは、日常とは違う層では深い真実の響きを含んだもので、そのことばの深層の意味を発見できる人がいるかどうかで、ことばは違う意味を帯びる。 ことばは時に数学であり詩であり芸術であり、呪術でもあり。 ことば自体も出会うべき人を待っているのかもしれない、とも思った。 「存在証明」というタイトルが暗示するように、わたしはここにいる、という存在の地平は、より深い次元にある「いのち」のことばとの出会いを求めているようだ。それはルーツ、根、と言ってもよいかもしれない。 素晴らしい演劇体験。まさに魂の


THEATRE MOMENTS「遺すモノ~楢山節考より~」@シアターグリーンBOX in BOX THEATER
9/20土曜にTHEATRE MOMENTSの「遺すモノ~楢山節考より~」という素晴らしい芝居を観た。@シアターグリーンBOX in BOX THEATER(池袋)。 深沢七郎の名著「楢山節考」を下敷きにしている演劇。...


「ラ・トラヴィアータ 〜椿姫〜」@新国立劇場 「生まれ変わる。全てを捨てて」
出演もされている江原啓之さんにお誘いいただき、「ラ・トラヴィアータ 〜椿姫〜」(ヴェルディ作曲)、オペラ全3幕 を新国立劇場で観劇。 ポスターには 「生まれ変わる。全てを捨てて」 と。 オペラはやはりすごい。 東京フィルハーモニー交響楽団の生演奏が聴けるだけでも素晴らしき三...


9/20(sat):13:00-(終演後、After talk出演):THEATRE MOMENTS「遺すモノ~楢山節考より~」@シアターグリーンBOX in BOX THEATER(池袋)
9/18-9/21の期間で、THEATRE MOMENTSの「遺すモノ~楢山節考より~」という素晴らしい芝居の再演があります!@シアターグリーンBOX in BOX THEATER(池袋) 私は9/20土曜13時公演を観に行きつつ、そのアフタートークに登壇して、この舞台の...


物語と舞台の意味
小川糸さんと雑誌企画で対談することもあり、作品を集中的に読みこんでいる。 小川糸さんの「つるかめ助産院」を読みながら、彩の国さいたま芸術劇場でのアクラム・カーン『ジャングル・ブック』のダンスを見に行き、体験としては混ざりあってしまった。物事は2進法で分けられるものではなく。...


コンドルズ『BORN TO RUN』@彩の国さいたま芸術劇場
コンドルズ埼玉公演2025新作『BORN TO RUN』@彩の国さいたま芸術劇場を見た。 結成29年目!のコンドルズ。あらゆる舞台表現が込められた抱腹絶倒の舞台。最高だった。 意味が無さそうだけどなんとなく記憶の底に残っているものを、どぶさらいか、どじょう救いのようにかき集...


「舞台はあなたの中にある」(埼玉アーツシアター通信 Vol.115)
「埼玉アーツシアター通信」は、埼玉会館、彩の国さいたま芸術劇場、首都圏の文化施設や公共文化施設などで無料配布しているアート情報冊子です。 いま、彩の国さいたま芸術劇場では 【ほぐすとからむ】(8/3-8/11@ 彩の国さいたま芸術劇場 )...


劇団イキウメ『ずれる』@シアタートラム
シアタートラムに劇団イキウメの『ずれる』を観に行く。よき演劇は自分にとっての常備薬だ。 色々な小さい「ずれ」の波が、重なり合いぶつかり合い共鳴しあい、不思議な波として迫ってくる作品。 「ずれ」のことを思うと、事件などを見ていても、社会現象のほぼすべてが『ずれ』か...