水平線と同じ目線で湯に浸かる。@HOTEL SEAMORE「三段の湯」
和歌山県。南紀白浜のHOTEL SEAMORE(ホテルシーモア)、「三段の湯」へ。
こちらにはまだ泊まったことがなく、海を望む足湯(これまた絶景!)をいつも堪能させてもらっていました(足湯は温泉ではないらしい?)。

今回は、温泉の調査・分析の機会に、初めてHOTEL SEAMOREの中にある「三段の湯」に入らせていただきました。
これが、想像以上にすばらしかった。
崎の湯でも感じた、海と同じ目線になるような感覚。
湯面の向こうに海が続き、その先に水平線がある。景色を眺めているうちに、自分もその風景の一部になっていくようでした。ちょうど夕焼けが目に溶け込んでそれはそれは美しく。
「三段の湯」というだけあって三段階の深さがあり、深いところは120cmの立ち湯。
ホテル公式では、行幸源泉を使った源泉かけ流しと案内されています。
泉質は、ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉。塩化物泉の保温性と、炭酸水素塩泉の皮膚の清浄作用という、二つの特徴をあわせもつ泉質です。
立ち湯に浸かりながら、温泉の歴史にも思いを巡らせました。
かつて有馬の共同浴場には、深さが約110cm以上もある、立って入る湯がありました。一方、秀吉の湯山御殿跡から見つかった岩風呂は、深さ約65cm。座って浸かれる深さです。
「立ち湯が一般的だった時代に、秀吉は座って入れる浴槽を造らせた」といわれる背景には、この違いがあります。秀吉が座り湯を発明した、とまではいえるのかどうか分かりませんが、いまの私たちには当たり前の入浴姿勢にも、歴史があるのですね。
立ち湯は、いまも各地にあります。
岩手・鉛温泉の藤三旅館「白猿の湯」は、平均125cmの深さがあり足元から源泉が湧く湯。行ってみたい。
長野・上諏訪温泉の片倉館「千人風呂」は、深さ110cmの大理石の浴槽に玉砂利が敷かれ、立つと足裏に刺激が伝わります。ここは何度か行きました。
立ったまま身体を湯に預けているだけで、昔の人々の湯浴みを身体で理解できるような気がしてきます。
医学的にも、湯の深さは大切です。
水中では浮力が働き、足腰や関節にかかる重さが軽くなります。温かさで筋肉の緊張がゆるみ、身体を動かしやすくなる。水中リハビリテーションでも、こうした水の性質が生かされています。
また、水圧は深いところほど強くなり、脚の静脈血が心臓へ戻るのを助けます。ただし、心臓に戻る血液量も増えるため、深い湯が誰にとっても負担が少ないわけではありません。(特に心臓病の方には)
三段階の深さを選べることは、身体との対話にもつながります。
そして、ここには身体を支えてくれる湯に加えて、目の前に広がる海がある。
水平線を見つめ、海風を感じ、湯に身体を預ける。
その時間のなかで、こころまで広がっていく。
「治る環境」とはどのようなものか。
三段の湯で、その一端に触れた気がしました。
次は、ぜひ泊まって、移りゆく海の表情も味わってみたいです。
ここは老若男女。子供連れでも楽しめるオールラウンドなお宿です。以前、日本温泉気候物理医学会で訪問したなぁ、とも。
今度は泊まりたい。
※写真はもちろん撮影不可のため(なにせ、浴場で裸のまま、ぐんぐんと地下3階まで進んでいくんですよ。)、じゃらんから。https://www.jalan.net/yad348385/




SHIRAHAMA KEY TERRACE HOTEL SEAMORE(ホテルシーモア)
和歌山県西牟婁郡白浜町 1821
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