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エレン・ケイ『美しさをすべての人に』一般社団法人konst

  • 執筆者の写真: inaba
    inaba
  • 9月13日
  • 読了時間: 3分

エレン・ケイ『美しさをすべての人に』一般社団法人konst(2025/5/20)


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エレン・ケイ(Ellen Key, 1849-1926)は、スウェーデンの女性。 フェミニストとしても知られているが、彼女の活動範囲は広く、産業革命の波が訪れるスウェーデンで、イギリスのアーツ・アンド・クラフツ運動やスウェーデンの手工芸にいち早く注目し、美意識を高める家庭生活の活動を行った方。日本での民藝運動に近い。 美への意識を深めることが社会の調和につながると考えていた。 この本を読むと、北欧デザインの美意識の根柢がよくわかる。


AIなどの情報革命が訪れる中、今後は「家政術」こそが重要になってくるだろうと思う。


つまり、【衣食住】の質を向上していくこと。暮らしが「いのち(Life)」と結ぶついている、という当たり前の生活の原点。



この言葉は、もともとアリストテレスが「オイコノモス」として使い、後に家政術と訳された。


「オイコノモス」とは、共同体(家)を維持するために必要な財のこと。過剰な富の蓄積をする病的状態な「貨殖術」と明確に区別するために使われた。


  ギリシャ語で家を意味する「オイコス(oikos)」と秩序を意味する「ノモス(nomos)」が結びついて「オイコノモス(家政術)」となり、家を管理する技術こそが、「経済学(economy)」の語源にもなったのは有名な話です。


未来の暮らし、生活、Lifeを考えていくときに、、「家政術(オイコノモス)」、エレン・ケイや民藝運動、アーツ・アンド・クラフツ運動は、とっても重要な参照点になると思う。


ちなみに、このエレン・ケイ『美しさをすべての人に』は、私も関わっている軽井沢を中心に障がい者の方々と創作活動をしている一般社団法人konstからの出版!

翻訳者の池上貴之さんと、須長檀さん(konst代表理事、「lagom 」!オーナー)の往復書簡も、エレン・ケイと北欧デザインの理解がより深まりますのでぜひ。




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エレン・ケイ『美しさをすべての人に』 より

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ゲーテは暮らしとアートについて、このようにいっています。 「人は、毎日美しい絵を見て、いくらかのよい音楽を聴き、有益な本を読み、すくなくとも一つは善い行いをするべきだ。」

----------------- アートや自然、本、人は、私たちが愛すれば愛するほど、それは私たちのものになっていきます。そして、愛することはそれ自体が幸せそのものであり、いわば、魂を育む源になります。 それだけに、魂を満たすためには愛がなければならないのです。そして、愛情、博愛、知恵、美しさであれ、そうでなかろうと、自分をささげて尽くすには、どうしても愛がひつようなのです。 「与える者だけが、何かを得られる。」 これこそ、暮らしの中に宿るいちばん大切な真実なのです。

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美しさを感じとる間隔は、ラーゴム(Lagom:ほどほど)と節度を持った喜びの中にあります。

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なにより信じてはならないのは、美しさが限られた者の幸せであり、それを享受できるのはごく一部の人間だけという考えです。 美しさは、だれだって、その人の振る舞いや言葉、姿、衣服によって愛でたいにきまっています。美しさの中で、暮らすことは、アーティストや目利きだけの特権ではないのです。

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