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映画「だってしょうがないじゃない」(監督:坪田義史)

坪田義史監督の映画「だってしょうがないじゃない」。

発達障害と診断されている坪田監督の実の叔父のひとり暮らしの日常を3年追いながら、暮らしの視点から「発達障害」(とされた人)の生き様を追体験する長編ドキュメンタリー。とても面白いです。

11月2日より東京・ポレポレ東中野ほか全国で順次公開されます。

リリー・フランキーさんや谷川俊太郎さんのコメントという有名人に並んで、自分のコメントも出ております。 ぜひお時間あれば見に行ってください。

自分は儀式の原点ってこういうところにあるのかなぁ、と思いながら、人間の行為や行動の原型を追体験したような気になりました。

============ 稲葉俊郎(東京大学医学部付属病院循環器内科助教)コメント 発達障害とされる人たちは、ゆっくりゆっくりと自分のペースで発達する人たちだ。慌ただしいスピード社会からはじき飛ばされて困っている。植物は引っ張っても伸びない。サンサンと照る太陽の光と、適量な水と、根を張る大地とが必要なだけだ。植物原理で生きる人たちも、光と水と土地を求めている。儀式のような日々の暮らしは、社会の歪みのバランスをとる神事のように見えた。わたしたちはその神事に参加できているだろうか。 ============

 

リリー・フランキー コメント 幸福というものを求めて、前に前にと歩んできた僕らは、もしかしたらとっくにその場所を通り過ぎていたのかもしれない。この映画を観て、何故だかそう思った。

谷川俊太郎(詩人)コメント 見終わった瞬間、これからまことさんはどうするんだろう、どうなるんだろうと、他人事でなく心配になりました。映画のリアルと私自身の日々の現実がシンクロしたんです。

諏訪敦彦(映画監督)コメント 誰かを撮影したいと思い、カメラを向けることは、それがどんな相手であってもある種の愛の行為であると私は思う。その笑顔に魅せられて「彼の見る世界を知りたくなった」と人間味に満ちた友情の物語が紡がれてゆくが、ふと物語が消え、カメラが立ち尽くし、黙ってただ彼を見つめるしかない瞬間が何度も到来する。その時カメラが発見しているのは決して語ることのできない何かである。カメラは語るのではなく、ただすべてを肯定するのだ。そしてその何かが知らぬ間に成長し、ドキュメンタリーとかフィクションも関係なく、信じがたい純粋なイメージとなって立ち上がる瞬間が訪れる。まことさんはひとりである。そしてまことさんはひとりではない。そのことを私たちは知る。それは恐ろしくも美しい映画の結晶のような瞬間だった。

綾屋紗月(自閉スペクトラム症者・東京大学先端科学技術研究センター特任研究員・おとえもじて代表)コメント 慎重に繰り返される自己身体やモノとの微調整が「こだわりが強い」と呼ばれてしまうこと。その微調整の積み重ねがいっぱい詰まった、ささやかな生活習慣と環境から引きはがされる不安と痛み。それらは“自閉症”とされる人間に限った特徴ではなく、多かれ少なかれ誰しもが持つ感覚であることを、「まことさん」の日常を繊細に伝えるこの作品を通して、多くの“健常者”が気づかされることだろう。 ※「おとえもじて」は発達障害者が運営・参加する当事者研究会

森達也(映画監督・作家)コメント この題材で映画として成立するのか。そう危ぶみながら観た。杞憂だった。目を離せない。でもラスト近く、撮る側の意図が透けて見え始めた。作品の危うさとエゴと被写体への加害性。同業者として正視はつらい。目をそむけたくなる。あなたにはそれも含めて観てほしい。

 

■公開情報 『だってしょうがないじゃない』 11月2日(土) ポレポレ東中野ほか全国順次公開

企画・監督:坪田義史 出演:大原信、坪田義史、木村真智子、木村義則、坪田達義、坪田洋子、坪田正子、関美晴、三澤直子、岩瀬一郎、大澤健二、寺島薫、長岡由生、柴田浩生、関根幹司

協力:パークサイド柴田メンタルクリニック、社会福祉法人 藤沢育成会・ふらっと、特定非営利活動法人ワーカーズ・コレクティブ実結、藤沢市役所、studio COOCA(スタジオ・クーカ) シーアンドアイ、そば処金太郎、富士ガーデン湘南パール 助成: 文化庁文化芸術振興費補助金、ACY アーツコミッション・ヨコハマ 英題:What can you do about it 配給:サンディ株式会社(Sundy inc.)  2019年/日本/カラー/16:9/119分/ステレオ/DCP & Blue-ray ※本作はバリアフリー字幕が付いています 公式サイト:https://www.datte-movie.com/

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