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豊島(てしま) 生命の根源

November 18, 2018

昨日は直島の記事。

香川の高松から直島までフェリーで50分くらい(小さい高速船だと30分)。
その直島からフェリーで20分くらいすると豊島(てしま)に着く。

 

 


豊かな島から豊島(てしま)という名前になったらしい。
ちなみに、直島は「素直」な住民が多いから、直島と。(その命名は崇徳上皇!との伝説がある。)

 

豊かな理由は、島の地形にある。
中心に山があり、水がちょうど循環するのにいいサイズなのだろう。

 

水源地も見に行った。ここにも弘法大師伝説があった。
水がきれいな場所は、空中に浮かぶ水蒸気もうつくしく、だから光も美しい。

 

 

 

 

 

 

 

豊かな島は水が循環している。

水源の水路でそのことを象徴的に思う。

現地の食材でつくられたものを食べて、土地と一体になる。

とっても優しい味で美味しかった。

 

島キッチンは、瀬戸内国際芸術祭2010のときに、豊島の空き家を建築家の安部良さんが設計し再生してつくられた「食とアート」で人々をつなぐ出会いの場。

 

→●島キッチン

〒761-4662  香川県小豆郡土庄町豊島唐櫃1061

 

 

 

 

 

 

 


豊島(てしま)の大きな目的がふたつ。
横尾忠則さんの横尾館と、内藤礼さんの豊島美術館。

 

 

横尾館は昼だけではなく夜間ツアーにも参加して、二回見た。
すごかった。横尾さんの浄土の世界。

 

内部空間にはガラスを使って何層にも複雑なレイヤーが空間でつくられ、そこには横尾さんの謎を存分に含みながら。異界へとぱっくりと扉を開けたものすごい波動を発する絵画が天使のラッパのように陳列される。

 

滝の絵ハガキの空間にも呆然とたちすくみ、宗教的な神秘体験をしたし、トイレすらも迷宮と化していて、あらゆる要素が天界への扉へと空間が開いていた。


夜間ツアーは、さらに光と闇の深みが極限まで増して、異世界に閉じ込められるのではないかと怯えながらも、同時にいのちが呼び起こされる不思議な体験。

改めて、横尾さんの天才さに落雷のようにうちのめされた。

 

→●豊島横尾館
 

 

 

 

 

 

その後、豊島(てしま)の端っこまで行き、クリスチャン・ボルタンスキーの「心臓音のアーカイブ」へ。


自分は仕事から、毎日のように心臓音を聞き、これまで何万人もの心臓音を聞いてきたが、暗闇の中で異邦人と化した遠い島で孤独に聞く心音は、まるでその人の内臓そのものに住み着いたようで、心臓そのものと化したようで。

 

自分もお金を支払ってアーカイブしてきました。現地に行った方は、INABAの名前で検索して聞いてみてください。なんだか全裸を見られるように恥ずかしいですが。

 

 

担当者の方の好意で、その暗闇の空間で自分の心音を聞かせてもらった。

 

自分が自分の体内に入りこむような体験は、自分が自分の体内の迷宮に閉じ込められ、そこがあの世へと通じ、あの世から自分に再度入り込んでいくかのようで、横尾館と生命のトンネルが通じているようだった。

 

→●心臓音のアーカイブ

 

 

 

 

 


外に出たら、そこはすぐに海。

雲が分銅のように海へと墜落し、天と地とがこそこそと話し合いをしているようだった。

 

 

 

 

 


内藤礼さんの豊島美術館はとにかくすごかった。
自分の中で、美術館での体験のベストワンになるかもしれない。

 

 

 


時が永遠と一瞬とでまじりあうかのような時間で、2時間はいただろう。
気づいたらすべてのお客さんは帰っていて、スタッフの人から16時の閉館を告げられて、驚いた。


自分はこの2時間が、ほんのまばたきをした瞬のようにも感じられたからだ。

 

 

豊島美術館では、生命の根源を目撃した、貫通した。
ああ、これが生命の根源なのだ。
あらゆる生きとし生きるものの、深みであり、軽みであり、繊細さであり、か弱さであり。
一粒の水滴の中に、無限の生命の時間が流れているのだな、と。

 


水が生命をつくり、水が海や空や空間をつくり、あらゆるところに生命の根源は浮遊している。
そのことを深く体験として刻み込むために、この豊島まで、すべての人が巡礼をするように足を運ぶといいのに、と思った。
生命の根源に降りていく、すごい体験だった。

 

 

 

 

 

 

 


横尾館で浄土へ行き、心臓音のアーカイブで自分の体内へ、さらに心臓の内部へと入りこみ、ミクロの原子へと自分が化した。その後、豊島美術館ではいのちの根源へとどこまでも下降し続けた。果てしなくミクロへと。

 

そこは島の子宮でもあり、卵でもあり、同時に自分が水そのものへと、生命の歴史を輪廻するような儀式的な時間でもあった。

 

その後、夜が更け、再度横尾館の夜間ツアーへ。

そこでは生と死だけではない多層の現実世界へと入り込み、すっかり自分が何度も死んで死んで死んで生きて生きて生きて、再生した。

 

夜のフェリーはぱっくりと口を開けた暗黒の世界から光が舞い降り、まるで「銀河鉄道の夜」で走る銀河鉄道のようで、カムパネルラが迎えに来たのかと思ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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