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武満徹さんの言葉

July 17, 2018

武満徹さんとジャズピアニスト、キース・ジャレットとの対談より。
夢のような対談だ。

 

音楽家の言葉は、音と言葉という、一見近そうでかなり遠い表現の世界をなんとかつなげようとして紡ぎ出された言葉であるので、深奥に触れているような手触りを感じる。

 

「武満徹対談選―仕事の夢 夢の仕事(ちくま学芸文庫)」より

 


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ジャレット
「芸術のできることというのは、ほんの瞬間、人の内側に入り込むことだけ。そして、これは特に音楽において可能なことだと思う。」
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武満
(ジャレットの演奏を評して)
「たいへんパーソナルでありながら、ユニヴァーサルというか、いやもっと宇宙的(コズミック)な、ジャレットさんが弾いてるってことを忘れちゃうような世界ですね。
つまりそれは、音楽が満ち溢れていて、音楽が見えなくなっている状態というか」
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ジャレット
「私自身のサウンドを聴きたい、私の音楽を所有したいという欲望は、今はもうなくなりました。
今は、他の人の音楽の中で欠けていると思われるものを取り戻したいと思っているのです。彼らに音楽を返してあげたいのです。」
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ジャレット
「わたしの音楽との関係は、正に正直なもので、それを今まで演奏している間ずっと見つめてきたんです。
だから、音楽はいつもわたしに欠けているもの、わたしが次にしなくてはならないことを教えてくれました。」
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武満
(キース・ジャレットとの対談を終えて)
「キース・ジャレットの感性は、訓練された筋肉のようにしなやかで、そこに余分な、あいまいな感情というものは無い。ダイレクトに事物の核心を獲物を狙う豹のような素早さで把握する。音楽的未熟児が多いジャズの領域で、かれは止まることのない成長を続ける幼児(イノセント)のように見える。かれは、いつでも、最小限の音で、世界の全体を顕してしまう。」
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●Keith Jarrett - I Loves You Porgy

 

 

●Keith Jarrett - Over the Rainbow (Tokyo 1984)

 

 

●Keith Jarrett Trio - "Stella By Starlight"

 

 

●Keith Jarrett solo concert - Tokyo, 1984

 

武満徹さんは、文章も音楽も、広い意味でのコトバや表現で同じ地平にあり、同じ質として表現されるもののようだ。
質を表現するには、質によってしか語れないことを、武満徹さんや村上春樹さんに触れるたびに、思う。

 

「武満徹エッセイ選―言葉の海へ (ちくま学芸文庫)」

 


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武満徹『Mirror』より(武満徹エッセイ選―言葉の海へ)
インドネシアでの、あの溢れるようなガムランの響きの中で感じたことも同じであった。
音楽は個人がそれを所有することはできない、が、しかまた、音楽はあくまでも個からはじまるものであり、他との関係の中にその形をあらわす。しかもこれは社会科学的なテーゼではなく、むしろ神学的主題なのである。
友が言うように、音楽は祈りの形式(フォーム)であるとすれば、人間関係、社会関係、自然との関係、(そして、神との関係)すべてと関わる関係(リレーション)への欲求を祈りと呼ぶのだろう。
たしかに私は、音楽がそこに形をあらわすような関係というものをまちのぞんでいる。
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武満徹『ぼくの方法』より(武満徹エッセイ選―言葉の海へ)
音楽が、人間の発音する行為と、素朴な挙動のなかから生まれたことは事実なのだ。
しかし、ぼくたちは、いつか長い歴史の中で、便宜的な機能の枠の中でだけ《音》を捉えようとしていた。ぼくの周囲にある豊かな音は、それらは、ぼくの音楽の内部に生きなければならない。ぼくは勇敢にそれをすべきだろうと思う。
異なったものに、また時としては矛盾するものにさえ、調和を与えるということは、われわれに「生きる」すばらしい道を歩かせる訓練なのだ。
《音》はひとつの持続であり、瞬間の提出である。
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●武満徹 コンサート 1791-1891-1991 ウィーン 【1994.2.12放送】
 

 

 

●弦楽のためのレクイエムRequiem for Strings Orchestra(1957)

 

 

●武満徹:鳥は星形の庭に降りる / 小澤征爾指揮ボストン交響楽団
 

 

 

 

 


 

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