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野口晴哉『偶感集』より

野口整体の創始者 野口晴哉先生。

野口晴哉先生は1911年生まれで1976年に亡くなっているのでお会いしたこともない。整体協会に入っているわけではないので、正式な弟子でも何でもない。

ただ、 野口晴哉先生の文章を読んでいると、熱いものが流れ込んでくるのを実感する。 からだを極めた人から溢れ出る言葉から、いつも勇気や元気を頂く。

そこでは、からだもことばも、すべてが一体となっている。

この文章も何度も読んだ。 からだに響きあい、共鳴し合う。 「自然」への深い理解は、すべてに通じている。

・『人の生くるは 之 自然の要求也』 ・『覚悟すべし 生死別ならずして一也』 ・『人 自力を信ずべし』 ・『生存 生殖 生活 之 人の最大なる芸術也』

詩のようで音楽のようで、ステートメントのようで、哲学のようでもある。 すごい文体だ。

 

野口晴哉『偶感集』より

人 生きざるべからず 生まれたるが故也 人 全生すべし されど 人 生くるに非ず 自然 人を通じて生くる也 人の生くるは 之 自然の要求也 人の生を全うするは 人の本分を尽すこと也 人の生きんと努むるこそ 自然なれ 人の道なれ 人 生を楽しまざるべからず 只管 全生の道に精進せざるべからず 之 人たるが故也 されど 死来らば 之を恐るる勿れ 之を迎へて 正しく死すべし 人の生きる目的は 自己にあらに非ずして 自然にある也 而して人の使命たるや 生きることにある也 死の来るは すでに使命の終はれる也 生あるが故に死あり 死あるが故に生ある也 何れにせよ 自然の要求也 之に順応すべし 覚悟すべし 生死別ならずして一也 人は生きんが為に生くる也 生くること 即ち人の道にして人の目的也 使命也 人の生 人にあるに非ずして自然にある也 されど 人なくして何の自然ぞ 自然 人によりて生くる也 人 あるが故に自然あり 人 生くるに信なかるべし 人に自然の力具はる 自然の力 人を通じて作用する也 人 之を自覚して活用すべし 宇宙間の万物 人の自覚によりて存在し 人の活用によりて その存在の意義を全うす 万物 人にあり 人の恐るる何物かあらん 無し 求むる何物かあらん 無し 人の恐るべきは自己にして 自己以外の何ものとても 恐るべき存在に非ざる也 之を理解すべし 之を自覚すべし 自然の力 自然にあるに非ず 人にこそある也 自力なく 他力なし 他力なく 自力なし 之は一也 之を自観すれば自力也 之を他観すれば他力也 他力 自力 同一作用にして別なるものに非ざる也 両の力 一致して即ち力となる也 されば 人に恐怖あるべからず 人に自慢あるべからず 之 人の生くるや 自力に非ずして他力 他力に非ずして自力なれば也 されど 人 自力を信ずべし 人の生るるや 生くる也 生存 生殖 生活 之 人の最大なる芸術也 ここに自力あり 自力を知れ 之 他力を知り 神を悟るの道也 人 瞑想せよ 静かに座して 「我あり」と

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