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秋吉敏子・ルー・タバキンビッグバンド『Insights』(1976年)

June 6, 2017

秋吉敏子さんは、日本人の伝説的なジャズピアニスト。
1929年生まれで、もう87歳になる。

 

秋吉敏子=ルー・タバキンビッグバンドの『インサイツ - Insights(1976年)』というLPが素晴らしい。名盤だ。なぜかCDで再販されていない・・・。

 

 

 

 

 

日本人としては初めてバークリー音楽院で奨学生として学び、1962年には、あのチャールズ・ミンガスのバンドに参加している。彼女がバンドに参加したのはこの時だけ。

 

 

驚いたのは、この『 Insights(1976年)』のDisc-2が、ミナマタという曲なのだ。

Peaceful Village(平和な村)、Prosperity and Consequence(繁栄とその結果)、Epilogue(終章)と曲は構成される。
1976年当時、アメリカから距離を置いて見た日本の風景はどう見えていただろう。

 

 

ちなみに、このMinamataには、10歳くらいのマンディ満ちるさんが歌で参加している様子も収録されていて、貴重だ。(マンディ満ちるさんは、秋吉敏子さんの最初の旦那さんとのお子様。LPには、「VOICE/ MICHIRU MARIANO」と記載されている)

 

Minamataの曲には、謡いで観世寿夫さんが、大鼓で亀井忠雄さんが参加されているし、あらゆる面でチャレンジングな演奏だと思う。

謡曲などの能楽の要素を取り入れているのは、ライナーノーツには記載されていないが、やはり秋吉さんならではの鎮魂を考えていたのだろうと思う。日本の音楽や芸能のスタイルとしての鎮魂を。鎮魂は、自分は医療の側面からも現場で実感していることだ。


 

 


秋吉さんの構成力が本当に素晴らしい。
武満徹さんとは異なる違う形で、東洋と西洋との土台や根っこを、深く考えていたのだろう。

 

Insightには、「洞察」や「本質を見抜く」という意味があり、秋吉さんならではのMinamataの底にある本質を、音楽を介して深めていたのだと思う。

 

 

思想や哲学は、必ずしも文字として書物として残されるわけではなく、音楽や美術、生き方、そういう形で残されている。

そういう先人たちの足跡を、あらためてトレースしていきたいと、思う。

 

それこそが、現代に生きる人たちの使命だろう。受け継ぎ、受け渡すこと。その行為そのものが、reincarnation(輪廻)だと思う。

 

 

秋吉敏子さんの美しい旋律とエネルギッシュなピアノを聴いていると、そういう思いが溢れてくる。

 

 

 

秋吉敏子さんと娘さんであるマンディ満ちるさんとのデュエットCDも、Jazzへの愛と厳しさ、家族の愛と厳しさ、溢れていて、素晴らしいCDだ。(レコードに慣れると、CDが本当に小さくミニチュアに見える)

 

『JAZZ CONVERSATIONS(2015年)』

 

秋吉敏子さんが85歳?とは思えない美しさ。満ちるさんも美しい。

女性の美は、内面的な世界が溢れてくる美しさだと思う。

それは、年を重ねるほど、ごまかせないものになる。そうした美しさは、男性も同じだ。

 

 

 

 

 

 

 

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