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浦沢直樹の漫勉

March 3, 2017

NHKで不定期に放映される『浦沢直樹の漫勉』は毎回欠かさず見ている。

自分にとって永遠のスーパースターである漫画家のみなさんの日常に迫る素晴らしい番組。
浦沢さんがナビゲートするからこそ、過酷なプロ漫画家を生き抜く同士としての光の当て方がすごい。

 

 

 

 

シーズン4の漫画家の先生のセレクションがまたすごい!!

 

●3/2は、なんと清水玲子さん!!まさかテレビでお顔を拝見できるなんて・・・。

 

清水玲子さんは、SF世界と霊的な世界と古代物語世界とを統合させたようなすごい漫画家。人工知能、機械と人間との共生、医療の生殖技術、男性性、女性性含めたジェンダーやセクシュアリティーなど。あらゆる未来的、人間の尊厳にかかわる倫理的なテーマをかなり昔から扱っている方で、愛読している。

 

「輝夜姫」「月の子」「竜の眠る星」などは全巻自宅に揃っているので、再読してみようと思った。

 

「輝夜姫」はかぐや姫(天女伝説)を、「月の子」は人魚伝説(や天女伝説)をテーマにしたSF、スピリチュアルな世界観。未来の精神世界の行く末は、日本の女性漫画家が重要な鍵を握っていると思う。

99年から連載がスタートした「秘密」は文化庁メディア芸術祭優秀賞を受賞しているが、まだ読んでいない・・・。     

 

 

 

 

●3/9は伊藤潤二さん。「富江」シリーズのホラー漫画家。天才楳図かずおは本当はホラー漫画家ではないのだが、ホラー性(純粋さゆえの狂気)を内在していて、その天才楳図かずおのホラー性を受け継いで拡大させたようなものが伊藤潤二の世界観(だと勝手に思っている)。奇想天外なイマジネーションの世界がすごく、漫画の醍醐味だとも思う。

 

 

 

 

●3/16は、これまたすごい山本直樹!!!
エロと暴力と虚無をテーマにした世界観で、その退廃さと極限の性描写が宗教的ですらある。
1995年の「ありがとう」は、狂気と性を極北まで追求しながら、その底で「家族」というテーマを深くえぐったものだった。現代は家族や共同体が失われ、そのアンバランスさが、性や暴力に向かっているのかもしれない。山本直樹作品は現代的な作家だと思う。確かPCで漫画を描くことも最初に取り入れた漫画家だったような記憶がある。 あまりの性描写に、学生時はたじろいだが、それはそれとしていい性教育になっているような気もしている。
新作である連合赤軍事件を題材にした「レッド」も、若者の純粋さゆえの狂信的な信仰が、性や暴力のエネルギーへ変わっていくプロセスを丹念に執拗に描いているように思う。思わず登場人物に感情移入してしまう漫画の総合力のすごさがある。視点が否応なく反転してしまうのだ。

 

伊藤潤二さんもそうですが、山本直樹の漫画は、猛毒を含むので万人に声高に進められないが、毒は薬にもなるのだ。 

生の山本直樹を出演させたNHKの決断は素晴らしいと思う。あっぱれだ。

 

 

 

 

●3/23はながやす巧さん!
ながやす巧さんは、長崎生まれで、熊本にも住んでいた方だと聞いたことあるので、よく知ってる。あの梶原一騎原作の『愛と誠』の作者!!!
デビューから今まで、すべて一人で作業してきたらしい。アシスタント不在というのは本当にすごい。1日12時間も描き続けているとのことで、宗教的な境地に達していると思う。
『愛と誠』後の作品は、「Dr.クマひげ」(医療漫画ですので押さえてます・・・)しかキャッチアップできていなかったので、この放映のおかげでその後をフォローできそう。楽しみだ。

 

 

 

 

 

 

 

NHKが、こうしたコアな漫画の世界を連続で扱ってくれるなんて、夢のようだ。民放では表層的にしか扱うことができず、ここまでディープには扱ってくれないから。

 

プラトンに始まり、西洋哲学は大学生時代に散々勉強したが、現代哲学は漫画家が形をかえて担っていると思う。

自分は哲学的な主題の多くを、漫画から学び続けている。
漫画で展開している世界こそが、現代の現象の深層を深くつかみ、未来を予知し続けていると、本当に思う。いち漫画ファンとして。

 

→■浦沢直樹の漫勉 NHK-HP

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