猪熊さんや富士山との対話

MIMOCAの常設展も素晴らしい。

身近にこうしたものがある丸亀の人は幸福だ。


猪熊さんの対話彫刻。

モノと対話をしながら、身近なもので形をつくる。そこには厳密な均衡の調和がある。

そして、形をあたえられたモノ同士が、空間の中で対話をしている。対話と彫刻の奥の深さを知る。










「私は、美とはひっきょうバランスだと思う。

コンフュージョン(混乱)とオーダー(秩序)はどこの世界にも絶えずあるがこれは表裏一体のものだ。絵もつきとめていけば、そういうことになるのではないかと思う。

いい絵は、どんなに乱暴な描き方にみえてもちゃんとした秩序がある。

色、形、重さ、軽さ。そういういろいろなものの調和がとれている。具象にしても抽象にしても、絶対にそういうものがなければいけないと思う。」

猪熊弦一郎 76歳



猪熊さんの絵を見ていると、後ろから力を感じ、後ろを振り向くと、そこにも絵がある。

絵に挟まれ、両方から力を感じ、思わずクルクルと回って、こちらを見ると背中から視線を感じ振り向き、するとまた背中に視線を感じ、振り向く。

絵の空間に結界のように力がみなぎっている。

美術を極めた人物の、高次の力。

この次元まで行くと、絵を見ていて、絵を体験していて、もう幸福しかない。


丸亀の人は、幸福だ。












日帰りでバタバタと行き、あっという間だったが、何か体の組成が入れ替わるような豊かな時間だった。


猪熊弦一郎の絵を穴があくほど見た。


そこには包み込む母性だけではなく、厳しい父性も同居していた。深く見ていくと、抽象絵画と心が同期して、心の中が新しく配置され、現代を悩ませるあるあらゆる混沌や暴力や不条理や疫病・・・・そうした現実は変わらなくても、心の中にすとんとおさまっていった。やはり、わたしにとっての心の病院なのだ、とも。





羽田から高松空港へ行く途中。

富士山が窓からコンニチハするちらリズムも素敵だし、すべてが見えるのも威風堂々として素晴らしく。なまめかしい色と艶と。











帰りの飛行機で景色を見ていても、その絶妙な自然界のバランスに息をのんだ。猪熊絵画を見ることで、五感がひらかれ、この世界の絶妙な距離とバランスを知るのだった。

帰りの富士山は、さらに神秘的な表情をしていた。