火と水。そのぬくもりを誰がつくるのか。「湯〜トピアみどモスパ」(群馬県みどり市)
チハヤ会60週イベントもあり、群馬県みどり市の「湯〜トピアみどモスパ」を訪ねました(2026年5月にグランドオープンしたばかり!)。




温泉の魅力は、さまざまなところにあります。泉質や肌触り、土地の歴史・・・。あらゆることが、その温泉の記憶になります。
今回、心に残ったのは、お湯を温める「火」のことでした。
温泉の本質は『火と水』です。
地球の熱と、地中をめぐる水。
その出会いが、私たちの身体を包むお湯になります。
そして、『火〈カ〉+水〈ミ〉=カミ』でもあり、いのちを支える自然への畏敬を込めて、カミ、という言葉がある。それは温泉(火の水)として顕現しています。
ここでは、その『火』に、福祉と林業をつなぐ人の営みがメラメラと宿っていました。
温泉を温める薪をつくっているのは、今年60周年を迎える社会福祉法人チハヤ会のみなさんです。
福祉と芸術をはじめ、多彩な活動を育んできたチハヤ会については、あらためて詳しく紹介したいと思います。
地域の間伐材や未利用の木材が「木の駅」に集まり、チハヤ会の「MAKIT〈マキット〉」の仕事を通して薪になる。
福祉施設で薪づくりをしていることも先駆的!
薪を作ることが心のケアになりながら仕事にもなる。薪づくりは火の水につながり、温泉となり、人を心から温めることにつながっているのです!
ボイラー室で見せていただいたのは、スイスのHeitzmann社の大きな薪ボイラーでした。薪を燃やして得た熱を蓄え、必要に応じて使う仕組みです。現地で伺うと、薪の投入は一日に三回ほど。写真のカート一台分を、一日で使うそうです。


整然と積まれた薪には、木の年輪と、それを扱った人の時間が重なっています。
切り、運び、並べ、火を入れる。その仕事が、やがて湯船で心と体をほどいていく。
普段は見えない場所にある仕事が、肌に触れる温度になって届く。そのことに、深く心を動かされました。
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「湯〜トピアみどモスパ」(群馬県みどり市)の源泉は、ナトリウム―硫酸塩温泉。古くから芒硝泉と呼ばれてきたタイプで、pH8.3の弱アルカリ性、源泉温度は37.1℃です。体温に近い温度で湧くこの土地の水に、森から届いた薪の熱が添えられます。
温泉には色々な温度の浴室があり、素敵なサウナ室もありました。色々な温度の浴槽があるのは、体と対話しながら選べるので最高ですね!
その水がどこから来たのかを知るように、その火がどのように生まれたのかを知る。
すると、湯船の中に、これまで見えていなかった風景が広がります。
温泉の価値を考えるとき、火と水にどのような価値を託し、地域へ返していけるのか、という問いもあるのだと思います。


チハヤ会の取り組みは、その意味で、先駆的であり、本質的です。
森の資源を生かすことが、人の働く場につながり、その仕事が地域の休息を支える。
福祉、林業、エネルギー、健康が、一つのお湯を介して結び合わされている!水がすべてを混ぜ合わせる。
温泉がもともと持っていた、人と自然をつなぐ力を、今の社会の中で育て直しているように感じます。
私は、健康を、身体と心、そして社会的なつながりの中で考えています。ここでは、そのつながりが、温泉を温める日々の仕事として息づいていました。
誰かが気持ちよく温まれるように、今日も薪を用意する。その確かな手の働きの中に、愛がある。
火と水にこだわることは、ぬくもりの向こうにいる人や、森に心を寄せることでもあるのでしょう。
火と水が自然と人間の配合であわさった温泉の温かさは、肌の奥まで、心身の芯までシンシンと深く届くのでした。



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