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『great journey 8th』近藤良平(コンドルズ)× 永積 崇(ハナレグミ)@赤レンガ倉庫

great journey 8thを横浜赤レンガ倉庫に見に行った。

今年も豊富絶倒の面白さだった。色々な感情が揺さぶられる時間だ。





それは、二人がつくる空間が、見る側の能動的な働きを求めてくるからだ。

舞台の上にあるただの棒や紙。日常にあるありふれたもの。その場その場で色々なものに「見立て」られて変化することで、ガラクタは宝物へと変化する。子どもが見ている世界。子どもが外に遊びに行くと、素敵な棒や素敵な石を持ち帰り、秘密の宝箱にしまうように。


舞台に一定の解釈はない。見る側が自由に構成できる。現代の表現世界において、こうしたミニマルな舞台空間は珍しい。CGやAIは、見る側に解釈の幅を許さないから。見る側の想像と補完しあう世界は、能楽などでもみられるものだ。見る側がイマジネーションを活性化することで、あらゆるものが結合してそこに新しい時空間が生まれてくるから。無ではじまり、無に還る。



近藤良平さん(コンドルズ)と永積 崇さん(ハナレグミ)。二人は才能あるダンサーとミュージシャンだが、とても人柄がよい。人柄や人間性は人生と共に磨かれていくものだ。そのためには、視線が自分の外側だけではなく自分の内側に向いている必要がある。外と内とを往来するようにして、その摩擦や葛藤が、川の中の石が丸くなるように磨かれていく。



2人の舞台を見て居ると、人が子どもから大人になるときのプロセスを追体験しているような気持ちになった。


思春期は「子ども」から未知の「大人」の世界へと移行していく時期だ。誰もが通過する。人は何者かになろうとするために(そうした野心が生まれてくるため)、子どもから大人への移行期は不安定な時期でもある。

そうした時期に私たちは他者の視線が気になってくる。もっとできる、私ならもっとできるはずだ、と思う時期でもあり、これは一般的に向上心とも呼ばれるが、実際にはここをこじらせると、だから今の自分はダメなんだ、という自己否定にもスライドしていく。


つまり、あまりにも他者の視点が入り込みすぎると、自己肯定を自己否定が上回るのだ。多くの人は、この回路に大人になっても苦しみ続けている。私は自己否定が強い人は、もっと子ども時代を生きる必要があると思っている。

子どもは魂の世界に開かれた存在だ。魂とは、外界に影響されない命の根源の場所のこと。それは世代や時空を超えて不思議な受け渡された方をしている。「好き」になるものは、魂と関係があると、私は思う。

子どもから大人になるとき、内なる眼は魂の世界に閉じられていく。ただ、魂はファンタジーの通路を介することで、わたしたちに語りかけてくるのだ。


2人の舞台は、そうして子供の時の魂を呼び起こし、揺さぶる。人間にとっての自由や遊びという重要な余白や空白を生み出す、時空間でもある。




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ぜひ一度体感していただきたい!こうした舞台が、現代の解毒剤、妙薬として必要なんだよなぁ~。






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『great journey 8th』近藤良平(コンドルズ)× 永積 崇(ハナレグミ)

2025年2月28日(金)~2025年3月2日(日)

近藤良平・永積 崇と音楽・ダンスで巡る旅

赤レンガ倉庫で毎日がスペシャルセッション

昨日と明日への great journey

「great journey」は、ダンス集団・コンドルズを主宰しダンスを軸に演劇、映画、テレビなど多角的に活躍する近藤良平と、ハナレグミ名義で2002年からソロ活動をスタートし、シンガーとして、作曲家・作詞家としても第一線で活躍する永積 崇が、毎年一回、横浜赤レンガ倉庫に集い観客と一緒になってつくり上げる人気シリーズです。

大文字の「GREAT JOURNEY」は人類誕生以来の地球上の旅を意味しますが、「great journey」は現代に生きる私達一人ひとりの明日への一歩。⼈はなぜ旅をするのか、なぜ踊り歌うのか、そして私達のこれからに繋がるセッションが広がります。




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