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「草間彌生 魂のおきどころ」@松本市美術館

まつもと市民芸術館の観劇後、松本市美術館にも立ち寄った。


美術館での閲覧は半年ぶりくらいで、直近は2020年3月頃の、軽井沢ニューアートミュージアム(ここも本当に素敵な場所。軽井沢にお越しの時はぜひ行ってください)。







草間さんの作品からは、深い「かなしみ」のようなものが伝わってきて、それが不思議だなぁ。

哲学者の西田幾多郎が、「哲学の動機は「驚き」ではなくして深い人生の悲哀でなければならない。」と言っていたように。


西洋のキリスト教文化圏では、「原罪」という深い観念が底流しているのを感じるけれど、東洋、特に日本の文化は「かなしみ」や「悲哀」のようなものが根底に流れている。これは自然に対する「無常」(仏教の根本概念)の前にいる人間の感覚に近いものか。 

言葉にできない「ああ」という詠嘆が「もののあはれ」という感覚であるとすれば、「かなしみ」をドットの繰り返しパターンで、Popアートの衣をまとって深い無意識へ届け表現しえたことが、草間さんがグローバルな存在になった意義なのかもしれない。東洋と西洋とが、意識の階層に同時に織り込まれている。



会場の中に彼女の詩が掲載されていた。

強く死を意識して虚無の中に入り込んでいく手前の深い「かなしみ」と、その「かなしみ」を愛と美と芸術の対話によって拮抗させようとしているあり方が、ジンときた。







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