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「ソトコト」(2021年7月号):連載6回目「いのちは そだつ」(写真・絵・テキスト:稲葉俊郎)

今月号のソトコトはウェルビーイング入門として、色々な紹介がされていますー。

Well-beingは、「よく(well)+ある(being)」ことですね。日本語で言えば、健康とか幸福とか幸せとか・・、そういう概念を含んだ言葉ですね。

日本語訳がないもの、は、まだ日本でしっくりくる言葉がない、ということでもありますが・・・。


特に日本語は、すぐに手あかがつくことが多く、コトダマが強いのか、健康とか幸福とかも、漢字二文字で、何か上からの押し付けがましい言葉として使われやすいのかもしれません。

 稲葉俊郎「からだとこころの健康学」(NHK出版、2019年)と言う本も、あえて 「からだとこころのウェルビーイング」ではなく、「健康学」という言葉を使うことにこだわり、「病気」や「健康」の概念をもう一度考え直したい、というところにありました。



 

実は、「病気」は定義しやすいのですが、「健康」を定義することは極めて難しいのです。

世界中の人々の健康を守る目的で設立された世界保健機関(WHO)は、「健康」を次のように定義しています。


Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.

健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。    

(世界保健機関〔WHO〕憲章前文〔日本WHO協会訳〕)


「健康」とは、自分自身が「体も心も社会関係も満たされている」と実感できる状態を指していると説明されているのです。

この例からも分かるように、「健康」の定義は客観的で普遍的で一律の基準があるわけではありません。むしろその人自身が感じる主観的な感受性こそが大切なのです。どなたにも自分自身が「満たされている」と感じた経験はあるでしょう。そうした記憶を思い出してみることを含め、仮にでも自分なりの基準を決めてみないとスタート地点に立てないとも言えます。もちろん、自由に決めてくださいと言われると困りますよね。いっそのこと誰かに決めてほしい、という気持ちもよく分かります。ただ、自分が満たされているという感じは、他人には決めることができないのです。なかなか答えが出ないからこそ、考える価値がある大事な問いなのではないでしょうか。



 



「ソトコト」(2021年7月号)では、『TSURUMIこどもホスピス』や、「お寺ステイ」など、自分が注目している活動が多く紹介されています。神社仏閣と医療界とは、もうすこし接続していってほしいです。もちろん芸術界も。


山形ビエンナーレ関係では、アカオニの小板橋基希さん、未来型土着文化の連載での坂本大三郎さんなども出ています~。

自分の連載もありますので、この先もどうぞよしなにお付き合いください~。


●【Magazine】2021/6/5:雑誌「ソトコト」(2021年7月号):連載6回目「いのちは そだつ」(写真・絵・テキスト:稲葉俊郎)(→Amazon









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