島と島 人と人 歴史と歴史
- inaba

- 6月16日
- 読了時間: 2分
大空を飛ぶ。
美しい海と島々を見る。
瀬戸大橋が島と島をつなぐ。
人類の壮大な営みだ。
プレートの変動で分かれた島を、人間の技術が結びあわせる。
技は術と結びつき、技術となる。

美しい風景の写真を撮る。
ふと気になり、GoogleMapで場所を見た。
すると、そこは「長浦毒ガス貯留庫跡」「大久野島 毒ガス資料館」だった。



大久野島は陸軍が管轄し、1929年から1944年ごろまで毒ガスを製造していたらしい。そのことを隠すために、大久野島は「地図から消された島」でもあった。
有害な毒ガスだけではなく、無害な発煙筒なども作られていた。目に見えない気体やガスをつくる人間の技と術が、技術。
人間の創意工夫の力は、どこへ方向づけられるか次第で、どんな形でも花開く。
わたしたちの想像力は、いまどこへ方向づけられているだろうか。
この地で実験動物だったウサギは、終戦後、島と共に放置された。
ウサギは命である。
ウサギは繁殖し続け、大久野島はウサギの島としても有名になった。
温泉の湯けむりは、わたしたちの命の力を高める。
一方、毒ガスは、私たちの命の光を意図的に消す。
実験動物としてのウサギは悲しい運命を背負った。
そして、ウサギの子孫が人類の業を背負いながら、たくましく生きている。
目隠しされた船で島に移動し、島で働いた人たちの気持ちを想像する。戦後の人生を想像する。いま何を思うかを想像する。
人も橋のように時代と時代をつなぐ。
過去から現代へと渡されたバトンを受け取り、今がある。
目を瞑って黙想し黙祷し、そんなことをツラツラと考えて目を開けたら、もう厚い雲が海を覆っていた。

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