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下田 黒曜石 金 海

  • 5 日前
  • 読了時間: 3分

仕事で下田へ。


東京から特急踊り子に乗れば一回も乗り換えずに終点の伊豆急下田まで行ける。東京から下田まで電車で3時間弱かかるが、当時は歩いて山越えしていたことを想像するだけで遥かに幸福な気持ちになるし、いい読書・思索時間になる。窓から見える海の風景も心を溶かす。



伊豆と言えば、黒曜石が最初に頭に浮かぶ。

あと、伊豆半島は火山島で、あとから日本列島にぶつかって合体した、というところも。火山島だったこともあり伊豆は温泉も湯量も豊富だ。



黒曜石(Obsidian)は、火山活動で生まれる天然のガラス。


黒曜石はナイフや矢じりのような機能的な価値・実用性が高い。それに加えて「希少で、美しい」という点も、だれもが「ほしい!」と思った理由。旧石器時代、縄文時代から交換・移動の対象になっていた。


黒曜石は特定の火山活動があった場所にしか存在しないため、産地が限定的。

「北海道の十勝」「長野県の諏訪・霧ヶ峰(和田峠)」「伊豆諸島の神津島」「佐賀県の腰岳・大分県の姫島」などが有名。火山列島である日本の中でも、質が高いものは散在してる。



伊豆にある神津島の黒曜石は、約3万8千年前の旧石器時代からすでに流通していたらしい(たとえば神奈川県、相模原市の遺跡から旧石器時代のものとして神津島の黒曜石が出土したり)。


海を越えて島まで貴重な石を取りに行く。だからこそ古代人類の海上航海のはじまりともいわれる。命がけでも海を越えて取りに行きたい、と思わせるのは、現代でのレアアースと同じようなもの。



伊豆の神津島の黒曜石は質が高く、透明感のある「スターダストオブシディアン(星降る島の黒曜石)」として知られていた。

神津島の横にある恩馳島(おばせじま)の原石もさらに良質で、光にかざすと透明感があった。高品質なのは諏訪と同じ。

良質な黒曜石は「火山性天然ガラス」で、火山と地球が偶然にしか生みださない。



金や銀もそうした地球の芸術作品。

佐渡金山(新潟県)や湯之奥金山(山梨県)と並んで、伊豆にある土肥金山(静岡県)も有名な金山だった(今は枯渇して採択されてない)。



幕末に、日本から大量の金(金貨)が海外へ流出した。

その理由は、日本と外国との「金銀比価(金と銀の交換比率)に大きな差があったから。そのことでぼろ儲けした人たちがいた。


下田は日米修好通商条約(1858年)でも大きな役割があった場所。この時点で、日本と世界での金と銀の交換比率が違ったので、外国人は銀を日本に持ち込み、日本の安い銀に両替してその銀を日本金貨(小判)に両替する。日本金(小判)を海外に持ち出せば、ただそれだけで3倍の利益を得ることができた。

(経済の歴史を見ていくと、この辺りの銀本位制→金本位制→現在の「管理通貨制度」(金や銀と通貨が結びつかない) は、不思議でかつ面白い話。お金は結局「信用」なんですよね。)



そんな風に、経済の歴史(金本位制)、交易の歴史(黒曜石)のことなどを振り返るのに、下田という地は実り多い旅だった。



海は、そんな人間の事情とは無関係に、ただただ美しく、潮の満ち引きを繰り返している。



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