Hachi Media 対談 健康と社会 ~その巡りを考える~
- inaba
- 5月9日
- 読了時間: 3分
Hachi Mediaの中で、黒川由紀子さん(心理学者・臨床心理士)と対談させてもらいました。
上智大学名誉教授で研究者としても臨床家としても一流の黒川由紀子さんは、常に的確な言葉を丁寧に選びとります。振る舞いも言葉遣いも態度も超一流で、いつも尊敬しております。霊性は態度にしか現れないものです。
「不健康を内包する健康」をテーマに対談を行いました。
ぜひお読みいただけたらと思います。
●【Web Media】2025/5/7+5/8:Hachi Media 対談 健康と社会 ~その巡りを考える~:黒川由紀子(心理学者・臨床心理士)×稲葉俊郎:
【前編】(自分にとっての「健康」を考え、選ぶ)
【後編】(相手を変えるのではなく、自分を変える) (Web:8 Hachi Media)

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【前編】(自分にとっての「健康」を考え、選ぶ)
稲葉
病気のことを学ぶことも大事ですが、私は健康について学ぶことも大事だと思い「健康学」という言葉を使っています。健康学の観点で考えると「防御する」ことも重要になります。これは、何を取り入れるのか、不要なものが侵入してくることから身心を守るということでもあります。
もしあなたがお城の門番だとすると、門を常に開放して全てを中に取り入れることはありませんよね。本当に中に取り込んでいいかどうかを判断するのが門番の役目ですから。食べ物でもそうですが、自分にとって健康や幸福に寄与するものなのか、と考えながら選んでいく必要はあります。それは情報に対しても同じです。テレビやスマホ、ネットで見た情報を何でもかんでも門の中に取り入れてしまうと、時には闇にも吸い込まれてしまいます。気づかずに大量の毒を飲んでしまっていることもあるのではないでしょうか。
もちろん、時には毒も必要ですが、致死量に至る毒には解毒剤も必要です。
自分にとって「健康」であり、「豊か」になるために必要なものは何なのか、ということを考えて取り入れることが必要です。
門番は自分しかいないのです。
芸術や音楽、詩や文学の価値も、そうした面にもあると思います。
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稲葉
持続可能な社会について世の中も関心が高まっています。そのときに、「このままだと人類が絶滅してしまう」と不安や恐れを誘発する話が多いのですが、本当にそれでいい行動変化が起きるのかと私は疑問です。
人間は、自分が好きなことや愛するもののためなら真剣に命懸けになれます。愛のために行動できると思うのです。地球を愛することが一番大切で、愛しているからこそ守りたい、なんとかしたい。愛の力で動くのか、不安や恐れで動くのか、そこには大きな違いがあります。
それぞれが地球に対して好きなことがあり、そうした個別的に地球を愛することが地球を守ることにつながっていけばいいのだと思います。例えば私は山や温泉が好きです。温泉を守ることが地球を守ることにつながると考えればいいのだと思います。目先の視点だけではなく、遠く遥かな視点を持つこと。それは時間軸でも空間軸でも同じです。一人一人が好きなことを守ることがグローバルな動きになればいいと思いながら、慶應大学でも教員として働いています。現状は不安や恐れで安易に人を動かそうとしているのではないかと感じますね。
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