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岸見一郎,古賀史健「嫌われる勇気―自己啓発の源流「アドラー」の教え」ダイヤモンド社 (2013)

November 15, 2019

岸見一郎,古賀史健「嫌われる勇気―自己啓発の源流「アドラー」の教え」ダイヤモンド社 (2013)を再読。

「からだとこころの健康学」NHK出版(2019)にある巻末のブックリストに書いたので気になりまして・・・。

 

 

 

 

対話形式なのですごく読みやすい本。

アルフレッド・アドラーをもっと深く知りたいと思う本です。

 

いまここでどういう判断や意味づけをしていくかを、自分の主観を大切に、自分の未来を大切にしながら考えて行こう、というのがアドラーの考え方。


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アドラー
「大切なのは何を与えられているかではなく、与えられたものをどう使うかである。」
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という言葉に、アドラーのエッセンスが込められていると思う。

 

「悲観的な性格だ」よりも、「悲観的な世界観を持っている」に変えてみる。

性格には変えられないものだというニュアンスがあるが、世界観であれば変容させていくことも可能。
そうして、ライフスタイル、人生の在り方は、自ら選び取るもの。
実は、10歳前後に選択しているらしい。


問題は過去にあるではなく、現在の「いま、ここ」にあると考える。

アドラーの目的論は、「これまでの人生になにがあったとしても、今後の人生をどう生きるかについて何の影響もない。」とする。極めてラジカルだ。

 

自分の人生を決めるのは、「いま、ここ」に生きるあなた自身。

自らに対して「変わらない」という決心を常に下しているから。変わらない。
おそらく、そこには<本当は変わりたくない>という隠れた目的がある。


人は常に自らのライフスタイルを選択している。
だから、変わらない人も、ライフスタイルを変えないでおこうと、いう不断の決心をしている。

 

では、ライフスタイルを変えるには何が必要か。
アドラーは「勇気」が必要だと言う。
幸せになる「勇気」が足りていない。だから、勇気づけが大事なのだ、と。

このシンプルな言葉にはすごく深いものを感じた。

 

 

権威の力で自分を大きく見せている人は、他者の価値観に生き、他者の人生を生きている。

もしも自慢する人がいれば、それは劣等感を感じているからに過ぎない。
本当に自信をもっていたら自慢はしない。

 

不幸自慢は、劣等感そのものを先鋭化させて特異な優越感にひたること

不幸であることで特別であろうとし、不幸であるという点で人の上に立とうとする。特別な存在であろうとする。自らの不幸を武器に、相手を支配しようとする


自らの不幸を「特別」であるための武器として使っている限り、その人は永遠に不幸を必要とする。


人生は他者との競争ではない。


健全な劣等感とは、他者との比較の中で生まれるのではなく、「理想の自分」との比較から生まれるもの

 

 

競争の図式から出ると誰かに勝つ必要がなくなる。
負けるかも、という恐怖からも解放される。
他者の幸せを祝福できるし、積極的な貢献ができる。

 

ある人が困難に陥った時、いつでも援助しようと思える他者。それが仲間と呼ぶ存在。
「人々はわたしの仲間なのだ」と実感できていれば、世界の見え方は違うものになる。

 

そうして、アドラーは他者を敵と考える思考から、仲間と考える思考への変換を促す。
それは、競争という構図から勇気を持って降りることを意味する。

 


アドラー心理学での行動面の目標は2つ
1:自立する事

2:社会と調和して暮らせること

 

行動を支える心理面の目標2つ
1:わたしには能力があるという意識

2:人々は私の仲間であるという意識


一緒に仲良く暮らしたいのであれば、互いを対等な人格として扱わなければいけない。

誰かの欠点を許せない、のではなく、
その人との対人関係を回避するため、嫌いになるという目的が先にあって目的にかなった欠点を後から見つけだしていると考える。

人はその気になれば、相手の欠点や短所などいくらでもみつけだすことができるからだ。

 

そういう風に、様々な口実で人生のタスクを回避しようとする事態を
「人生の嘘」とアドラーは呼んだ。

 

確かに、自分に正直に素直に生きれていない人生は、「人生の嘘」ということになるかもしれない。辛辣でストレートな言葉だと思った。

 

 


このタイトルにあるような「嫌われる勇気」というのは、他者の評価を気にせず自由になれ、ということのようだ。

 

比較すべきは他者ではなく、自分の中にいる理想の自分。
Egoではなく、自己Self(全体としてのわたし)とを比較せよ、ということだろう。

 

 

組織を飛び出してもほんとうの自由は得られない。
他者の評価を気にせず、嫌われることも恐れず、承認されないかもしれないというコストを支払わないと、自分の生き方を貫くことはできない。自由になれない。
だからこそ、嫌われることを恐れるな。幸せの勇気には嫌われる勇気も含まれる、と本書では書かれていた。

 

そういう意味で、人の顔色をうかがう人生は、確かに「人生の嘘」になってしまうのだろう。

結局は、その人だけのかけがえのない一回限りの人生なのだから(たとえ生まれ分かりがあるにしても、いまこの時代の人生は永遠に一回だけだろう)。

 

 

アドラーの考え方でいいな、と思ったのは「共同体感覚(social interest)」という考え方。

 

共同体は家庭、学校、職場、地域社会だけではなく、国家や人類も包括した全て。宇宙全体まで含んだすべて。
時間軸においては過去から未来。動植物も無生物までも含まれる。
文字通りのすべて、を共同体とした。

 

そして、その共同体感覚は、「自己受容」と「他者信頼」と「他者貢献」という3つのバランスが必要になる。という点。

まさに未来を先取りした考えだと思う!


あと、
「ゴルディオスの結び目」を断て。
という章もあってうれしかった。

しがらみを従来的な方法で解きほぐすのではなく、何かまったく新しい手段で断ち切らなければいけない。ということ。


小松左京の「ゴルディアスの結び目」ハルキ文庫(1998)という本を思い出す。(超名著!SFオムニバス集。)

 

 

 


ゴルディアスの結び目は、アレクサンドロスの伝説。
ひとつの現象を解き明かすのに、既存の思考法によるたったひとつの答えのみがあるのではなく、複数の次元から問題を解き明かす可能性がひそんでいることを例証するエピソード、それが「ゴルディアスの結び目(Gordian Knot)」の語源。


何かを本当に解決していくには、まったく違う次元からの解決法が必要だ。
それが「ゴルディアスの結び目(Gordian Knot)」を解くこと。

そういう風に生きていきたいものだ。

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他にも色々と示唆する対話がキラ星のようにたくさんあって、本当にいい本だと改めて思った。
アドラーの深い心理学や哲学を損なわないように、すごく読みやすい対話形式で書かれています。

こういう本は、まさに名著だなぁ。

 


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アルフレッド・アドラー(Alfred Adler)
「私たちのいわゆる個人心理学は、実際のところ、対人関係の心理学である」
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「どうしたらみんなを喜ばすことが出来るかを、毎日考えるようにしなさい。そうすれば憂鬱な気持など、吹き飛んでしまいます。反対に自分のことばかり考えていたら、どんどん不幸になってしまいますよ」
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「子供の教育について最悪の間違いは、親や教師が、誤った道にさまよっている子供らに向かって、悪い結末を予言してやることである」
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「人生最大の危険は、用心しすぎることである」
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