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新学校園 第五回 めぐり花@IID 世田谷ものづくり学校

塚田有一さんとの、新学校園 第五回 めぐり花@IID 世田谷ものづくり学校

今回のテーマは陰と陽。そして自然と人工。

普段見慣れている草花も、何かテーマを見て探していると、普段は何気なく使っている体の中を、内視鏡などのカメラで覗きに行くと体の細部がより詳しく見れるように、自然という体内巡りをしているような気持ちになれる。

綿花は、触感と皮膚感覚とをすり合わせて、衣服にまで昇華した。 藍は、藍の葉は緑だけど、その断面からは藍色の世界が顔を覗かせる。

綿と藍とを掛け合わせることで、ファッションという美の世界にまで高まった。

その原点は人間と植物との共生にある。

もちろん、人間だけではなく、植物はあらゆる生命と関係性を結んでいる。

今回は、陰と陽、という対立(し、かつ二つで一体でもある)花瓶を近くにおいて、無から有を立ち上げた。

自分の中の陰と陽のイメージで花を持ち寄る。 その後、花瓶という場を見ると、また別のイメージが浮かんで、自分の陰のイメージが、陽の花瓶に入ったり、自分の陽のイメージが、陰の花瓶に入ったりしたことが面白かった。

「めぐり花」では、自分の美意識で花を生けるものと違って、 誰かが生けた空間に、自分の花を生け、場全体で生けていく。 そのとき、自然に「この空いた空間に、こういうのがあると全体が生えるなぁ」と、思いながら、部分と全体の関係を考えながら花を生ける。決して、前の人が生けた花を汚したりはしない。 でも、今の時代は、前の人が生けた花を抜き取り、ポイっとごみ箱にすて、全体の場を威嚇するように自分の居場所をつくる、そういう人が増えたような気さえする。

みんなで花を生けるという体験によって、わたしたちはそれぞれの居場所を尊重しながら、それでいて部分が全体を生かし、全体が部分を生かす、ということを、肌感覚で分かるような気がする。ある種の儀式のように。

そもそも、植物の生態がそういうものだ。 ひとつの草花だけが太陽の光や土の養分を独占するのではなく、その土地においてそれぞれが最大限に恩恵を受けれるよう、互いが互いを生かしながら、植物の生態系は作られている。それは、ひとつの植物の葉のつき方をみているだけでも感じることだし、草花と草花の関係、林や森の全体を見ていても思うこと。

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