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映画「しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス」

多方面から絶賛の評価をチラホラ聞いていて、かなーーーり気になっていた映画、「しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス」をBunkamura ル・シネマで見てきた。

まーーーー感動。 涙腺ゆるんでゆるんで、10回くらい泣いて泣いて、泣きました。

泣いた、とは言っても、お涙頂戴の映画では決してないんです。 泣かしてやろう、などという、そうした監督の小賢しい意図はまったく感じられない。 ただ、 不器用で孤独な二人が、肩を寄せ合って、時には反発しあい、それでもお互いを求めあう、そんな人間の生き様に、ただただ泣けて仕方がないんです。

役者の存在感、間合い、無言のやりとり、風景や光、、、 色んなものが、人間誰もが抱える悲しみや喜びを如実に表現していて、その間合いにこそ、泣けて仕方がないんです。

美術に携わっている人にはぜひ見てほしい。絵という表現の根本を、再度思い出させてくれるから。 結婚、恋愛、パートナーシップで悩んでいる人には(悩んでいない人も)、ぜひ見てほしい。いろんなことをきっと感じるから。 お互いを深め合っていく愛ってなんだろう。愛の根源を色々と考えさせられる。 生きているってなんだろう、美って人間にとってなんだ。 そうした根本のことも。

芸術とお金、報道やマスコミ、暮らし、病、家族、女性、、、いろんなテーマが層のように重なり合って響きあい、本当に本当に胸がいっぱいになった。 こんな素晴らしい映画を観れて本当に光栄です。

人によっては胸をえぐられるようにつらい場面もあるかもしれない。 でも、誰でも何かのシーンにドキッとすると思う。

それほど、どんな人にも普遍的に通じることが、あますことなく素晴らしいテンポで描かれている。こんなに間合いが美しくすべてに無駄がなく完璧な映画も久しぶりだ。

そして、二人の夫婦の演技がもう素晴らしくって、何度も胸がつまりそうになる(心臓に持病を持つ人は要注意!)。

芸術と医療の接点をいろいろと模索している自分としても、本当に深く刺さる映画。素晴らしいから、どんな人にも見てほしい。

自分は事前情報を何も知らず見たんですが(えらく評判がいいのはよく聞いていたもので)、カナダで最も有名な画家モード・ルイスの実際の生き様を映画化したもののようです。

最後に実際の彼女の映像がすこし出てきますが、その映像もそこで生きているようだった。最後の実際の映像で、画家モード・ルイスの祈りのような生き様が自分の中に飛び込んできて住みついてくるかのようだった。

芸術や美術に携わっている人にはぜひ見てほしいし、 男女の愛・夫婦の愛に関して、悩んだことがない人なんて一人もいないと思いますが、そういう人もぜひ見てほしい。

ぜひ見てーー!!!

Bunkamuraザ・ミュージアムでは『猪熊弦一郎展 猫たち』もやってて、これもすんごく素晴らしいんですが、映画の元になった画家モード・ルイス(Maud Lewis1903-1970)にも素敵な猫の絵が出てきて、あわせて見るとさらに胸がいっぱいになります。

 

<映画紹介> カナダで最も有名な画家モード・ルイスが教えてくれる、人生で大切な喜びとは

カナダの小さな港町で、子供のように無垢で愛らしい絵を描き続けた素朴派画家のモード・ルイス。夫のエベレットは不器用ながらも妻のサポート役として献身的に尽くしていた。孤独だった2人が運命的な出会いを経て、夫婦の絆とたしかな幸せを手に入れた感動の実話を映画化! 毎日、鮮やかな色彩でカナダの美しい風景と動物たちを描いたモードは、愛とユーモアに満ちた心象風景を心の赴くままに描いた。その魅力は海を渡り、当時のアメリカ大統領ニクソンから依頼を受けたこともあったという。日本ではまだ知る人ぞ知る存在だが、本国では小品でもオークションで500万円を超える人気を誇る、カナダで最も愛されている画家である。 電気も水道もなく、わずか4メートル四方の小さな家で慎ましく暮らすモードを演じるのは、『ブルージャスミン』(13)でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされた実力派サリー・ホーキンス。絵本作家の両親を持ち、自身もイラストレーター志望だったサリーは、役作りのために素朴派画家の絵画クラスに数ヶ月間通ったという。背中を丸め、縮こまった手で絵筆を握る姿はモードが乗り移ったかのようだ。妻への愛と尊敬の念を無骨に隠すエベレットには、『6才のボクが、大人になるまで。』(14)などでアカデミー賞ノミネート常連組のイーサン・ホーク。本作出演後に、モードの作品を2点購入したという美術愛好家の一面を持つ。カナダの広い空の下で一風変わった夫婦の愛を描くのは、ホーキンス主演のTVドラマ「荊の城」(05)のアシュリング・ウォルシュ監督。再びサリーとタッグを組んだ本作はベルリン国際映画祭をはじめ世界の名だたる映画祭で上映され、観客賞ほか多くの賞を受賞。世界中で愛される、彼女の代表作となった。 幼い頃から障害を抱え、家庭に恵まれなかった1人の女性が、生きがいである絵と夫の愛に包まれて花開いていく。「どんな人生でも自由な精神で楽しめば、素晴らしいことが待っている」と教えてくれる感動作が誕生した。

■Maud Lewis: Renaissance of a N.S. folk artist

■Lisa Hannigan - Little Bird

最後に流れた曲です。

あと、この映画、音楽がとんでもなく素晴らしいんですよね。全身にひびく、ひびく・・・。

映画『しあわせの絵の具』のおかげで、こんなに!というほど泣いたので、今日はいい夢が見れそうだ。きっと深い深い夢の奥底にモード・ルイスさんがあらわれてくるだろう。

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