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「=音よ舞え、魂よ踊れ= 上原ひろみ×熊谷和徳 TOUR 2017」

渋谷Bunkamuraオーチャードホールに、「=音よ舞え、魂よ踊れ= 上原ひろみ×熊谷和徳 TOUR 2017」に行ってきました。 タイトルがすでに熱い! そして、実際の公演も二人の生命熱が融合してSparkして反応を巻き起こし続ける、ものすごく熱く感動的なステージだった!!

上原ひろみさんのピアノも、熊谷和徳さんのタップも、それぞれが独立して遥かな次元にある。それぞれを単独で2時間聞いても足りない。聞き続けたいし、見続けたいし、感じ続けたい。

それなのに、今回はこのお二人がコラボレーションして、互いをInspireさせながら行う舞台なのだから、さあ大変!

・・・・・・・自分は昔、フラメンコを習っていたことがある。

スペインに行ったとき、お年寄りの人たちがフラメンコを踊っていたのにしびれたからだ。

スペインの貧乏旅行で、小さい店で夕食を食べていた。どこともなくフラメンコギターをかきならす80歳近いおじいさんがいた。

すると、100㎏近い巨漢のおばあさんがスクッと立ち上がり、地球を踏みしめだした。それは踊りだった。足が悪くて動けないおばあさんも、車いすのまま足のステップを踏み出した。手つきは沖縄の踊りのようだった。その場のみんながステップを踏んでフラメンコを踊りだしたのだ。地鳴りに近いものだった。

自分はその感動が忘れられなかったから、大学生の時ひそかにフラメンコを習ったのだ(先生、どうしているかなぁ)。

フラメンコでは足のタップと共に手のふりつけもある。カスタネットもかき鳴らす。

熊谷和徳さんのタップは、基本的に足を使うタップダンスだ。

だから足の動きに目が釘つけになった。

遠い場所からでも、時にはミクロに、時にはダイナミックに動く足さばきは、フラメンコでもなく、アイリッシュダンスでもなく、まさにタップダンスだった。

両手はバランスをとるように動く。足での複雑なステップで全身が波のようにつながっていく。体全体の重心をとろうと、手が自然にバランスをとる。身体原理に叶っているからだろう、その手つきがすでに踊りであり舞いであり、コトバなのだ。

時には鳥が空中からふわっと地上に着地するようにも見えた。

時には地面自体が動いているかのような錯覚が見えるときすらあった。

動物の求愛行動を見ているようでもあった。

身体から意味として分節化する前のコトバが、マグマのように滝のように溢れていた。

上原ひろみさんのピアノ。

世界の誰もが認めるすごさ、素晴らしさ、激しさと優美さ。

デビューからすべてCDで聞いている。

時にはスパイスのように超絶的な技巧もあるが、喜びが全身から躍動するようなピアノタッチ。

躍動する身体。飛び跳ねる身体。

音に艶がある。なんなのだこの音は。

ただの物理現象ではない。

音に人格が載って放たれている。ピアノから音を開放しているかのようだ。

グレングールドのように猫背で弾いているのだが、ピアノの音は閉じられずに宇宙に開かれている。

その躍動感とグルーブは、2階席まで張拡してきた。

ひろみさんのピアノの音が熊谷さんの身体を動かし、熊谷さんの動きがひろみさんのピアノの音をさらに引き出す。固唾を飲んだ。

互いがinspireし、互いがinspireされる。

inspireは、in+spireで、spirit(spire)が入ってくること。

Spiriにより自分自身が鼓舞(Inspire)されることであり、それは呼吸で息を吸う動作(Inspire)の意味でもある。

inspirationは、創造的なひらめき、宗教的な霊感、そして、いきを吸うこと、なのだ。それらはすべて「たましい(Spirit)」にまつわることだ。

互いの「たましい(Spirit)」が重なり合い、混ざり合い、反発しあい、惹かれあう。

そうした水面下の事象を、わたしたちはInspireという語感で、身体そのもので感じているのだろう。

ふたりの魂が重なりあい、大きくなる。その巨大なシャンボン玉に観客も劇場も包まれる。

場が一つになり共振する!

ひろみさんの、ホルスト 組曲『惑星』、シンディ・ローパー『time after time』、Louis Armstrong『What a wonderful world』のアレンジ、、、

すべてにオリジナルへの敬意があり、それでいて自由闊達、融通無碍に楽曲を伸び縮みさせて表現させるJazz Magicがあり、本当に素晴らしい時間に酔いしれた。

生きててよかったーー。 天才上原ひろみさん、天才熊谷和徳さん。

天才とあまり容易に使いたくないが、まさに天才なのだ。

天に与えられた才能を開花させること。

種子を見出し、種子を発芽させ見事に開花させる。それが天才なのだから。

そして、花を咲かせるだけで終わりではない。枯らせないように手入れし続けること、見守り続けること、泉から水を引き続けること、適切な時期に太陽の光を与えること。

もし枯れたとしても、あきらめずにまた畑を耕し、別の花を咲かせること。

そういう全体像をこそ、天才と呼ぶのだ。

天才と天才を合わせると、こんなにもすごい化学反応が起きるのだ、ということを目撃して体験してしまった。

・・・・・・・・・・

素晴らしい体験に魂が震えました。 実際、振動やリズムというのは、魂の力を発動させることを古代人は直感していて、それが魂振りという神道の儀式でもある。 豊かな時間の余韻にひたり、噛み締めた後、感想を書きました。

ちなみに。 そんな天才、熊谷和徳さんと、12/30には『食の鼓動』で対談させていただきます。

たのしみすぎるー。 どんな話をしようかな、ワクワク。

ぜひぜひ12/30も来てほしい!最高の2017年の締めになると思います。

こちらの動画、参考までに! 生で見ると、映像よりも何万倍も熱い熱いステージです! 〇「上原ひろみ×熊谷和徳 TOUR2017」トレーラー映像

〇Hiromi Uehara & Kazunori Kumagai - Live at Tokyo Jazz 2008

■2017/12/28+29+30:「食の鼓動 ──innereatrip」@スパイラルガーデン(スパイラル 1F)(東京都港区南青山5-6-23)  <食の鼓動 -innereatrip>@スパイラルガーデン(スパイラル 1F)  ●12/28(開場20:00/開演20:30)  ●12/29(開場20:00/開演20:30)  ●12/30(開場17:30/開演18:30) *関連イベント <いのちの鼓動 トークセッション>@スパイラルホール(スパイラル 3F)((定員:80名)  ●12/28(15:00-16:30)Talk Session1朗読「言霊」稲葉俊郎+永積タカシ(ハナレグミ)  ●12/29(15:00-16:30)Talk Session2献歌「呼吸」稲葉俊郎+UA  ●12/30(13:00-14:30)Talk Session3振動「リズム」稲葉俊郎+熊谷和徳(タップダンサー)

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