top of page

「夜明けまえ 知られざる日本写真開拓史」東京都写真美術館

東京・恵比寿の東京都写真美術館で開催中の「夜明けまえ 知られざる日本写真開拓史 総集編」は面白かった。お客さんが全然いなかったのが勿体ない!(別の日はもっと入っているのかなぁ?)

江戸末期から明治期の写真には、圧倒的な美しさと存在感がある。

おそらく、撮影一枚にかける集中力や時間や手間など、すべてが質として顕在化しているのだろう。

「写真を撮られると魂を抜かれる」と実感を持って語られたのが、身に迫るように理解できる。実像よりもより実像らしく、現実よりもより現実らしい。

(山内家写場) 《(松平忠礼の妻、豊子像)》 明治8-13年頃  アンブロタイプ

鈴木真一 《(子供の武将)》 明治時代中期 鶏卵紙に手彩色 後藤新平記念館

エリファレット・ブラウン・ジュニア 《田中光儀像》嘉永7年 ダゲレオタイプ

上野彦馬 題不詳(上野八重子像)明治 35 年頃 ゼラチン・シルバー・プリント

自分は『百年前の日本−モースコレクション』という本も、穴があくほど愛読しているが、この本にも古代と近代の穴から吹き上げてくる蒸気が立ちあがっているようだ。4000円の本だが、飲み会を一回キャンセルして、一家に一冊、この本を置いてほしい。

===== アメリカの東海岸ボストンの北にある小さな港のセイラム。そこにあるピーボディー博物館には、今まで知られることのなかった大変なコレクションが眠っていた。それは、大森貝塚を発見したことで有名なモース博士の持ち帰ったコレクションである。古い日本を写した写真、そして日本の民具、生活用品などその数は3万とも5万点ともいわれる。 1982年10月、このコレクションを求めて、渡米、そしてピーポティー博物館の地下の収蔵庫でモース・コレクションの調査、発掘が始まった。モース・コレクションを日本に紹介する第一弾となったのが、この写真集『百年前の日本』である。取材の翌年1983年11月この本が刊行されると同時に、大変な話題となり、現在まで13刷を数えるベスト・セラーとなった。初版より23年、本書は、今だに現役の本として、出版史に残るロングセラーとなっている。今回は普及本として定価を下げ刊行。21世紀の今、本書の写真はわれわれに何を語りかけるのだろうか。再び話題になることと思う。

=====

bottom of page