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映画「この世界の片隅に」


連休中にアニメ映画「この世界の片隅に」(監督:片渕須直、原作:こうの史代、音楽:コトリンゴ)を見て、猛烈に感動して、1日その余韻に浸っていた。日本人全員必見の映画!このアニメの素晴らしさは、間違いなく世界中に伝わるだろう。

いまこの時代に生きている人全員が、このアニメが伝えようとしていることを受け取り、受け渡していかないといけないと思う。日本で得られている平和な時代は、様々な人の思いにより受け渡され続けてきたものだ。

女性の視点で、この映画が描かれていることに意味がある。 女性は生命を受け渡してきた存在だからこそ、生命原理の世界へと、揺り戻しが起きるはずだ。

人々は生活をして生きている。 生活とはLife。生命活動そのものだ。 生活(Life)から離れたすべてのものは生命原理から離れていく。 戦争はその代表だろう。

いまからは、生命原理を中心に据えた時代へとうつっていくと思う。 資本主義は、システムが悪いというより、「お金」を中心に据えたことで何が目的だったのかよくわからなくなってしまった。 「お金」は「幸せ」や「生活・いのち(Life)」を大切にするための手段だったはずだが、目的になってしまったのだ。 中心には「生命・いのち・Life」を据えてしかるべきだと思う。人間だけではなく、すべての生き物に対しても。

だからこそ、宇宙の中に存在する生命を、もっと深く見つめなおし、あらゆる角度から学ぶ必要がある。アニメや漫画からも多くのことを学ぶことができる。

映画「この世界の片隅に」を見ながら、あまりにも多くのことが自分の心の中に浮かんできたすべてを書き記すことはできない。 アニメや芸術というものの可能性を強く感じたものだった。

 

自分は在宅医療で往診をしている。その経験で得られた一番大きなことは、戦争の当事者から戦争の話を直接聞けた事だ。

人は、死が近くなると、世間体などの狭い価値観から解き放たれて自由になる。 ほんとうに話したかったことを、最後の最後に自然に話すようになる。

*********** キューブラー・ロス(Elisabeth Kübler-Ross)『ライフレッスン』 「死にゆく人は自分が失うものとその価値を知っている。みずからを欺いているのは生きている人の方なのだ。」 ***********

戦争での強烈な体験。 時代に生きた誰もが大きな流れに飲み込まれ、強烈な負の体験として人生に位置付けられ、オリとして残り続ける。 その体験は複雑な内的なプロセスを経て「病」を生み出し、心の深い層で長年苦しんでいたのではないかと思う方にも多数お会いした。 そうした話は、家族のような近すぎる関係性よりも、少し距離がある人間の方がいい聞き手役になれるものだ。

戦争の話は、その体験を否定されたくないと思うと、あまりしたくないものだと思う。固く蓋をしている。 その人にとって深い体験であればあるほど、たましいに近い場所で起きている体験になる。

そうした話をしたがらないのは、周囲の聞き手が無意識に否定したり偏見を持って聞く機会が多いからではないかとも、思う。 人は、安全で守られた空間であれば、魂のプロセスに従って自分の中をオープンにして解き放つことができる。

戦争の話を聞く度に、こうした方々こそが、今の日本の平和を成し遂げた大きな大きな功労者であることを強く感じたものだった。

戦時中、僕らの祖父母の世代は、未来の祖国や未来のひとのために命がけで戦争に参加せざるをえなかった。 極貧の生活や辛い日々と共に。

僕らは、上の世代に対して感謝の気持ちを、もっと素直に表現していいと思う。 現代ではCreativeな仕事が重視されるが、焼け野が原の日本をゼロから再生した人々以上にCreativeな人たちはいない。

「いのち」は、自分が受け取ると決めれば受け取ることができる。 受け取ろうと自分が決めない限り、永遠に受け取ることはできない。 それは、あくまでも自分が決めて引き受ける問題なのだ。

 

アニメ映画「この世界の片隅に」は是非是非見てほしい!すべての年代の人に見てほしい!!

こうの史代さん原作の漫画も本当に素晴らしい漫画ですが、映画は映画でしか表現できない挑戦をしていて、それがまた本当に素晴らしい。

涙涙涙無くしては見れませんでした。愛と悲しみとやさしさがたくさん詰まった本当に美しい映画です!!! こんなに深い余韻が残る映画は、はじめてです。

 

先日は自分の誕生日で、色々な方からメッセージを受けとり、光栄でした。 ありがとうございます。

誕生日は、自分を祝ってくれる日でありがたい日でもありますが、「この世界の片隅に」生まれさせてもらったことに感謝する日でもあると思います。 本当にありがとうございます。

「この世界の片隅に」生まれた皆さんで、こうしたご縁が結べたことにも感謝して、この1年は表現の年にしていきます。

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