「手塚治虫『火の鳥』展」@六本木ヒルズ
- inaba
- 6月5日
- 読了時間: 2分
森美術館での「火の鳥展」。5/25の閉幕にギリギリ間に合い、見ることができた。(すでに閉幕)
自分に一番影響を与えた漫画は「火の鳥」だ。
「火の鳥」では人間の業(ごう、カルマ)を入口にして、コスモエネルギーと生命エネルギーが一体化しながら、時間と空間を越えて生々流転する果てしない物語を描く。


人類の歴史からは、時の暴君や皇帝は「永遠の生命を得るために」「不老長寿を得るために」あらゆることをしたと学ぶ。
しかし、手塚治虫の「火の鳥」では「永遠の生命」に関してすこし異なった教えが展開される。
火の鳥は語る。
「人を殺めた罰として、あなたは永遠に生き続けなさい」。
いのちを奪ったものは、その罰として死ぬことができなくなり、あらゆる時代を生き続け、時代の生き証人となり、語り部となり、時空を旅する旅人となっているのだ。
手塚治虫ならではの深い生命観に、子どもの私は全身がしびれた。いま大人になって読み返しても常に発見がある。
今回の展示は、「火の鳥」を深く読み込んでいるものにとっては物足りない面もあったが、感動したのは、手塚治虫が未完のエンディングとして構想していた、手塚が観た夢の物語だった。
そして、そこで語られる物語は、私自身が子どものころ、死に瀕しているときに得た生命観とまったく同じであり、そのことに驚いたのだった。

当時の体験は一言で語りえないので、「いのちの居場所」扶桑社(2022年)という本の中に、ひそかに込めた。コロナ禍の中、書き残しておきたいと思ったから。
「いのち」が、この宇宙や自然界の中でどういう挙動をしているのか。子どもの「いのち」に対する感性や感受性は、豊かで自由だと感じる。手塚治虫も子供の感性で漫画を描き続けた人なのだろう。
手塚ファンには、感動する展示空間だったのは間違いない。
展示の最後に、福岡伸一さんと横尾忠則さんの対談映像が出ている事にも、驚いたし、深い生命観に感動だった。
六本木ヒルズ 東京シティビュー
2025年3月7日(金)〜2025年5月25日(日)




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