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「バーニング 劇場版」(監督:イ・チャンドン、原作:村上春樹)

February 21, 2019

村上春樹さんの短編小説「納屋を焼く」を映像化した、「バーニング 劇場版」を見た。
東京では日比谷のTOHOシネマズシャンテ2でしかやっていない!!

 

 

 

いやはや。
本当に心震える作品で、素晴らしい映画だった。しばし、呆然と。深い充実感もあり、強く突き放されたような感もあり。

 

春樹さんの原作を核としながら、映画では大幅な改変がされている。ただ、原作にある核をしっかりと捉えていて、素晴らしい改変だった。現代の息吹が注入されていた。
現代韓国が抱える問題を重ね合わせ、春樹作品の本質を完璧に理解して血肉化している。見事、見事、見事!な作品だった。

 

 

自分は春樹作品を何度も何度も深く深く定期的に読み込んでいるほど春樹好きな人間だが、本当に天晴れ!な映画化だった。(春樹作品の映画化、演劇化されているものは全部チェックしている。演劇版の「海辺のカフカ」もまた見に行く!)

 

 

 

監督のイ・チャンドンさんは、韓国映画の巨匠とのことだが、はじめて知った。この方の映画をもっと見てみたいと、思う。

 

映画では、他の春樹作品をうっすら感じさせてくれるところが随所に出てきたのが、監督自身の春樹好きを伺わせる。たとえば、ねじまき鳥クロニクルや、神の子どもたちはみな踊る、など。井戸や猫やパスタや音楽も、重要なピースとして・・・。

 

マイルス・デイヴィスによる「死刑台のエレベーター」のテーマ曲を使った音楽もすばらしかった。

 

 ●映画『死刑台のエレベーター』予告編

 

 

 

 

もともと、アメリカの作家フォークナーの短編小説に「納屋を焼く」(Barn Burning)というのがあり、そのタイトルから霊感を受けて原作「納屋を焼く」も書かれたものだろうと思う。映画でも小説でも、フォークナーの話が少し出てきた。

 

 

現代社会の本質や歪みを、なんとも的確につかみ、それを春樹作品と重ね合わせ響き合わせた映画。
確かに原作に忠実ではないのだが、こういうオマージュは、春樹さんもきっと喜ぶだろうと思う。それほど本質を捉えていて素晴らしかった。

 

やや過激なシーンもありますが、ものすごくお薦めの映画。

あーー見れてよかった。

 

鑑賞後、外で映画のポスターを見て、すでにいろんな著名人が激賞していたのを知りました。

 

 

 

 

こんな素晴らしい映画が都内で短観上映だなんて、もったいない!!

 


短編の「納屋を焼く」、改めて読み返したくて、うずうずしています。
『蛍・納屋を焼く・その他の短編』に収録されている「螢」は、ノルウェイの森の原型だし、「納屋を焼く」も深い後味が残る作品。「踊る小人」は自分の単著『いのちを呼びさますもの』で実はさりげなく引用している。「めくらやなぎと眠る女」は最高に幻想的で、夜のバスに乗るたびになぜか思い出す。「三つのドイツ幻想」は、もともとBrutusに掲載された変わり種!

 

 

バーニング 劇場版

 

●「バーニング 劇場版」予告編

 

 

 

 

 


これは、日比谷シャンテを出たとこにいた、ゴジラさん。
 

 

 

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