top of page

ARCHITANZ2018@新国立劇場

新国立劇場に「ARCHITANZ2018」を見に行ってきた。

3つの公演があったが、それぞれ全く違うタイプのもので、その多様さにまず驚いた。

一つ目は『月の銀を噛み、太陽を口に』(振付 : ジュリー・アン・スタンザック|Julie Anne Stanzak(ピナ・バウシュ、ヴッパタール舞踊団))

男女の内面の動きを、そのまま身体の動きへと変換させ、その身体の動きが交錯して交わりながら、互いの内面が呼応するような舞台。様々なキーワードを自由連想のように身体でつないでいく手法には、とても見応えがあった。フロイトの夢分析のようなもので。

二つ目は『ロミオとジュリエット』。酒井はなさんと風間自然さんの高度なバレエ。身体がまったくぶれない。すごい。足先、指先まで神経が行き届いているのが分かる。ハイレベルなバレエの動きを久しぶりに見たが、型として完成された動きなのだと改めて思った。あとはその究極の精度をコンマの世界で上げていき、その精度の緊張感こそが、固唾を飲む。プロが見せる次元の高い身体と強靭で柔らかい動きに、改めて驚いた。

三つ目は『ジ・エッジ・オブ・ザ・サークル』(振付 : ホ・ヨンスン|Young Soon Hue)。自分はこの演目が強烈に惹かれた。

「円相」は仏教の禅でも必ずテーマにされる抽象度の高い図形。何のイメージが浮かび上がるかで、その人の深層心理の深度が試される。

「円(Circle)」を一つのモチーフとしながら、群像で織りなされるダンスとフォーメーションは、それぞれが同期して連鎖しあい、能のように高められそぎ落とされた抽象度の高い動きに、思わず目が釘つけになった。光と影の使い方、人々のフォーメーションの流れと連なり、ダイナミックに躍動する身体とが、いい塩梅に配置され、素晴らしい仕上がりだった。

こういうまったく違う3つの作品を同時に見れるのは本当に面白い。

音楽で言えば、Jazz、クラシック音楽、現代音楽をひとつの流れで見たような印象だ。

こうした面白く野心的な試みは、ぜひ今後とも続けてほしい。

新国立劇場の小劇場も、場の一体感が生まれやすいとてもいい劇場だった。

bottom of page