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「ファッションとアート 麗しき東西交流」展@横浜美術館

April 15, 2017

「ファッションとアート 麗しき東西交流」展が、4月15日(土)から6月25日(日)まで横浜美術館にて開催されます。

 

明治維新後の19世紀後半から20世紀前半のファッションと美術にフォーカスを当てた展示。

東と西との驚きの出会いと受容、そして美として顕れ出たもの。本当に美しく刺激に満ちた展示だった!

 

 

 

 

 

1853年、鎖国を続けていた日本の浦賀(神奈川県、三浦半島)にペリーが来航し開国を要求。この大事件から1867年の大政奉還、1868年の明治維新で、閉じた日本は、大きく世界に開かされることになる。

 

日本にとって光も影も含んだ出来事だったが、それは世界史の必然であった。

同時に、西洋のファッションや美術界にとっては、日本という小さい島国が育んでいた美のポテンシャルに驚愕した事件でもあった。

 

 

政府レベルの思惑とは無関係に、庶民レベルでは驚きは好奇心を刺激し、異なる文化を貪欲に吸収した。

全く異なる文化が出会い、互いに影響と刺激を受けあいながら変化するプロセスが、ファッションや美術作品という展示から生々しく体験することができた。

 

 

■■

今回の展示で実物を見て、すごく面白いと思ったのが、体を締め付ける西洋のコルセット文化を解放したのが、日本の着物のスタイルという事実だ。

 

日本の着物は、その人自身の自然な身体に合うように、布をまとう。

それに対して、西洋のコルセット文化は「美しい身体のライン」という頭の概念に向けて、人の自然な体のラインを抑えつけ、呼吸生理(腹式呼吸ができなくなる・・・)を無視して洋服が作られていた。

当時のコルセットは、本当に気絶する人も続出していたらしい。洋服が命がけの行為。

 

 

日本の着物が大量に流出した時、自然の草花を転写した美しさにも西洋は感動した。

同時に、着物が持つその人本来の体の自然に合わせるという身体観のコンセプトにも驚いたようだ。優美さと機能性さ「自然」との共生とを。

 

当時の西洋の上流階級には、室内着としての着物や羽織が大流行したらしく、その実物が多数展示されていた。本当に面白かった。

 

 

着物をドレスへ仕立てたものもあり、和服が洋服へと転換しても気高く美しい布の存在感は圧倒的だった。

こうした服をまとうだけで、心の状態までも変化すると思う。

衣服・ファッションは、心理的影響が大きいと常々思う。人を覆う皮膚やファッションは、体と心の干渉点になっている。だから自分は衣服が好きだ。自分との対話の手段として。

 

 

 

■■

他にも「非対称asymmetry」という概念に西洋が気付くきっかけも着物だった事実にも驚いた。

 

着物では、布そのものが一つのキャンバスとなり、アートの全体を身にまとうので、左右が非対称になることは当然だ。

ただ、それまでの西洋の洋服の常識では、洋服は立体的に左右対称でなければいけない、という常識を疑うことすらなかったらしい。

 

そういうところにも、西洋と東洋との心の構造が「服」という形に転写されて顕在化している様子を見れて、とても興味深く展示を見た。

 

 

物自体として、ラリックの花瓶が、震えるほど美しかった。

これも日本の自然を模した図案に影響を受けたデザインが数多く出展されていて、美しいものを作る人間の本能にこそ、美しいものを感じた。

箱根ラリック美術館も行きたい。

 

 

 

 

勿論、日本も西洋から数多くの影響を受けている。

 

実際、着物文化が洋服文化へと大転換し、ファッションが欧米化していく歴史をも垣間見ることができる。

和服から洋服文化への変遷は、畳から床生活へ、座の文化から椅子の文化へ、草鞋から靴へ、沼地からコンクリートへ、、、というような、あらゆる領域においての衣食住の急激な変化と一体になったものだろう。

 

 

横浜という港は、そうした異文化の入り口となり、異なる文化を貪欲に吸収して取り入れて行った。

だからこそ、横浜美術館という土地(トポス)にふさわしい展示だと思った。

 

 

 

ほんの100年前、異質なものが驚きと共に出会った。

 

大いなる矛盾を、好奇心で包み込み、ファッションや美術の表現として統合しようとした東西の先人たちの努力と喜びの結晶を垣間見れた気がした。「もの」として、歴史は続いている。

 

 

 

 

ファッションもアートも、東と西との統合も、すべて自分の興味ど真ん中の展示で、本当に興奮した時間だった。

出たら、いつのまにか夕日が。

朝日も夕日も、この世ならぬ赤を一瞬経ていく。

 

 

 

 

 

少し前の時代だが、「もの」としての存在感が圧倒的に違う。

本物が持つ質感と対峙することは重要だと思う。

ひとりひとりが「もの」の存在感と向き合う大事な時間が、美術館という聖域だ。

 

同時に見れる「横浜美術館コレクション展」も、長谷川潔さんや駒井哲郎さん含め、素晴らしい作品ばかりで、 横浜美術館のセンスの良さを存分に味わえた。

 

横浜美術館での「ファッションとアート 麗しき東西交流」展、4月15日(土)から6月25日(日)までなので是非行ってみてください!

 

ダリやキリコの彫刻も入口にあり、悶絶してのけぞるほど素敵です!!!

 

図録も充実の内容!

写真で見るだけでも美しい。実物は、さらに美しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ファッションとアート 麗しき東西交流@横浜美術館

 

横浜美術館コレクション展 「自然を映す」

 

**横浜美術館では、8/4‐11/5まで3年に1度の大イベント。ヨコハマトリエンナーレもありますよ!自分も、5/28の 対談「島とオルタナティブ:歴史・社会、医療、アート」(ヨコハマラウンド)(14-16時)@横浜美術館レクチャーホールに、対談で出ます!(with マップオフィス(アーティスト)、吉見俊哉先生(社会学・カルチュラルスタディーズ研究者、東京大学大学院教授)

ヨコハマトリエンナーレ2017「島と星座とガラパゴス」

 

 

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