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モナ・リザ 25年の微笑 

  • 執筆者の写真: inaba
    inaba
  • 10月11日
  • 読了時間: 3分

特に集めているつもりはないんだけど、「集まってくる」というものがある。


それが『モナ・リザ』だ。モナ・リザはジョコンダ夫人の肖像ともいわれる。



2000年のこと。上野公園の東京都美術館で「モナ・リザ 100の微笑展 ―― 模写から創造へ」を見た。


そこでは『モナ・リザ』のイメージに関するあらゆる模写やオマージュがあり、その嵐にやられてしまった自分は、売店のレジの背中にある巨大なモナリザのポスターを買ってしまった。一枚しかなかったらしく、巨大ポスターを脚立にあがり、慣れない手つきで店員さんは二人がかりで剥がした。待っている間が少し気まずかった。まさか買う人はいないだろうと思っていて仕入れたのかもしれなかった。


だけれど、思わず買った。渋谷センター街のロッテリアでバイトしている学生にとっては高い買い物でもあった。ただ、身銭を切るほど、やられてしまった。恋に落ちたようなものだろう。fall in love. 恋とは穴に落下する疑似体験なのか。



そもそも。巨大なポスターをおさめる額がなかった。そこで、渋谷Loftに行き、ポスターサイズにあう特注の額を注文した。額代のほうが高かった。学生としては清水の舞台から飛び降りるような出費だったが、だからこそ、この巨大ポスターは常に大切に扱われることとなった。



ただ、巨大すぎてどこにも置き場所がない。1DKの狭い部屋では、廊下に置く。すると、毎日、嫌でもモナリザと顔をあわせることになる。すべての喜怒哀楽をモナリザは見ている。



引っ越しでも常に一緒に移動し続けた。引っ越しの人たちも本物の女性の肌に触れるように常に大切に扱ってくれる。


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そして、25年も経った。


毎日毎日必ず顔を合わせていると、家族以上の関係になってしまう。モナリザは自分の心理状態を反映するようで、悲しいときは悲しく見えて、うれしいときはうれしく見えて、能面の時は能面に見える。そういう巨大な謎を含んだ絵画が自宅にあるだけで奇妙な磁場を帯びてくるのか、いろいろなモナリザが我が家にやってくることになる。





LEGOショップでもモナリザを見かけてしまい、思わず家に連れて帰ってしまった。また、毎日顔を合わせる人が増えた、ということになる。


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ほかにも、アンディ ウォーホルの「ダブル モナリザ」(1963)のポスターがあったり、レコードでもモナリザがあったり、大なり小なり、モナリザは私をとらえて離さない。


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永遠の女神に常に見守らているような、見張られているような。監視されているような、愛されているような。そうして不思議な結界が張られることになる。

きっとダ・ヴィンチ(Leonardo da Vinci)に守られているんだろう。

死んだらあの世でお礼に行かないといけない。

それはダ・ヴィンチに?それともモナリザに?



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