ウルトラ怪獣の芸術
毎日怪獣ごっこと称して、怪獣の役に徹し、いろいろな必殺技を受け続けている。
少年は攻撃性を内包しているもので、その攻撃性がAggresiveとしていい方向に向かうように(暴力性ではなく)、その相手役を買って出ている。
もちろん、わたしもウルトラマンは好きだ。
ウルトラマンの造形は、ギリシャ彫刻とブッダ・釈迦と、それに加えてジョルジョ・デ・キリコ(Giorgio de Chirico)のシュールレアリスムとの統合らしく、成田亨さん(天才造形作家であり、同時に彫刻家でもある)が本で語っていた。つまり、ウルトラマンのフォルムには東西の美の統合だけではなく、そこにシュールレアリスムまでもが混在している。
(『デ・キリコ展』が2024年4月27日から上野・東京都美術館で開催されるのも楽しみだ。→『デ・キリコ展』公式サイト )
成田さんが作り出す怪獣の造形は現代美術として私は受け取っている。玩具というよりも美術作品。素晴らしい造形ばかりだ。
ウルトラ怪獣もいまはmade in CHINAだけれど、以前のmade in JAPAN時代はさらに質の高いものばかりで、そこには霊性が付与されていると私は感じている。だから、子どもと共にウルトラ怪獣を見て回るのが楽しみだ。made in JAPANのウルトラ怪獣を探していると、日本中のマニアたちと出会い、どのマニアも寒山拾得のような世捨て人、仙人なのではないかと、思う。子どもも、そうしたアウトサイダーとの出会いこそが、人を外見だけではなく霊性のレベルで見れるかどうか、成長の種になるのでは、と思う。すべては出会いだ。
我が家では色んなウルトラ怪獣が見守っている。
サンタさんも驚いたかもしれません。
しっかりきれいに拭いて手入れをすると、さらに愛着が湧く。
日本は聖なるものも邪悪なものも、どちらも強大な力を持つ、という意味では共通しているからこそ、丁重に畏怖を持って大切にすることで、その強大な力は自分を守ってくれる存在へと転換される、という考えがある。天満宮などの天神信仰などの御霊信仰しかり。毒には毒で制する、ということなのだろうか。
ウルトラマンの怪獣も宇宙人も、きっとそういう存在なのだ、と子どもも感じているはずだ。
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