top of page

身心変容技法オンライン・セミナー 10月10日(土)から全6回

山形ビエンナーレ会期中ですが、こちらは10月~11月のアナウンス。


山形ビエンナーレは芸術と医療の接続を試みるチャレンジでもありますが、こちらは宗教・哲学・思想領域と医療や科学との接続を試みるチャレンジです。



●身心変容技法オンライン・セミナー 10月10日(土)から全6回




「身心技法研究」は、鎌田東二先生(京都大学名誉教授)を研究代表に2011年から始まった研究会です。


科研費もとり、身心をめぐるさまざまな学問を横断する研究として行ってきました。

様々な瞑想技法や修行などの宗教的な技法から、科学の文脈で展開するマインドフルネスなどの技法など、広範な領域と人類史的な奥行きをもった研究です。

自分も共同研究者として参加しています。


こちらでの研究内容は、サンガから出版されております。


●身心変容の科学~瞑想の科学――マインドフルネスの脳科学から、共鳴する身体知まで、瞑想を科学する試み――(身心変容技法シリーズ1)(2017年)






●身心変容のワザ~技法と伝承――身体と心の状態を変容させる技法と伝承の諸相――

(身心変容技法シリーズ)(2018年)




今回は、その書籍の解説や補足講義を交えながらのオンラインセミナーです。

鎌田東二先生(上智大学特任教授、宗教哲学・民俗学・日本思想史・比較文明学)、熊野宏昭先生(早稲田大学人間科学学術院教授・応用脳科学研究所所長。医学博士。臨床心理士。マインドフルネス)、井上ウィマラ先生(健康科学大学健康科学部福祉心理学科教授、テーラワーダ仏教)、永沢哲 先生(アティ=ゾクチェン研究所所長、上智大学グリーフケア研究所客員准教授、宗教人類学(チベット仏教))、藤野正寛先生(京都大学オープンイノベーション機構特定助教瞑想の脳研究)など、宗教学の分野で高名な先生ばかりです。


自分は 、第4回 稲葉俊郎 11月25日(水)19~21時「医療と身心変容技法について」を担当します。


人間の意識活動の話など含め、やや学術よりの話をしながら、人間や生命の本質的な理解を共有できればと思っています。




=============

■日程とテーマ

第1回 鎌田東二×熊野宏昭 10月10日(土)18時~20時「身心変容技法とは何か」

ちょうど1年前の9月22日(日)、鎌倉の建長寺で行なわれた「Zen2.0」において、熊野宏昭さんと「日本の叡智とマインドフルネス」をめぐる対談をし、大変充実した有意義な時間を過ごした。その時にはもちろん、このようなコロナ禍を予測できなかった。

その1年前あまり前の2018年6月30日(土)に上智大学で行なった「第68回身心変容技法研究会」では、「医療と身心変容技法」をテーマに、稲葉俊郎さん(当時・東京大学医学研究科助教・循環器内科医・未来医療研究)による「医療と芸術・芸能と身心変容技法」と熊野宏昭さん(早稲田大学人間科学学術院教授・応用脳科学研究所所長・認知行動療法・行動医学)による「マインドフルネスと認知行動療法」の研究発表と質疑応答およびディスカッションを行なった。

そして、今回、熊野さんとは3度目の対話となる。いよいよ、「身心変容技法」の問題を、マインドフルネスから神道の鎮魂帰神法や阿知女作法、そして諸種の神秘体験や変性意識体験、脳神経科学に至るまでじっくりと縦横無尽に議論し、コロナ時代をしなやかに生きていく知恵と力を掘り起こしたい。そのイントロダクションに当たるフリートークをまずはお楽しみください。(鎌田東二)

=============

第2回 井上ウィマラ 10月23日(金)19~21時「マインドフルネスと解脱:子育てと看取りの視点から」

 マインドフルネスが仏教瞑想にルーツを持つことはよく言われることですが、それでは仏典のどんな教えに基づいた訓練体系なのかに関して詳しい解説や議論をされることはほとんどありません。今回は、仏教瞑想の目的である解脱とは何かについて確認したうえで、マインドフルネスが最も総合的に説かれている『Satipaṭṭhāna-sutta:念処経』においてブッダは心と身体をどのように見つめるように教えてくれたのかを概観してみます。そして、そうしたマインドフルな見つめ方がなぜシームレスなケア(チャイルド・ケア→ターミナル・ケア→グリーフ・ケア→そしてまた人に寄り添い・支え・育むことへ)につながっていくのかに関して、調律性(attunement)と応答性(availability)という2つのキーワードを介して考察してゆきます。かくれたキーワードは、ブッダが2600年前にこの経典に「ajjhatta-bahiddhā内外・自他」という言葉で埋め込んでおいてくれた「間主観性(intersubjectivity)」です。(井上ウィマラ)

=============

第3回 永澤哲 11月15日(日)10~12時「虹の身体―チベット仏教の瞑想と身心変容技法―」

チベットは、8世紀から13世紀にかけて、インドの仏教を丸ごと移植する壮大な試みを行いました。特に重要なのは、最も後期に発達した密教を移植したことです。その伝統は、現代にいたるまで、生き生きと保たれています。今回のセミナ―では、チベット密教について概観したうえで、特にマハーサンディに焦点を当てます。マハーサンディーチベット語で「ゾクチェン」―は、「大いなる完成」を意味します。その修行を完成した修行者は、死の時一週間ほど、「トゥクタム」(「聖なる心」)と呼ばれる状態に入り、その間、肉体は純粋な光に融け入って、消えてしまいます。この「虹の身体」の近年の実例について、画像を見ながら考えます。『チベットの死者の書』は、この伝統に属しており、欧米のホスピスや、ターミナルケア従事者のトレーニングにおいて用いられています。その現代的意義についても、ご一緒に考えたいと思います。(永沢哲)

=============

第4回 稲葉俊郎 11月25日(水)19~21時「医療と身心変容技法について」

医療の現場は病気を治すことがメインだと思われがちだが、それだけではない。医療の本質は、生命の全体性を取り戻すプロセスであると考えると、西洋医学に限定しないあらゆる方法が医療として応用できうる種があることが分かる。人間の意識活動はリズムを持ち、意識と無意識を反復運動しているが、そうした運動自体が生命システムの全体性を保つために重要な役割を持っている。意識活動では外界を、無意識活動では内界を担当しているが、そうした外界と内界をつなぐ領域も重要であり、夢、修行、瞑想、芸術など、あらゆる手段の中にそうした役割を見出すことができる。東洋的な身体論の伝統では「身心一如」が説かれているが、意識状態の変化により身心の状態を調整することができるため、脳に伴う意識活動と身心との全体性も重要である。医療現場において、そうした身心変容技術の重要性に関して共有し、どういう場が医療的な場と言えるのかを共に考えたい。(稲葉俊郎)

=============

第5回 藤野正寛 12月10日(木)19~21時「マインドフルネスの脳科学」【coming soon】

=============

第6回 鎌田東二 12月20日(日)15時‐17時 「神道の身心変容技法と音霊・言霊」

 仏教が瞑想の宗教であるとすれば、神道は祭りの宗教である。であるから、神道の祭りの中での身心変容技法が、まずは焦点となる。これについて、幕末維新期の神道霊学者の本田親徳や大本の出口王仁三郎は、「祭り」を「顕祭」と「幽祭」の二種に分けた。顕祭とは、たとえば京都の賀茂神社で行なわれている葵祭とか東京の神田明神で行なわれている神田祭とか、神社で行なわれている通常の祭りである。もちろん、これにも特殊神事や秘儀的要素はあるが、後者の幽祭は神人合一に至る鎮魂帰神の法であるとされ、ちょうど100年前の1920年(大正9年頃)の大本ではこの幽祭~鎮魂帰神法が大々的に実修されていた。霊学には、「鎮魂・帰神・太占(ふとまに)」の三種があるとされるが、ここでは、顕祭も幽祭も霊学も含め、総合的に神道の身心変容技法を概括し、その根幹に流れている石笛や琴・法螺貝などの音霊や和歌即陀羅尼思想にまで発展する言霊の思想や神楽や能も取り上げて説明したい。途中で、石笛・横笛・法螺貝の奉奏も実演してみたい。(鎌田東二)

=============

© All right reserved TOSHIRO INABA

bottom of page