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民藝の100年@東京国立近代美術館

東京を通過するついでに展覧会に。

(金曜と土曜は国立の施設が20時まで開館している!うれしい!)




深い闇に包まれた夜の皇居を見ながら久しぶりに東京国立近代美術館へ。









民藝ファン(特に河井寛次郎ファン!)の自分としては、やはりどうしても外せない展示。


柳宗悦が持つ美への宗教的な次元の愛と情熱は、最終的には仏教哲学(南無阿弥陀仏)へと昇華されていくが、美への思いの根源を確かめるように高度に抽象的な哲学的思考を繰り返し、ただただ素朴で美しいものを探し続けた人生は驚嘆に値する。そして、その審美眼にも圧倒される思いだ。


そんな民衆の芸術(民藝)の発見の動きの中で、河井寛次郎の存在は計り知れないほど大きい(と、個人的に思う)。あの素敵な出で立ちで唯一無二のうつくしいものを作り続けた孤高の存在だ。表情も仏のようであり、河井寛次郎の作品はもとより、何気なく放たれる美しい言葉の数々にも、いつもノックアウトされてしまう。四の五の言わず、京都にある河井寛次郎記念館という聖域に、足を踏み入れてみてください。幸福感に包まれます。


河井寬次郎記念館

京都市東山区五条坂鐘鋳町569

(ちなみに、こちらは2016年に河井寛次郎記念館に行った時の写真です)


あまりにも河井寛次郎さんを尊敬しすぎて、赤本「いのちを呼びさますもの」にも河井寛次郎さんのことを書き、記念館に送りました。すると、実のお孫さん(鷺珠江(さぎたまえ)さん)から丁重で情熱的で美しいお手紙頂き感動しました。やはり、「好き」に勝るものはないのだ、と。


あらゆるものに美を見出し、「いのち」を表現した偉大な方です。





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今回の膨大な展示では、柳宗悦没後60年記念展「民藝の100年」というタイトルにあるように、柳宗悦の足跡をたどりながら、民藝の美しい流れの全貌を見れてとってもよかったです。


明治頃の沖縄、壺作りや着物づくりの映像は、ただただ作り手の存在が美しく、思わず涙が出ました。


あと。最後に。

柳宗悦はとにかく手仕事にこだわり続けた厳しい父性の人だったけれど、お土産ショップに安っぽい民藝トートバッグが置いてあり、ここは値段が貼ってもいいから、素敵なトートバッグがほしい!と、民藝の熱い思いの展示を見た後に、軽くズッコケました。まあ、それはよしとしましょう。



やはり質の高いものは見てナンボです。審美眼は見ることで鍛えられます。

とにかく本物を見る体験は、お金を払って時間を使ってするべきだな、と、改めて思いました。


駒場にある日本民藝館も、まだ行ったことない方は是非見に行ってほしいです。こういうセンスある粋な大人になりたいなぁ、と、思うこと必至です。







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河井寛次郎

「美を追わない仕事 仕事の後から追ってくる美」

「此世このまま大調和」

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河井寛次郎『手考足思』

私は木の中にゐる石の中にゐる、鉄や真鍮の中にもゐる

人の中にもゐる

一度も見た事のない私が沢山ゐる

始終こんな私を出してくれとせがむ

私はそれを掘り出し度い、出してやり度い

私は今自分で作らうが人が作らうがそんな事はどうでもよい

新しからうが古からうが西で出来たものでも東で出来たものでも、そんなことはどうでもよい

すきなものの中には必ず私はゐる

私は習慣から身をねじる、未だ見ぬ私が見度いから

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【展覧会名】柳宗悦没後60年記念展「民藝の100年」

【会期】2021年10月26日(火)〜2022年2月13日(日)

【会場】東京国立近代美術館

〒102-8322 東京都千代田区北の丸公園3-1



ローカルであり、モダンである。


今、なぜ「民藝」に注目が集まっているのでしょうか。「暮らし」を豊かにデザインすることに人々の関心が向かっているからなのか。それとも、日本にまだ残されている地方色や伝統的な手仕事に対する興味からなのか。いずれにせよ、およそ100年も前に柳宗悦、濱田庄司、河井寬次郎が作り出した新しい美の概念が、今なお人々を触発し続けているのは驚くべきことです。「民藝」という言葉が生まれたのは1925年12月末のこと。民藝の思想の種がまかれてから、およそ100年(正確にいうと「民藝」誕生から96年)。柳宗悦の没後60年に開催される本展では、時代とともに変化し続けた民藝の試みを俯瞰的な視点からとらえなおします。



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