『病の神様の微笑』(「兵庫県立横尾救急病院展」横尾忠則現代美術館)

横尾忠則現代美術館では、『兵庫県立横尾救急病院展』2020年2月1日(土)-5月10日(日)が随時開催中・・・のはずでしたが、このご時世、定期的に休館となっております。開催状況は随時HPなどで会館状況を確認していただきたいのですが、横尾さんからご依頼を受けた図録の巻頭テキスト。やっと図録が完成しました! この展示を横尾さんと話していたのは、2019年の夏ごろだったかなぁ。 その時から、オープニングを全員マスク着用という構想は話しておられて、2020年1月31日のオープニングでは、コロナ騒ぎなど何もない時に全員がマスク着用というオープニング。 まさに、いまの状況を1年前から見越していたかのようで、横尾忠則というアーティストがどこアクセスして絵を描いているのか、その一端を感じさせるエピソードでもあります。

巻頭テキスト『病の神様の微笑』は、自分の横尾忠則愛を炸裂させて書いたテキスト。まさに「異界」や「死」をテーマに、芸術論を書いています。あまりに深い無意識に潜りすぎて、書き終わった後に自分も卒倒したくらいです。

この展示も、昨今の事情から見ると伝説になる展示になるかもしれません。 図録もかっこいいものになっています。

まさに今の時代にシンクロしている内容になっているるので、ほんとうは手に取って読んでほしいなぁ! 5月9日へと延期になった美術館での講演も、開催できるといいなぁ!


■2020/5/9(Sat)(14:00-15:30):「健康学入門 ~宇宙船人間丸 創造マニュアル」@横尾忠則現代美術館(兵庫県神戸市灘区原田通3丁目8-307)

(cf.『兵庫県立横尾救急病院展』2020年2月1日(土)-5月10日(日)関連企画)(→事前申し込みなし、定員100席(当日先着順))

HP














(稲葉俊郎『病の神様の微笑』より 一部抜粋)

■思春期 わたしたちは誰もが子供から大人になる。その移行期である思春期に、「自分もいつか死ぬのだ」という「死の概念」と最初に出会う。つまり、死の視点から生を見る不安定な時期でもある。「死」という謎(であり真実)を一身に引き受けるこの時期には、色々な形で死のイメージがつきまとう。そもそも、子供から大人になるという変遷自体が、子ども時代の何かが死んで、新しく生まれ変わる体験でもある。 死のイメージ体験は、この世の常識を超えた異界体験とも言えるものだ。死に飲み込まれず、死と切れてしまうのではなく、きちんとつながる。死とつながることで、わたしたちはリアルな生を生きることができる。思春期とは、そうした時期を儀式のように通過する時期だ。そのことで、幸福な日常の生のなかにも死を感じ続けることができる強さを育んでいく。日常と異界とは対立するものではない。生と死も対立概念ではない。位相が違うだけで常に同時存在しているものだ。なぜなら、命は生と死(創造と破壊)という相反する方向のエネルギーで互いに引っ張られていて、両極で強く引っ張られる緊張により命はエネルギーを生み出しているのだから。

© All right reserved TOSHIRO INABA