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全国不登校新聞社「学校に行きたくない君へ」ポプラ社

July 18, 2019

「学校に行きたくない君へ」ポプラ社 (2018)
を読んだ。読みやすくて面白かったー。

全国不登校新聞社!が作っている本。初めて知りました。

→■全国不登校新聞社

 

 


図書館をうろうろしていて、西原理恵子さんのイラストが目をひき、目次を見ると、樹木希林さん、横尾忠則さん、宮本亜門さん・・・と大好きなひとたちが名を連ねていたので読んだのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

不登校の方たちが作っている新聞なので、もちろん、不登校であることに肩を押してくれる内容ですが、基本的にはアウトロー、アウトサイダーな生き方を貫いた(貫けた)人たちが、一つのスタンダードになった方々ばかりだと思う。

 

自分も、まったく学校というシステムには適応できず、学校に行った記憶というより、「椅子に座っていた記憶」しかないくらいなので、不登校の人たちの気持ちはわかる。自分は不登校を決意できなかったという意味では勇気がなかったのかもしれない。

 

 

ここに出てくる人たちは、みんな「自分」を貫いた人たちばかり。
でも、ただの我がまま、というわけでもなくて、自分がおかしいのか相手がおかしいのか、自分がおかしいのか周囲がおかしいのか、自分がおかしいのか社会がおかしいのか・・・・そうしたことを、常に検証しながら自分の感受性を殺さずに生き続けて人たちなのだろう。

 

 

直感で「おかしい・変だ」と思う感性、論理的に「おかしい・変だ」と思う理性。
直感を理性で検証し、理性を直感で検証する。
感性と理性とを常に対峙・対決させ続けていると、直感も理性も、共に学び合い、深め合うんじゃないのかな。
もちろん、それは自分自身もやり続けてきたし、今もやり続けているし、死ぬまでやり続けたいと思っていること。

 

感性も大事。理性も大事。対話も大事。
3つを掛け合わせて、自分の感性と自分の理性とを対話させ、時には対決し続ければ、こんなに楽しく酔狂な人生はないんじゃないかな。飽きたことがない。
自分はいまもそう思う。


そうした自分の生き方が、結果的に医療と芸術を結び合わせたいという今の仕事につながっているけれど、本質的にしていることは子供のころから何も変わっていないんだなぁ、と。

 

 

 

この本に出てくる方、どの人の話も、面白かった!
みんな親身になっていて、本当に優しいなぁ、と。みんなに愛と共感があった。
親身になって、真剣になって、我が事のように聞いてくれる、語ってくれる。
それだけで、全国不登校新聞社のみなさんは涙がこぼれるほど、うれしかったんじゃないかなぁ!と思う本でした。

 


●樹木希林 難があってこそ育つ

 

(‐私が取材したいと思ったのは、映画「神宮希林 わたしの神様」のなかで、夫・内田裕也さんについて「ああいう御しがたい存在は自分を映す鏡になる」と話されていたからなんです。これは不登校にも通じる話だなと思いました。)

樹木希林 『あの話はお釈迦さんがそう言ってたんです。お釈迦さんの弟子でダイバダッタという人がいます。でも、この人がお釈迦さんの邪魔ばっかりする、というか、お釈迦さんの命さえ狙ったりする。お釈迦さんにもこれには相当悩んだらしいですが、ある日、「ダイバダッタは自分が悟りを得るために難を与えてくれる存在なんだ」と悟るんです。
私は「なんで夫と別れないの」とよく聞かれますが、私にとってはありがたい存在ですあらがたいというのは漢字で書くと「有難い」、難が有る、と書きます。人がなぜ生まれたかと言えば、いろんな難を受けながら成熟していくためなんじゃないでしょうか。

今日、みなさんから話を聞きたいと思っていただけたのは、私がたくさんのダイバダッタに出会ってきたからだと思います。もちろん私自身がダイバダッタだったこともあります。ダイバダッタに出会う、あるいは自分がそうなってしまう、そういう難の多い人生に卑屈になるのではなく受け止め方を変える。

自分にとって具体的に不本意なことをしてくる存在を師として先生として受け止める。受け止め方を変えることで、すばらしいものに見えてくれるんじゃないでしょうかね。』

 

―――――――――――――

 

樹木希林 『思い返せば、うちの両親はとにかく叱らない親でした。「それはちがうでしょ」と言われた記憶がない。
記憶にあるのは「おまえはたいしたもんだよ」と言われたこと。子どもってヘンなことを言うでしょ、ヘンなことをやるでしょ、それをいつも「たいしたもんだよ」と両親は笑ってる(笑)。生きるのがたいへんで、子供をみているヒマのない時代でしたから』

 

―――――――――――――

 

樹木希林 『あなたも、自分をよく見せようとか、世間におもねるとかしなければ楽になるんじゃないでしょうか。だいたい他人様からよく思われても、事件を起こせば後ろ指さされるしね(笑)。』

 

 

●リリー・フランキー 「こうだったらいい」とたくさん想像する

 

リリー・フランキー『自尊心を持っていることがひきこもる原因をつくるんだけど、その自尊心とたたかったときに外へ出ていくきっかけをつかむんじゃないかと思うんです。
だって、かっこ悪いかどうかって大事でしょ。みんな子どものときに思ってるはずなんだ「かっこ悪くはなりたくない」って。で、そのかっこ悪さうぃ決めるのは美意識の部分だと思うんです。
プライドなんてものは、一回、ドロップアウトした時点で傷つけられたはず。
そういう自分のことよりも、家族や大切に思っている人のことは言われたくないと思うでしょ。
本当に頭に来るのは、自分のことより、自分が美しいと思っているものが汚されたときなんです。自分のことなんかじゃない。
プライドというのは自分のことだから。
自分のために戦うと消耗するんだけど、美意識の部分ではやらなきゃいけないときがあるんです。』

 

 

―――――――――――――

 

リリー・フランキー『先のことは考えなくていいんです。
みんな若いんだし、バカなんだから、君らが想像できる世界なんてすぐ覆るよ。
だって現実で起きてることを見てごらん。想像もできないことがすぐ起きる。
だって、俺が想像していた世の中は、もっとまともなところだったし、ちゃんとした人がたくさんいるところだった。』

 

 

●横尾忠則 孤独になっているときこそ、自分が成長するチャンス

 

横尾忠則『学校教育でみんなが同じ方向を見て、同じ教育を受けて、同じ考えを持つようになったら、感性は浮かんでこない。完成には、将来も、目的も関係ない。いきなり、ポンッと来る。その感性に対して、損か得かで考えちゃダメだ。
感性に従えば、必ずいい方向にいくから。それが失敗したら、それはどこかで頭の考えが入ってたんだよ。自分の考えや思想だけで判断すると大変なことになる。
最終的には感性が芸術をもたらす。それは、経済的なことよりも、もっと大事なことだと思います。』

 

 

●玄侑宗久 私たちはもっと揺らいでいい

 

玄侑宗久『仏教では昔から「揺らぐ」ことを「風流」と呼びました。揺らぐことが自然だと思っていれば、あるいは植物のようにあれほど変化していいと思えれば、もっと楽になれるんじゃないでしょうか。』

 

 

 

●宮本亜門 「不安がる自分」を否定せず、やりたいことをやる

 

宮本亜門『「周囲」というのは何事にも反対するものです。僕が29歳で演出家になったときは全員から反対されました。唯一の支えは生前、母が「お前は大丈夫」と言ってくれたこと。これだけです。きっとあたなも大丈夫です。
だってこれまで痛みを経験してきたはずです。職種は違うかもしれませんが、痛みを経験してきた役者さんはいい仕事をします。』

 

 


「学校に行きたくない君へ」ポプラ社 (2018/8/3)


●目次
樹木希林 難があってこそ育つ
荒木飛呂彦 自分に自信を持つために修行する
柴田元幸 小さいころから、世界は筋が通らない場所だと思っていた
リリー・フランキー 「こうだったらいい」とたくさん想像する
雨宮処凛 さまようことが自分を豊かにする
西原理恵子 原因究明よりも明日の飯
田口トモロヲ あきらめるのは、肯定するのと同じ勇気がいる
横尾忠則 孤独になっているときこそ、自分が成長するチャンス
玄侑宗久 私たちはもっと揺らいでいい
宮本亜門 「不安がる自分」を否定せず、やりたいことをやる
山田玲司 マシな罪人として楽しくやっていく
高山みなみ 不安は誰でも持っている
辻村深月 楽しいことがあれば、それを生きる理由に
羽生善治 いつ始めても、いつやめてもいい
押井守 「プラスマイナスゼロ」の人生ならおもしろい
萩尾望都 あなたの感動を羅針盤に
内田樹 学びとは「不全感」より始まる
安冨歩 東大生も不登校生も悩みの根は同じ
小熊英二 頭の力を抜いてごらん、君は生きている
茂木健一郎 脳には個性があり、その差に上下はない

 

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