映画『盆唄』(監督:中江裕司)

アップリンク渋谷で映画『盆唄』を見た。 とんでもなく素晴らしい映画!! ぜひぜひいつか地上波のTVでも放映してほしい!!人類の財産のような映画。

そして、これほど多様なテーマと表現を重層的に含んだ映画も、かなり珍しい。

映画『盆唄』(2018年)

監督 中江裕司 エグゼクティブプロデューサー 岡部憲治 プロデューサー 堀内史子 アソシエイトプロデューサー 岩根愛 撮影 平林聡一郎

キャスト(声の出演)(アニメーション) 余貴美子、柄本明、村上淳、和田聰宏、桜庭梨那

映画のようだが、ドキュメンタリーのようでもある。音楽映画のようでもあり、写真、芸術、芸能の本質を映し出す映画でもある。民俗学も大いに考えたし。移民のこと、それは対岸の火事ではなく、きっとわたしたちの祖先もどこかの移民であろうという、自分自身のルーツとしての移民のことも考えた。3.11のことはズバリ表現していて、それでいて表現はストレートでいながらやさしさもある。アニメの挿入も素晴らしかったし、民話や伝説など。あらゆる要素が、互いが互いを補い合い、魅力を引き出しあい、めまぐるしくあらゆる要素が結合しあい響きあう、観たことがない映画だった。

自分たちが生きているということ。 その当たり前の事実を支える重層的な歴史。 つらい苦難の時代を生き抜いたわたしたち全員の祖先。 そして、芸術や芸能が、生きる力とどうかかわっているのか。 そうした芸術や芸能の秘儀に触れた気がする。

頭の中を色んなイメージが複雑に駆け巡り、自分という存在を攪拌し、かく乱させ、同時に更新させた。

上映後、豪華にも写真家の岩根愛さんと大友良英さんのトーク付き!!で、こんなにも豪華な映画鑑賞があるのか!と、悶絶した。 そして、トークも捧腹絶倒に面白く、お二人の人間としての深さと器の広さとが、トークを聞けば聞くほど会場を包み込んでいて、朝まで聞いていたいほど、幸福な時が流れた。

この映画、色んな人に見てほしい。 見て損はない。上映時間のものを受け取る。むしろ、奥深くから何かが引っ張り出される映画。

自分は、胸が騒ぎ、血が踊りました。 何か根源的なものが揺さぶられました。 それは、自分のビート(鼓動)なのでしょうか。

映画もすごかったのはもちろんだけれど、劇中で展開されたアニメでも、自分は泣きました。 それはかなしみだけではなく、何か命がうずくような、不思議な涙でした。

日本語の「もののあはれ」という感情は、「嗚呼(ああ)・・」という言葉にならないため息のような吐息のような、そうしたものを「もののあはれ」と呼んだ、と聞いたことがあります。自分は、まさに「嗚呼・・・」としか、言えませんでした。

アップリンク渋谷では4/12金曜まで上映しているようですので、ぜひ!

アソシエイトプロデューサーである岩根愛さんの写真集 KIPUKAも購入した。とっても力強い素晴らしい写真集!!!映画を見ると、さらに感慨深い。

→■映画『盆唄』オフィシャルサイト

アップリンク渋谷では、ペパーミント・キャンディー(イ・チャンドン監督)も再演してるみたいで、時間合わず行けないなー。すごく残念。

他にも、ビル・エヴァンス タイム・リメンバードは4月27日(土)から、氷上の王、ジョン・カリー( 5月31日(金)公開)も予告編観たら見たくなったなー。

こじんまりとして、質の高い映画を流し続けるアップリンク渋谷は大学生時代から通っているが、ほんとうにいい映画館だ!

アップリンク渋谷

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