N///K「風と毛穴 器官と音」@座・高円寺2

奥野美和さん演出の、N///K「風と毛穴 器官と音」@座・高円寺2。 出演:小山衣美、黒須育海、鈴木春香、ながやこうた、松尾望。音楽:藤代洋平。

プレトークをして、ダンスを見た。 ダンスの内容を知らずにプレトークをしたが、内容と深いところで呼応しているような気がした。

ダンスは、肉体の運動そのものである。 それは、実は生きていること、そのものなのだ。

わたしたちは、頭や脳でいろいろと身体を管理しているように思いがちだが、肉体は肉体の論理で生きている。それは数㎜単位の動きであっても、変形し、ゆがみ、たわみ、震え、揺らぎ続けている。

一部の肉体が動くと、それは波のように遠くの肉体へとその余波は及ぶ。その遠くの場所を動かすと、また遠くの場所が呼応する。

それは、体を覆う「しわ(皺)」のようなもので、見えざる身体が顕在化してきたものが「しわ(皺)」だ。

身体は、内臓や水を皮膚という巨大な膜が覆う、ひとつの大きな袋のようなものだが、内側にある内臓や水の組成がすこし変化するだけで、周りを覆う皮膚は変形する。全体性を保つために、一本一本の皺が打ち込まれるように形成される。皺の深さや曲線は、そういう意味で立体彫刻のようなものだ。

ダンスは、そうしたわたしたちの身体を気づかせてくれる場でもある。 それは、ほとんど異界なのだ。

体には体の論理があり、心には心の論理がある。 身体は日々接しているはずなのに、異界なようなもの。

ダンスという形で身体の動きを拡張して、目の前に提示されると、その異界ぶりに頭は混乱する。

ただ、頭は分からなくとも、体は分かっている。 頭の中から、常識や言葉や思考を一時的に手放して、頭ではなく体を信頼する。体に自分のすべてを放棄して委ねて捧げて、ダンスが繰り広げる異空間に体を委ねればいい。それは温泉に入るようなものだ。

ダンサーの方々の激しく躍動し振動する身体、お互いに呼応しあう身体。 身体のうめき、叫び、ことば、嘆き、悲しみ、怒り、喜び、、、、 そうしたものが空間に炸裂した素晴らしい舞台でした。 ダンサーの方々、すばらしかった。 振付である奥野さんの無意識に、ちゃんとこたえていた。 音楽も内臓的な響きと、時に訪れる静寂が心地よく。

ちょうど、『別冊太陽 横尾忠則』を読んでいたら、舞台美術を横尾忠則さんがモーリス・ベジャール頼まれた記事があり(ベルギー国立20世紀バレエ団『デュオニソス』(ミラノ・スカラ座、1984年))、こうしたベジャールの言葉が書かれていた。

モーリス・ベジャール 「ダンスは何よりも運動であり、形態であり、リズムである。空間であり、音楽であり、人体である。バレエは、演劇や小説や映画のように、我々に物語を語るためにあるのではない。舞踏は、ヴィジョンと、情動と、力学を我々に提示する。細部は、激しく、また拡散していく。」

自分はベジャールのことばに、こうしたことも付け加えたい。

ダンスは、空間であり、音楽であり、人体であり、

それは生命現象そのものである、と。

「ダンス評.com」というサイトにも、詳細なレビューがあり、驚きました(奥野美和、N///K「風と毛穴 器官と音」座・高円寺2(2019.02.15))。これを書かれた方、すごい。

2019/2/14-15『風と毛穴 器官と音』 公演HP:https://www.miwaokuno.com/keana/ 演出・構成・美術・衣装|奥野美和 音楽|藤代洋平 出演|小山衣美 黒須育海 鈴木春香 ながやこうた 松尾望 【公演概要】 日時|2019年2月14日(木) 19:00 & 15日(金) 16:00  ※開場は開演の15分前 会場|座・高円寺2 【関連イベント】 プレトーク 稲葉俊郎(医療)×奥野美和(ダンス) 日時:2019/2/15 (金)16:00〜 ※15:45〜開場|16:00〜プレトーク|16:15〜開演 場所:座・高円寺2 【スタッフ】 照明|加藤泉 音響|ステージオフィス 舞台監督|川上大二郎 舞台美術アシスタント|福島奈央花 メインビジュアル|ITO K 宣伝写真|bozzo 宣伝美術|岡部正裕(株式会社ボイズ) 印刷協力|株式会社 協進印刷 制作|瀧本麻璃英(瀧本製本所) 協力|A.S.P(スタジオアーキタンツ・アーティストサポートプログラム) 助成|公益財団法人アサヒグループ芸術文化財団、アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団) 主催|N///K(ナチュラル・キラー)

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